第49話 歓迎パーティー

パーティーを始める前に、コクヨウ以外の皆んなに私の従魔であるリリスの事を紹介した。

皆んな、最初は私の影から現れたリリスの事を見て、とても驚いてたけどね。



「アディライトの歓迎会でもあるのに、料理を作らせてごめんね?」

「ふふ、お気になさらず。ディア様に喜んでいただける事の方が、私は何よりも嬉しいのですから。」

「っっ、アディライトは、なんて良い子なの!!大好き、アディライト!」



アディライトを抱き締める。



「アディライトは、料理が上手なんだね?」

「料理は、私が奴隷商にいる間に教わりました。後、給仕や掃除、裁縫なども一通りの事は出来ます。」



おお、万能なメイドさんだ。

アディライトに、私が知るあちらの世界の料理を教えてみようかな?

色々と再現してくれそうだし。

こう期待、だわ。

宿にはお金を支払えば、厨房も快く貸して貰えそうだし、将来は拠点になる私達の家も買えば良い。



「・・・ふぅ、」



アディライトが入れてくれた食後のお茶で、口直し。

満腹である。



「ーーーさて、と。」



お腹もこうして満たされた事だし、そろそろコクヨウ以外の皆んなの強化をしていきますか。

まずはーーー



「アディライト。」



その手にティーポットを持ち、私に給仕するアディライトを見上げる。



「はい、ディア様。何でしょうか?」

「私ね?アディライトの強化をしたいと思うの。」

「私の強化、ですか?」

「うん、そう。これから冒険者登録を全員にしてもらって、本格的にレベルも上げていきたいと思ってる。良いかな?」

「ーーー・・分かりました。ディア様のお考えに従います。」



表情を引き締めたアディライトが、神妙に頷く。



「皆んなも、良いかな?」

「もちろんです、ディア様。」

「「(こくり)」」

「・・・はい、ディア様。」



コクヨウ、フィリア、フィリオ、ディオンの順で他の皆んなも了承してくれた。

心良く了承してくれて有難い。



「ありがとう。じゃあ、さっそくなんだけど、アディライトはどんな武器とスキルが欲しい?」

「武器と、スキル、ですか?」

「うん、アディライトが欲しい武器とスキルがあったら、与えるね?遠慮なく言って。」

「・・・はい?」



アディライトが目を丸くする。



「・・・えっと、ディア様?スキルや武器を与えるとは、一体、どう言う意味でしょうか?」

「うん?そのままの意味だよ?」

「・・・・?」



アディライトと2人で首を傾げ合った。

あれ?

意味が伝わってない?



「ディア様、アディライト達には私の方から詳しく説明いたしますわ。」



首を傾げ合う私達2人に、リリスが助け舟を出してくれる。



「リリスが?うーん、なら、お願いしようかな?」

「はい、お任せ下さい。」



自ら申し出てくれたリリスに詳しい説明を任せ、アディライトが淹れてくれたお茶のカップに口を付ける。

・・はぁ、アディライトが淹れてくれたお茶は美味しい。



「良いですか、これから話す事は何があっても、他の者に内密にしなければいけません。心して聞きなさい。」



リリスが厳しい表情で話し出す。

うん、うん、秘密にするのはとても大事な事だよね。



「私達のディア様は、偉大な方。そのディア様のお力の一部を、光栄にも貴方方は与えられるのです!」



それだけ己の主人が持つ力は絶大で、他者に知られれば厄災の元になりかねない。

リリスにとって、主人であるディアの身を守り守護するのが最優先事項。



「貴方方は、ディア様がご自身の身内に受け入れた者達です。故に、ディア様の恥になる事はこの私が絶対に許しません!!」



んん?



「美しく、お優しいディア様の側に侍られる事を光栄に思い、誠心誠意お仕えするのです。」



んんん?

・・・あれ、可笑しいな。

今から私のスキルについての説明なんじゃなかったの?



「り、リリス?」

「はい?ディア様、なんでしょう?」

「・・あの、私のスキルについての説明なんじゃなかったの?」



なんか、リリスの話が可笑しい方へ向かっているような・・・?

私の気のせい?



「まぁ、ディア様。これは大変、必要な事なのです。」

「そ、そうなの?」

「当たり前です。これからディア様にお仕えする者として、しっかりと私が皆んなを指導していきますのでご安心を。」

「う、うん?」



・・・これ、安心、なのか?

首を傾げざるを得ない。



「っっ、リリス、でも、さ?」

「はい?」

「皆んなの強化も進めなきゃだし、話は手短にね?」



延々と話しそう。

ここで、釘を刺しておかなきゃ。



「ーー分かりました。まだまだ言い足りませんが、本当に必要なディア様の事だけ説明します。」

「うん、リリス、ありがとう。」



ほっと、胸をなで下ろす。

良かっーー



「この様に、ディア様はとても謙虚な方。感謝を忘れてはいけませんよ?」



ーーく、ない。

また始まった、リリスの私への褒め殺し。



「・・・リリス。」



・・・ねぇ、そろそろ私、泣いても良いかしら?

私は頬を引攣らせた。

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