第130話 崇拝度、爆上がり

皆んなの精神攻撃によってガリガリと削られました、私のライフ。

遠い目になりながら、ハビスさんにロッテマリーとルルーシェルの奴隷契約を進めてもらう。

だって、皆んなの私への崇拝を止めさせる事なんか不可能なんだもの。



「聖王国にとって光魔法の、しかも欠損まで治せるソウル様の存在は看過できない事でしょう。もちろん、この事は私の胸の中だけに秘めておきますとも。」



無事にロッテマリーとルルシェルの2人の奴隷契約を済ませ、ハビスさんには私が欠損を回復させた事をここだけの話にしてもらう。

ハビスさんと相談をして、もしもロッテマリーとルルシェルの欠損が治った事を聞かれたら、冒険者である私達が迷宮攻略で手に入れた『エリクサー』を使ったと説明するつもりだ。

Sランクになった私達なら、手に入れてても可笑しくはないからね。



「最高峰のSランク冒険者なんて凄いです。」

「私達の女神様は、何処までも至高の存在なのでしょうか?」



私達がSランク冒険者と知り、最初ロッテマリーとルルーシェルの2人は驚いた。

が、彼女達の驚きは直ぐに終わり、尊敬と尊い存在を見るような熱い眼差しを向けられる。

その眼差しの先は、もちろん私。



「・・あの、コクヨウとディオンの2人も私と同じSランク冒険者だよ?」



私だけじゃ無いと、ロッテマリーとルルシェルの2人にアピールしてみる。



「ふふ、貴方様の存在があってこそのSランク冒険者なのでは?」

「それほどの力を有しながらも謙遜までされるなんて、何で素晴らしい方なのでしょうか。」



が、ロッテマリーとルルシェルの2人の私への過度の崇拝と感動は終わらない。

ますます忠誠心が高まった様子。



「2人とも、ディア様の素晴らしさを良く分かっていますね。」

「良い事です。あの様子なら、ディア様の為に頑張ってくれる事でしょう。」



コクヨウとディオンの2人は、私がロッテマリーとルルーシェルに褒められ、崇拝される事が嬉しいようだ。

満足そうに微笑んでいる。

どうやら、コクヨウとディオンの2人からの助けは得られないようだ。



「・はは、は、」



渇いた笑いが私の口から零れ落ちる。

何をしても無駄のようです。

熱い眼差しを向けるロッテマリーとルルーシェルから目を逸らし、苦笑いのハビスさんに向き合う。



「ハビスさん、ロッテマリーとルルーシェルの欠損が治ったと知ったら、リュストヘルゼ帝国は何かしてきますかね?」



最後に問題なのはロッテマリーとルルーシェルの育った国、リュストヘルゼ帝国の動き。

捕虜奴隷としてロッテマリーとルルシェルの2人の事を自国へ連れ帰ろうとしたぐらいだから、欠損が治ったと知ったら、リュストヘルゼ帝国から何かしらの動きがあるだろうか?



「恐らくはリュストヘルゼ帝国がロッテマリーとルルーシェルの欠損が治った事を知っても、Sランク冒険者のソウル様の庇護下にある事を踏まえて、国として何かをしてはこないかと思います。Sランク冒険者は一国を単騎で滅ぼす事のできる存在ですからね。」

「そんな私が買った2人の事をリュストヘルゼ帝国は諦めると?」

「・・表立っては、ですが。」



ふむ、表立ってはSランク冒険者である私と争う姿勢は見せないが、裏で何かしらの事はしてくるかも知れないって事だね。

てか、ハビスさん、リュストヘルゼ帝国の事を全く信用していないのですね!?

信用ないな、リュストヘルゼ帝国。



「分かりました、リュストヘルゼ帝国がロッテマリーとルルーシェルの身に何かしようとしたら、全力で抗います。」

「ソウル様の側なら安心ですな。私もリュストヘルゼ帝国の何かしらの情報を得ましたらお教えします。」

「それが有益な情報なら、ハビスさんの言い値で買いましょう。」

「ありがとうございます。」



強く握手を交わす。



「ソウル様、次のご来店、心よりお待ちしております。」



ロッテマリーとルルシェルの欠損を治した事への口止め料としての料金は、2人の購入代金とは別に余分に支払ったけどね。

ちゃっかりしてて、さすがは商人。

まぁ、私としては安全に家族が増えるからお金を払う事は別に良いんだけど。



「さて、ここが今日から皆んなで住む拠点となる家だよ。」



買い物へ行かせていたアディライト達と合流し、今日から皆んなの我が家となる屋敷へ戻って来た私達。

さっそく、家のお披露目です。



「・・大きい。」

「もしかして、ご主人様は貴族様?」

「冒険者って聞いたよ?」



目の前の屋敷を見た皆んながざわめく。

うん、大きいよね。

困惑する皆んなのその気持ち分かるよ。



「まずは、身体の汚れをお風呂に入って落としてしまいましょう。ディア様、それでよろしいでしょうか?」

「アディライト、もちろんだよ。皆んなには、ゆっくりとお風呂に入ってもらって。」



広いお風呂だがら、大人数で入れるしね。

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