第131話 諦め、る?
アディライトの提案に頷く。
予想外であっただろう家の大きさに緊張している皆んなの気分も、温かなお風呂に入れば和らぐでしょう。
「では、男女ごとにお風呂へ入らせませす。皆んな、お風呂場へ案内するので、私の後へ着いてきて下さい。」
しっかり者のアディライトに皆んなの事を任せ、私達は今日購入した家具をそれぞれの部屋へと備え付けて行く。
私の部屋は3階の主寝室で、コクヨウとディオンの3人で寝る為に大きなベットを買った。
私の次に大きい部屋はアディライトとフィリアとフィリオの3人で使用し、家具もそれぞれ3つ同じのを設置。
新しい子達は2人で一部屋を当てがい、必要な家具も2つ配置していく。
「よし、出来た!」
納得のいく内装になった部屋に満足。
後は使っていって、実際に不備があったその度に必要なものを買い足せば良いかな?
全ての部屋の家具の配置もあらかた終わりを迎えた頃、キッチンの方から良い匂いが漂ってくる。
「はぁ、良い匂い」
あまりの良い匂いにお腹が鳴りそう。
「ディア様、食事の前にお風呂へ入ってはいかがでしょう?」
「うーん、そうだね、汗掻いたし。コクヨウの言う通り、そうしようかな?」
主寝室のお風呂へ向かう。
この時は一人でお風呂へ入るつもりだったのに、何故か乱入してきたコクヨウとディオンの所為で逆上せた私。
ただ普通に汗を流したくてお風呂へ入るだけだったのに、すごく体力を使った気がするよ。
「ディア様、お食事の支度が出来ました。」
コクヨウとディオンの2人のせいで疲れた身体を自分の部屋で休めていた私の事を、アディライトが呼びに来る。
「ありがとう、アディライト。新しく来た子達の様子はどう?」
「お風呂へ入って気が緩んだのか、皆んな明るい表情ですよ。何人かの子には、今日の料理も手伝って貰いました。」
「ふふ、少しは仲良くなれたみたいだね?それなら良かった。」
ちょっと、一安心。
「ディア様が受け入れた子達ですから、私も大事にしますわ。まぁ、色々と厳しく指導していきますが。」
「・・アディライト、お手柔らかに、ね?」
「私にお任せ下さい、ディア様。必ずや、立派なディア様の信者として、皆んなの事を教育いたしますので。」
満面の笑みを浮かべるアディライト。
不安だ。
アディライト達は私の周りの子達全員の事を信者としてしまうのではないかしら?
「・・・アディライト、あまり皆んなに無茶させちゃダメだよ?」
「はい、心得ております、ディア様。」
「・・、うん、それなら一応は、良いかな?」
アディライトの言葉にも疑問を上げたないコクヨウやディオン達に対して、遠い目になるのは致し方ない事だと思う。
人間、諦めも肝心?
いや、私が諦めた瞬間にとんでもない事になりそうで怖いんですが。
「さぁ、ディア様、料理が冷めない内にお食事にいたしましょう。今日のデザートは、ディア様のお気に入りのアイスですよ。」
「え、本当!?うん、行く!」
複雑な心境もなんのその。
甘いデザートの誘惑には抗えません。
美味しいもの、特に甘いデザートはなによりも私を幸せにしてくれるからね。
「今日もアディライトが作ったデザートのアイスは冷たくて、甘さも濃厚で最高に美味しい。はぁ、本当に幸せ。」
至福の溜め息が出た。
主人である私と一緒のテーブルで食事をする事に慣れない様子だった新しい子達も、今では冷たいアイスに夢中。
うん、甘くて美味しいデザートは皆んなを幸せにしてくれるよね。
「さて、明日からの皆んなの予定を決めてしまいましょうか。」
食後のデザートまで美味しくいただき、今は談話室兼、皆んなでくつろぐ部屋へと移動して明日からの予定を決めていく事にする。
ちなみに、家の中は全て土足禁止。
元日本人としては、家の中を靴を履いたまま歩くのに少し抵抗があったので禁止にさせてもらった。
このくつろぎの部屋である談話室は、ソファーなどを置かず、何種類かのカーペットを敷いた上にクッションを重ねて直接座るタイプなの。
「普通の椅子だとディア様と両隣り以外は距離がありましたが、これだと近く感じますね。」
「ディア様の背中にも張り付けるの!」
「ディア様に膝枕もして欲しい!」
私の隣に座れなくても距離感が近いとアディライト、フィリアとフィリオに大絶賛でした。
可愛いフィリアとフィリオの2人からのお願いなら膝枕もしちゃうよ?
「ふふ、良いよ、フィリア、フィリオ、いらっしゃい?」
2人の事を呼び寄せれば、嬉しそうな表情で私に抱き付いてくる。
「へへ、ディア様、暖かい。」
「大好きなの、ディア様。」
「~~っっ、私も大好きよ、フィリア、フィリオ。」
ぎゅっと2人の事を抱き締め返した。
「あぁ、尊い。」
「ここに天使と女神が降臨されていますね。」
「癒されますわ。」
コクヨウ、ディオン、アディライトの3人が微笑ましげに私達の事を見守る。
「ディア様、私も抱き付きたいです。」
「和みますが、羨ましいですね。」
ロッテマリーとルルーシェルの2人は、私に抱き付くフィリアとフィリオの事を羨ましげに見つめた。
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