第257話 盗賊退治

一方。

3人のあまりの容赦のなさに、顔を引攣らせる私の横では、コクヨウとディオンの2人が盗賊達へ冷たい目を向けていた。



「当然の報いですね。」

「屑はもっと地獄を見るべきです。」



2人が盗賊達へと吐く言葉も、冷たい目同様に辛辣である。

これ以上の地獄を味わえと?



「・・はは、」



から笑いして、容赦のない2人から目を逸らす。

2人が醸し出す雰囲気が恐ろしすぎて、直視できないんですが!?

私へ向けられたものじゃないから良んだけどさ。



「ひぃ、」

「く、来るな!」



数時間して意識を取り戻した盗賊達は、アディライト達によって地獄を見る事になる。

木に括り付けられた盗賊達の目の前に、アスラとユエの姿。

2人の姿を見て、意識を取り戻した盗賊達は大混乱に陥る。

盗賊達は何とか必死に逃げようとするが、アディライト達によって木に括り付けられている為、無駄な抵抗となってしまっているのだけど。



「っっ、頼む、く、食わないでくれ!」

「いや、だ、死にたくない!」



喚く盗賊達。

涙と鼻水で、その顔は酷いものとなっている。



「あらあら、堪え性のない。」



アディライトの口元に浮かぶのは、盗賊達に対する失笑。



「・・うわぁ、」



エトワールの結界に守られている馬車内の私は、アディライトの笑顔に背筋を凍らせる。

・・何、その無駄に良い笑顔。

アディライトさん、楽しんでませんか?



「ディア様の時間を邪魔するだけではなく、襲撃を企むなど本当に愚かですね。万死に値します。」

「た、頼むから、命だけは助けてくれ!」

「俺達が悪かった!」

「この通り、心から謝罪するから!」



涙目の盗賊達。

良い大人である人達が、少女であるアディライトへと命乞いの懇願を始め出す。



「ーー最後に言いたい事は、それだけですか?」



下がる、アディライトの目の温度。

こ、怖いです



「もう少し、他に何かないのですか?」

「そうですよ、これが最後の言葉になるかもしれませんからね。」

「貴方達の遺言ぐらい、私達が聞きますよ?」



アディライトに追従するのは、楽しげなコクヨウとディオンの2人。

のりのりで盗賊達を追い詰めていく。



「「処刑?」」

「「「!?」」」



そんな盗賊達へトドメを刺すのは、フィリアとフィリオの2人。

身体を震わせた数人の盗賊達が、あまりの恐怖に失神する。



「まったく、だらしのない。」



アディライトは軽蔑の目を盗賊達へと向け。



「盗賊のくせに、自分達がヤられる事は全く想定していなかったのですか?」



コクヨウは鼻で笑い。



「貴方達の今の惨状は自業自得でしょう?」



ディオンは嘲笑を浮かべた。



「「お昼寝するには、まだ早いよ?」」



しまいには、失神してしまった盗賊を不思議そうな表情のフィリアとフィリオの2人が突っつき始める始末。

絶対に逞しくなり過ぎだよ、皆んな。



「さて、時間もない事ですし、さっさと有意義な話し合いを続けましょうか?」

「僕も手伝いますよ、アディライト。」

「えぇ、じっくりと話し合いましょう。」

「「それとも、痛い方が好き??」」



4人の魔王が怯える盗賊達へと迫っていく。



「・・育て方、間違った?」



ーー私の可愛い子達が、とんでもなくブラックすぎます!

散々、盗賊達を泣かしまくった皆んな。

彼らも、皆んなの恐ろしさに懲りた事だろう。



「自首します!」

「もう二度と、誓って悪い事は絶対にしません!!」



その証拠に次々に謝罪を始める。

うん、良い事だ。



「ふふ、この2匹があなた方の行動を見張っている事をお忘れなく。」

「「「はいっ!」」」



アディライトの笑顔の脅しに涙目となりながら、カクカク頷く盗賊達。

素直な事で。

相当、アスラとユエの姿が怖かった様子。



「・・・ねぇ、見晴らせるの?」

「一応、監視はつけますが、アスラやユエではありません。」



私の質問に、コクヨウが答える。



「リリスさんの配下の者が、あの者達の行動を見張るようです。」

「リリスの?」

「はい。ふふ、楽しみですね?」

「へ?」

「解放されて、安心しきったあの者達は、一体、どこへ向かうでしょうか?」



楽しげに釣り上がる、コクヨウの口元。



「どこって、」

「あの者達のアジトが分かれば、ゴミ屑が一網打尽できますね?」

「ーー、許して、なかったの。」



頬が引き攣る。

許されたと思わせて、盗賊達を安心させる罠ですか!?

お、恐ろしい。



「当たり前じゃないですか。ディア様を襲った者達ですよ?」

「でも、」



ーーやり過ぎなんじゃ。

そんな私の擁護の言葉は、コクヨウによって続く事はなかった。



「アディライトや、フィリアは女なので、捕まったらあの者達の慰み者になりますね。」

「うん、自業自得だと思う。」



前言撤回。

盗賊達へ冷ややかな眼差しを向けた。

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