第266話 アディライトからの提案
アディライトが帰って来るまでに新しく家族となった子達の強化を進め、ルーベルンの国の屋敷へと転移させる事にした。
私の部屋へ全員集める。
「これから、皆んなの強化をするね?」
「「「???」」」
私の言葉に、一様に不思議そうな顔をする皆んな。
意味が理解ができていない様子。
困惑する皆んな。
「ーーーディア様、私にお任せを。」
さて、どう説明するかと悩んでいれば、私の影から滑り出るリリス。
「リリス、貴方が姿を見せるなんて、どうしたの?」
驚いた。
人前に急に出でくるなんて。
「私から少し、ディア様のお力について皆に説明したいのですが、ご許可いただけますか?」
「リリスから?」
「はい、ディア様のご迷惑でなければ。」
「分かった、良いよ。」
リリスが私の不利益になる事をする訳ないし。
ここは、リリスに任せよう。
「ありがとうございます、ディア様。よろしければ、ディア様は終わるまで寝室の方でおくつろぎ下さい。」
「そう?じゃあ、リリスのお言葉に甘えて、そうさせてもらうわ。」
笑顔のリリスに背を向け、寝室の方へと向かう。
当然のように私の後に続くのは、コクヨウとディオンの2人だけ。
フィリアとフィリオの2人はこの場に残る模様。
「うーん、リリスはあの子達に何を話すのかしら?」
首を捻る。
リリスは親バカならぬ、私を溺愛する1人。
皆んなに何を話すのやら。
「ふふ、もちろん、ディア様の素晴らしさを語るのですよ。」
「・・ディオン、笑えないから、それ。」
ディオンの発言に突っ込む。
私の素晴らしさって何?
「そうですよ、ディオン。短時間でディア様の素晴らしさを語れるはずがありません。」
「・・うん、コクヨウも落ち着こう!?」
私バカが多くない?
ロッテマリーとルルーシェルの2人なんて、私の信者と化しているのだから。
「普通に私のスキルについての説明だと信じるわ。」
そうだよね、リリス?
「しかし、ディア様のスキルの説明をされたら、必ず崇拝しだす者達が出ると思いますよ?」
「うっ、コクヨウの指摘に反論ができない。」
反則級の私のスキル。
周囲にこのスキルがバレれば、大騒ぎになる事は必須。
「他の皆もそうだったんですから、ディア様の事を崇拝しだしても可笑しくないですね。」
ディオンの肯定に、私は項垂れるしかない。
嫌われるよりはマシ、よね?
「ーー・・ただ今、戻りました、ディア様。」
げんなりしていれば、私の指示で出かけていたアディライトの声が。
寝室にアディライトが入って来る。
あらら、もう帰って来たのね。
「お帰り、アディライト。物件の件は、どうだった?」
「はい、午後に物件の下見に行く予約が取れました。よろしかったでしょうか?」
「もちろん、ありがとう、アディライト。」
「もったいないお言葉です。」
破顔して、一礼するアディライト。
「ディア様、お疲れのようですので、お茶をご用意いたしますね?」
「うん、よろしく。」
お茶の用意を、アディライトが始める。
「どうぞ、」
差し出される、お茶の入ったカップ。
「ん、ありがとう。」
アディライトから受け取り、口に含む。
「美味しい。」
「ありがとうございます。」
いつも通り美味しい。
この味を知ってしまったら、この先、他の人が入れたお茶だと物足りなくなりそうだ。
私の賛辞に、アディライトが頬を緩めた。
「あの、ディア様?」
「うん?」
「あちらの部屋で、リリスさんがディア様のお力について話されているようなのですが。」
ちらりと、リビングの方へ視線を向けるアディライト。
「あぁ、うん、アディライトが帰って来るまでに皆んなの強化を進めたかったんだけどね?」
こればかりは仕方ない。
リリスの話が終わるのを、待つとしましょう。
「皆んなから欲しいスキルの要望も、リリスが聞き出してくれると思うし。気長に終わるのを待つよ。」
「強化して、どうされるのですか?」
「コクヨウにも言ったけど、ルミアとルルキ以外はルーベルンの拠点に転移してもらって、ロッテマリーとルルーシェルの2人に任せるわ。」
「では、数人、拠点から人手を借りてはいかがでしょう?」
ふむ、人手を、ね。
「確かに、人手は多くあった方が良いか。」
アディライトの提案、一理ある。
「ふふ、オリバーなど、ディア様のお呼びを待っているのでは?」
悪戯っ子の様に、微笑むアディライト。
「そう、ね、私も会いたい。」
名前を呼んで欲しい。
その肌に触れたいと、心が叫んでる。
「ーーー呼んで、アディライト。オリバーを私の元に。」
「かしこまりました。」
一礼するアディライト。
オリバーと数人、こちらに来る事が決まった。
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