第293話 エイルの武器と迷宮攻略
悩むのは、エイルの武器。
エイルは、一体、どんな武器を望むのか。
「そう、ですね、出来れば、武器は長剣が良いです。後は、盾もあれば嬉しいのですが。」
「おぁ、長剣に盾!さすがは、戦乙女だね!」
きりりとした顔をしたエイルが長剣と盾を扱う姿は、絶対に絵になる。
「うん、武器は長剣で。盾も必要、と!」
武器は長剣で決まりだね。
てな訳で、エイルが持つ長剣と盾を作ってしまおう。
ミスリルの剣
レア度:
機能:破壊不可、所有者制限、HP自動回復、MP自動回復、状態異常付与、貫通、武器召喚、武器破壊
製作者:ディアレンシア・ソウル
エイルが持つ長剣の武器の機能はコクヨウのと同じになるが、性能は折り紙つき。
次に盾の作製もしてしまう。
ミスリルの盾
レア度:
機能:破壊不可、所有者制限、重力軽減、HP自動回復、MP自動回復、武器召喚
完成したのがこれ。
破壊不可の盾って、最強じゃない?
「エイル、どう?」
「とても良い武器ですね。ありがとうございます、ディア様。」
「ふふ、気に入ってくれた?」
「はい、このいただいた武器で、ディア様の敵を屠ってみせます!」
力強く言い切るエイル。
・・・うん、なんだか物騒ね、エイルさん。
「えっと、ほどほどに、ね?」
「お任せを!」
「・・あぁ、うん、キタイシテルヨ。」
目を逸らす。
私が作った武器は、苛烈な女傑様の心に火を付けてしまったらしい。
さすが、戦乙女である。
「まぁ、とりあえず、明後日からは迷宮でレベル上げに勤しむから、頑張ろうね?」
「はい!」
しっかりと頷くエイル。
「今回の迷宮攻略に行くのは、私、コクヨウ、ディオン、ヴァレンティーナ、エイル、ロッテマリー、ルルーシェルの7人だから。」
アディライト、フィリアとフィリオの3人には屋敷の方に残ってもらう。
他の子の面倒を見てもらう予定。
「私達がいない間のルーベルン国の屋敷の事は、全てアディライトに任せるから、よろしくね?」
「かしこまりました、ディア様。」
アディライトが首肯する
「フィリアとフィリオの2人は、アディライトのフォローをお願い。」
「「はい!」」
手を挙げ、元気よく了承する2人。
「アスラはティターニア国の屋敷を、ユエはモルベルトのルミア達の守りをお願いするわ。」
「了解した。」
「お任せを。」
頼もしく、従魔の2人が頷く。
これで、どこの屋敷も最強の布陣である。
「モルベルト国の迷宮は、ゴーレム系のモンスターが多い様ですので、ディア様、どうかお気をつけください。」
リリスが私に対して心配げな表情を浮かべる。
「うん、リリス、ありがとう。迷宮内では十分気をつけるよ。」
無茶はしない。
今回はエイル達のレベル上げがメインで、迷宮攻略はどうでも良いしね。
心配するリリスに微笑み、迷宮に入る準備を進め、いざ攻略へ。
リリスからの情報によれば、モルベルト国の迷宮は全50階層であり、ゴーレム系のモンスターが多く出るらしい。
「うーん、打撃系は効かないかな?」
となると、武器での攻撃ではなく、ほとんど魔法メインで進むしかないだろう。
そうなると武器がメインとなるロッテマリーとルルーシェル、エイルの3人には厳しいかな?
「・・ゴーレム、ですか。」
「ふふふ、とても腕が鳴りますね、お嬢様!」
「そうね、ルル!」
そんな私の懸念も何のその。
ロッテマリーとルルーシェルの2人は、やる気に満ちていた。
「このディア様からいただいた剣があれば、誰であろうと負ける気はしませんね。」
エイルも気合十分。
「ディア様は、私達の戦闘からは少し離れた場所でお待ちになられますか?」
「いえ、ロッテマリー、貴方達の戦いを近くで見ているわ。」
色々と不安なんで。
主に、ロッテマリーとルルーシェルの暴走が。
「っっ、嬉しいです!」
「頑張りますね、ディア様!」
俄然、張り切る2人。
・・・張り切りすぎて、怪我しなければ良いのだけど。
不安である。
「見守っているから、頑張って。」
意訳:皆んなが大怪我しない様に見守ってフォローするね?
決して、2人を鼓舞したのではない。
が、さすがは2人。
「はい、必ずやディア様のご期待に応えてみせます!」
「ディア様の敵の殲滅は、全て私達にお任せを。」
良い様に解釈した様。
「・・・うん、まぁ、見てるから頑張って?」
引き攣った笑顔を2人に送った。
とても不安な2人の事は、今日1日良く見ていよう。
私は決意を新たにした。
「妾が魔法で怯ませる、ロッテマリー、ルルーシェル、そのまま敵に突き進め!」
「援護します、後ろはお任せを!」
「はっ、」
「ここですっっ!」
ヴァレンティーナが魔法で敵の足止めをし、エイルが後方支援を務め、ロッテマリーとルルーシェルの2人がトドメを刺す。
見事な連携を見せてくれた。
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