第259話 ハルマン奴隷商
モルベルト国の街中を堪能している私達。
ご満悦である。
「屋敷に残ってる皆んなへのお土産も買えたし、ふふ、楽しいな。」
新しい街の散策って、心が躍るよね?
何があるかの期待。
新しい発見。
わくわくが止まらない。
「明日は、どこへ行こうかな?」
眺めるのは、リリス特性の私が喜ぶだろモルベルト国のオススメを記したマップ。
今日も大活躍している。
「うーん、どこの工房も今は忙しいだろうし。」
大会まで、あと10日。
そんな時に忙しいだろう工房へお邪魔するのも気が引ける。
「でしたら、ディア様、この街の奴隷商へ向かわれませんか?」
とは、アディライト。
「奴隷商に?」
「新しい家族を迎え、いったん、拠点にディア様のお顔を見せに帰ってはいかがです?皆もディア様にお会いしたいと思いますし。」
「むう、」
お土産もあるし、丁度いいのかも?
今が帰り時?
「皆んな、首を長くしてディア様のお帰りをお待ちしている事でしょうね。」
「そうかな?」
「ふふ、ディア様の帰還を知ったら、泣いて喜びますわ。」
「大げさな。」
ロッテマリーや、ルルーシェルの2人ならあり得そうな話だけど。
「ディア様、本当ですよ?」
「皆んな、ディア様と離れる事が辛いのですから。」
「ディア様に会えない鬱憤を、モンスターを倒す事で発散しているのでは?」
アディライトの言葉に、コクヨウとディオンの2人が続く。
「「会えないのは、地獄なのー!」」
とは、双子の2人。
「うーん?」
みんなの境遇を自分に置き換えてみる。
暫く皆んなに会えない?
「あっ、うん、確かに、会えないのは地獄だ。」
私の大切な子達。
そんな子達に会えないなんて、なんて拷問!?
「分かった、奴隷に行って直ぐに帰ろう!新しい子達も連れて!」
皆んなに会いに行こう!
「「「「「かしこまりました、ディア様。」」」」」
にこやかに頷く皆んな。
てな訳で、さっそくモルベルト国の奴隷商へ。
「いらっしゃいませ!」
私達を出迎える、奴隷商の店員の男性。
「ようこそ、当奴隷商へお越しいただき、誠にありがとうございます。本日は奴隷をお求めでしょうか、お客様?」
「えぇ、我が主人に見せていただけますか?」
男性店員へ対応するアディライト。
「それは、もちろんでございます、どうぞ、中の方へ。」
アディライトが私の奴隷と分かっても、男性店員のにこやかな笑顔は変わらない。
で、出来る!
この奴隷商への好感度が上がっていく。
「どうぞ、お掛け下さい。」
室内に案内した男性店員に促され、ソファーへ座る私。
皆んなは定位置の様に私の後ろ。
男性店員は、テーブルを挟んだ私の前のソファーへと座った。
「お客様、もう一度、ご挨拶させていただきます。ハルマン奴隷商を営んでおります、ハルマンと申します。」
「ハルマンさん、代表の方、でしたか。」
なるほど。
あの接客の良さにも納得。
「ディアレンシア・ソウルです。ハルマンさん、どうぞ、よろしくお願いします。」
「ディアレンシア様、こちらこそ、よろしくお願いいたします。」
ハルマン奴隷商のハルマンさんと、私はにこやかに挨拶を交わしあった。
「本日は、ディアレンシア様は奴隷をお求めとか。どの様な奴隷をお求めでしょうか?」
挨拶を終えた私にハルマンさんが問いかけてくる。
小娘の私へも変わらぬにこやかさで対応するハルマンさんに好印象なのは変わらない。
「私は、冒険者です。」
ハルマンさんへ自分のギルドカードを差し出す。
ギルドカードほど、この世界に信用が出来るものはないだろう。
「っっ、なっ、ギルドランクS!?」
目を見開くハルマンさん。
「・・・驚き、ました。まさか、ギルドランクSとは。」
返される、ギルドカード。
「それで、ディアレンシア様は、本日はどの様な奴隷をお求めなのでしょう?」
「ルーベルン国にある拠点の維持の為の人員の確保がしたいのです。」
人員の確保は、今の所急務。
ティターニア国の屋敷の方にも、もう少し人員を回したいし。
「拠点の維持と申しますと、家事などが出来るメイドや、従僕という事ですか?」
「いいえ、家の事はゆっくりとこちらの方で教え込んでいくので、拘りはないです。」
ハルマンさんに私は首を振る。
「性別も、どちらでも構いません。」
「種族はどうでしょう?
「それも、拘りはないです。」
種族に偏見はない。
「ただ、1つだけ条件が。」
「その条件は何でしょう?」
「冒険者としての活動があっても良いと思う子だけお願いしたいのです。」
私は力を与えたい。
この世界に争い、理不尽な事に負けぬ力を。
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