第50話 諦めの境地
リリスによる、皆んなへの洗脳
もとい、いかに自分達の主人である私が素晴らしいかの演説は、恐ろしい事に数時間にも及んだ。
え、なにこれ、羞恥プレイですか?
「うぅ、」
とてつもなく、居た堪れない。
だって、自分の事を、目の前で話されてみなよ。
それが、恥ずかしい褒め言葉のオンパレードだったら、誰だって絶対に居た堪れなくなるから。
「こ、コクヨウ・・。」
あまりの居た堪れなさにコクヨウに助けを求めようと、視線を向けた。
羞恥心で、私は涙目である。
「・・・、リリスさん、なんで素晴らしいディア様の説明なのでしょう。僕もリリスさんを見習わなくては。」
「・・・。」
が、ダメだった。
リリスの演説にしきりに感動するコクヨウの姿に諦めを覚えるしかなく、私はがっくりと肩を落とす。
・・・どうして、こうなった!?
「え、私が変なの?」
意識し過ぎ?
いやいや、どう考えてもリリス達が可笑しいから。
何で女神扱いなの?
「普通、ゲームとかの好感度って徐々に上がって行くもんじゃない!?」
なんで、もう好感度マックス状態?
イベントはどうした!?
ゲームクリエイターも真っ青になる様な、最初から好感度マックスへ突入の斬新な展開。
笑うしか無い。
「・・ゲームの様には、いかないのね。」
教訓。
現実と妄想は全く違うのだ、と。
「ーーー以上が、私達のディア様についてです。良いですか?今私が話したのはまだほんの一部にしかなりません。これから、じっくりと教えていきますので、心しておくように。では、いかにディア様が素晴らしいか胸に刻み、お力をいただきなさい。」
「「「はいっ!」」」
リリスの洗脳は抜群だった。
だってね?
皆んなから私に向けられる視線が、敬愛を通り越して崇拝に近いんだもの。
「・・・ははっ、」
乾いた笑いしか、私の口からは出ないんですけど?
あれれ?
可笑しいな、これって私のステキな友達計画は遠のいていないかい?
「さぁ、アディライト。まずは、貴方からディア様から崇高なる力を授けていただきなさい。」
「はい、リリスさん!」
頷くアディライト。
「ディア様、御身のお力の一部を、どうぞ私にお授け下さい。」
私の目の前に、アディライトが跪く。
「・・・あぁ、うん、そうだね。そうするよ、アディライト。」
もう、なにも言わないよ。
人間、時には諦めも肝心だよね、うん。
一瞬だけ遠い目になる。
「じゃあ、まず、アディライトはどんな武器を使う?」
「・・・武器、ですか。正直な所、今まで武器を扱った事が全く無いので・・・、一体、何が良いのか。」
眉根を寄せるアディライト。
「うーん、じゃあ、アディライトは、遠距離の武器?それとも、接近戦タイプの、どちらの武器が良い?」
それによっても、アディライトに作る武器の種類は変わってくる。
「・・遠距離、でしょうか。それか、出来ればリーチが長くあるような武器が良いかもしれません。」
ふむ、遠距離かリーチのある武器、か。
アディライトらしいかな?
遠距離かリーチのある武器を頭の中に色々と思い浮かべていった。
まず、遠距離と言えば、魔法攻撃だ。
安全かつ、魔法があれば、滅多な事で敵やモンスターに対して遅れはとらないだろう。
「と、なれば、魔法師?」
とても魅力的なんだが、アディライトはなんか違う気がする。
「それか、召喚師?」
自分の使役するモンスターを召喚し、敵やモンスターと戦わせたりとか?
野生のモンスターをテイムするのも、案外良いかも。
例え低ランクのモンスターだとしても、育てれば最高の戦力となりそうだ。
「・・・うーん、でも、アディライトの攻撃手段が魔法だけだと、接近戦になったらアウトだし。」
防御魔法があっても、それで確実に攻撃を防げるとは言えない。
まぁ、私が守るけどね?
絶対に、私の可愛いアディライトを傷付けさせはしない。
色々な面を考えると、やっぱり、全員に何かしらの武器を持たせたいな。
「私の理想とするのは、全員が魔法と武器の両方が使える事。それが一番ベストなんだけど・・。」
やはり、武器は必要だろう。
次に、定番の遠距離の武器と言えば弓だ。
射程距離が長いから、敵やモンスターに対して遠くから弓を放てるし、攻撃出来る。
「でも、弓と言えば、私の中ではエルフ族やディオンのような妖精族が使うイメージなんだよね。」
アディライトが使う姿が想像が出来ない。
他には、長槍。
これなら、剣なんかよりリーチがある分、アディライトへの危険は少ないかな?
後はーーー
「一応、私の中の候補として薙刀、槍、大鎌が良いかなって思うんだけど、アディライトはどう?」
私としては、オススメは大鎌かな?
イメージとしては、物語の中で登場する死神が持っているような大鎌。
『厄災の魔女』と呼ばれたアディライトが、死神の大鎌を振るう。
うん、カッコいいかも。
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