第45話 スキル改変

どうやら、私に対して敵意を向けた事に大層怒っているらしい、コクヨウ。

敵意を向けた人達に向ける目は厳しい。



「ふふ、あまり気にしなくていいよ?敵意を向けてきている人達の事は、リリスに見張らせてせるからさ。私達に何かしようと企むなら、その時は叩き潰すから。」

「・・・ディア様がそう仰るなら。」



しぶしぶ頷くコクヨウ。

ああやって睨む事しか出来ない人達は放っておいて、早くお風呂に入って、この疲れを癒したい。

あっ、今日は、アディライトとフィリアと一緒にお風呂に入ろうかな?

うん、楽しそう。



「行こう、コクヨウ。」

「っっ、は、はい!」



不服そうコクヨウの手を引き、意気揚々と敵意を向ける人達へ背を向けた。

ーーーー後日、数人の人間が己が行ってきた悪事を暴かれて、一気に没落していく事になるのを、私に敵意を向ける当の本人達は知る由も無い。



「ふふふ、このリリス、主人の敵に容赦は致しません。」



私の影の中で、リリスが残忍に笑う。

敬愛する主人に対して敵意を向ける人間を、影の中に潜んでいた彼女がすんなり受け入れるはずが無かったんだ。

彼らの破滅へのカウントダウンは、静かに始まっていた。

そんな事を知る事もなく、私は係員に案内された小部屋でアディライト、ディオン、フィリア、フィリオの支払いをその場で全て済ませてしまう。

全て、この場で一括支払いである。





名前:アディライト

LV1

性別:女

年齢:16

種族:人族

HP:465/465

MP:240/240

スキル

生活魔法、不幸集来



支払額、大金貨80枚(800万円)





名前:ディオン

LV1

性別:男

年齢:68

種族:妖精族

HP:460/460

MP:930/930

スキル

生活魔法、風魔法



支払額、白金貨100枚(1000万円)





名前:フィリア

LV2

性別:女

年齢:12

種族:魔族

HP:580/580

MP:1120/1120

スキル

生活魔法、気配察知、危険察知、水魔法





名前:フィリオ

LV2

性別:男

年齢:12

種族:魔族

HP:585/585

MP:1130/1130

スキル

生活魔法、気配察知、危険察知、風魔法





支払額、白金貨1000枚(1億円)





なかなかの金額である。



「っっ、た、確かに、全ての購入代金を頂戴いたしました。」



あまりの高額支払いに係りの人も驚いていたが、これで無事、全員の契約書を手に入れる事が出来た。



「・・・ふう、疲れた。」



全員を連れ宿に戻った私は、ソファーに凭れて息を吐く。

その私の隣には、コクヨウが侍る。

宿の方も大部屋へクラスチェンジし、部屋数も広さも変わった。

人数が大幅に増えたからね。

ベッドも人数分用意してあるし、その分、宿泊の金額が跳ね上がったけど、私に後悔はない。

奴隷だからと言って、地べたに寝かせるなんて考えは私の中には無いから。



「ーーーーさて、」



このままお風呂に入って、この疲れを癒したい所だが、まだやる事が私にはある。

お風呂は一先ず我慢だ。

まずはーーーー



「アディライト?ちょっと、こちらにいらっしゃい。」



まずはアディライトの抱えている問題から解決させていかないとね?



「っっ、あ、はい、」



手招いた私の前の地べたに正座で座り込むアディライト。

不安そうな表情で私を見上げる。



「アディライト、まず言っておくと、貴方の周りで起こる不幸は、あるスキルによるものなの。」

「・・、スキル、の、ですか・・?」

「そう。だから、そのスキルをどうにかすれば貴方の問題は解決よ。」

「・・・どうにか?それは、一体、どうすれば・・・。」

「簡単よ。」



笑ってアディライトの持つ、不幸襲来スキルを改変させる。

新しく作った、

それが、これ。




スキル改変

人が持っているスキルに干渉し改変するスキル。

ただし、自分に関わりのある相手にしかこのスキルは使用が出来ない。




このスキルの使用には条件があるが、アディライトは私の奴隷だからなんの問題はない。

新しく作ったスキル改変を使って、アディライトのスキルに干渉する。

そうすればーーーー





名前:アディライト

LV1

性別:女

年齢:16

種族:人族

隷属:ディアレンシア・ソウル

HP:465/465

MP:240/240

スキル

生活魔法、幸運集来





うん、無事にスキルが変わったね。

ーーーー不幸を呼ぶと恐れられるなら、それを幸運に変えれば良い事だもの。



「うん、これで良し!」



スキル付与によりアディライトの変わったスキルを見て、私は満足げに笑う。

うん、これで問題解決。

この先、アディライトが悲しむ事は何1つなくなった。



「これで、アディライトの不幸を呼ぶスキルは、幸運を運ぶようになったよ。良かったね?」

「・・・えっ、・・?ふえっ・・??」



困惑するアディライト。



「ふふ、だからこれから先アディライトのスキルで、もう誰も不幸にはならないって事だよ。安心して?」

「ーーーっっ、本当、ですか・・?」

「うん、本当。アディライト、これまでよく頑張ったね?」

「ふっ、っっ、う、あっ、わぁ、」




私の言葉の意味をやっと理解したのか、わっと泣き出すアディライト。

うん、うん、今まで良く頑張ったね?

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