第73話 ディオンの告白

このスキルなら、主にユエは戦闘では後衛で支援をする事がメインになりそうだね。

ユエに与えるスキルの候補を伝える。



「こんな感じでどうかしら?ユエ、どうかな?他にも欲しいスキルってある?」

「いや、問題ない。今はその候補だけで良い。」

「そう?なら、新しいスキルなんかはレベル上げの戦闘の際に実際に試してみてね。」

「分かった。ディアの為にこの新しい力を役立てよう。」



クールな九尾。

ユエが新しく私達の仲間に加わりました。




名前:ユエ

LV1

種族:妖狐

隷属:ディアレンシア・ソウル

称号:寵愛されし者

HP:1210/1210

MP:1960/1960

スキル

光魔法、風魔法、火魔法、水魔法、土魔法、氷魔法、雷魔法、鑑定、経験値倍増、マップ、気配察知、危険察知、状態異常耐性、体力回復上昇、魔力回復上昇、攻撃力上昇、防御力上昇、身体強化、精神耐性、詠唱破棄、思考加速、気配遮断、威圧




名前:ディアレンシア・ソウル

LV42

性別:女

年齢:16

種族:人族

称号:世界を渡りし者、神に見守られし者、寵愛し者

HP:4530/4530

MP:4120/4120

スキル

言語理解、空間収納、鑑定、経験値倍増、マップ、気配察知、危険察知、隠蔽、状態異常耐性、体力回復上昇、魔力回復上昇、攻撃力上昇、防御力上昇、身体強化、精神耐性、全属性魔法、詠唱破棄、武器作成、思考加速、剣術、体術、転移、従魔召喚、スキル付与、スキル改変、リバイブ



ユニークスキル

創造魔法



従魔:リリス

従魔:アスラ

従魔:ユエ




ユエが新しく家族として仲間になり、スキル付与も終わってひと段落ついた。

私はコクヨウに甲斐甲斐しく世話されながら、のんびりレベル上げで出掛けた皆んなの帰りを待つ。

お昼はアディライトの作り置きしてあったご飯をコクヨウと一緒に食べて、従魔のユエを新しく家族として迎え、その後は寝て過ごす。

そんな、ぐうたらな1日を過ごした私。



「・・贅沢ね。」



小さく、ぽつりと呟く。

こんな幸せ、あちらの世界では絶対に味わえなかった事。

あちらの世界の私は毎日、怯えていた。

今日は皆んなに何をされるのか。

そして、どんな事を言われ、囁かれるのか、と。



「最後の方は、私に対する周囲の雑音にも冷めた目でスルーしてたけどね。」



何も知らない人間が囁く事。

気にしない様に耳を塞ぎ、口を噤む。

それが一番、自分への被害が少ない解決策だと学んでいた。

反論は逆効果なのだと。



「ふふ、あちらの世界で小さい頃は食べる事も大変だったわね。」



施設に入って、食事は改善された。

きちんと食べる物は三食与えられたが、1人部屋の隅で食べる食事は美味しいと思えず、機械的に口の中に入れていた。

学校の給食の時間や、高校のお昼時間も同じ。

当然、高校ではお弁当なんて用意されず、自分で作ってた。



「ふふ、今考えると、本当に色々と体験してたんだね、あちらの世界の私は。」



苦く笑う。

だからこそ、怖いんだ。



『あいつを殺したお前を、俺は絶対に許さない。幸せになんかするもんかッ!』



ーー・・自分の罪を忘れる事が。

忘れたい。

でも、忘れてはいけない私の罪。



「・・いっそ、何も考えられないぐらい狂えたら良かったのに。」



その方が幸せだった。

目を瞑る。



「ーー・・今日の晩御飯、何だろう?」



・・・お願い、今はまだ、目の前の現実から目を逸らさせて。

自分が壊れてしまわぬ為に。

現実から目を逸らし続ける私は、皆んなが帰って来た時も、作った笑顔で出迎えた。

ーーー私の笑顔に、全員がほんの僅かに顔を歪ませた事にも気付かずに。



「・・ディア様、お食事はお口に合いますか?」

「ん、今日のご飯もとても美味しいよ、アディライト。」



必死にいつもの日常を取り繕う。

ぬるま湯の様な、皆んなとの今の平穏な日常を壊したくなくて。

何とか食事を終える。



「ふふ、あちらの世界だったら、絶対に太ってたわ。」



帰って来た皆んなと夕食を取り繕った笑顔で何とか食べ終えた私は自分の寝室のベットに大の字になり、今日1日を振り返ってしみじみと呟く。

こちらの世界でディアとなった私の身体は、どんなに食べても体重が増えないと言う世の女性が羨ましくなるような性能を誇っている。

デザートだって、どんなに食べても体重が増えないと言う贅沢なぐらいハイスペックな身体なのだ。



「だからと言って、贅沢に慣れちゃダメね。」



溜息を吐く。

人間、堕落しやすい生き物だ。

簡単に堕落する。



「明日からの迷宮攻略、しっかりと気を引き締めなくちゃ。」



のほほんと過ごすのも、今日で終わり。

明日から本格的に迷宮攻略に取り掛かりたいと思う。

と言うのも、帰って来た皆んなのレベルが私の想像したものより上だったし、リリスのお墨付きがあった為、明日から迷宮攻略に挑む事にしたのだ。



「でも、明日からの迷宮攻略は楽しみだな。」



気持ちが少しだけ浮上する。

ユエとコクヨウ以外の皆んなとの紹介も無事に済んだし、明日からの迷宮攻略メンバーとして活躍して欲しい所。

皆んなの成長を見るのも楽しみ。

明日の迷宮攻略を想像していれば、私の寝室のドアが叩かれる。



「ーーー・・ディア様、よろしいですか?」

「ディオン?良いよ。」



開けられるドア。

ディオンが私の寝室へと入って来る。



「ディオン、どうしたの?」



首を傾げる私。

夜にディオンが私の寝室へ来るのは珍しい。



「実はコクヨウに譲っていただきまして、ディア様との時間を。」

「へ?そうなの?」



コクヨウを買ってから、ずっと一緒に寝ていた私達。

まぁ、私が一方的にコクヨウの事をベットに引き入れて、抱き締めて眠っていたんだけどね。

無理矢理じゃ無いよ?

ちゃんとコクヨウの了承を得て寝ていたから。

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る