第41話 オークション開始

一通り、会場内を見回った私達。

そろそろ時間となるので、競りが行われる会場へと向かう。

席につき待つ事、数分。



「お客様方、大変長らくお待たせいたしました!ただいまより、本日のオークションの競りを開始いたします!!」



司会の男の宣言で、ようやくオークションが始まった。

会場内の椅子は8割以上が埋まっており、結構な人数が集まっているみたいだ。

次々と出品された商品たちが出る中、私は隣に座るのを固辞するコクヨウをはべらせて、のんびりとその頭を撫でて可愛がる。



「・・・うん、仕方がないよね?」



だって、こんなにも私のコクヨウが可愛いのが悪いんだもん。

だから、私は何も悪くない。

ここには一体、何をしに来てんだよって突っ込まないでね?



「では、最初の商品はーー」



司会の人によって、商品の説明が次々と行われていく。

武器、絵画、骨董、奴隷。

紹介された商品達が、次々と競りに掛けられていく。



「続きまして、世にも珍しき左右の瞳の色が違う少女の登場です!」



・・・来た。

コクヨウの頭を撫でていた手を止め、私もステージ上に注目する。

私が待っていたアディライトが、最初にステージに上がった。



「っっ、」



アディライトのその顔は不安そうで、強張っている。





名前:アディライト

LV1

性別:女

年齢:16

種族:人族

HP:465/465

MP:240/240

スキル

生活魔法、不幸集来




私の鑑定でも、目の前の彼女は間違いなくアディライトの表示。



「まぁ、こんな大きなオークションで不正なんか主催者もしないだろうけどね。」



そこは信頼している。

バカな不正をして、信用を失うような事はしないだろう。



「おぉ、本当に瞳の色が違う!」

「あの瞳、なんとも綺麗じゃないか。」



感嘆とどよめき。

その場がガヤガヤと騒がしくなる。



「皆様、どうか静粛に願います!まずは、商品のご説明から。」



声を張り上げる司会者。



「この少女、名をアディライトと申します。年は16才。しかし、この少女にはある曰くが有るのです!」



たっぷりと数秒の間を開けた司会者は、沈痛な表情を作った。



「なんと、この少女に関わった人間に不幸が降りかかると言うのです!さぁ、嘘か本当かは、ご自身でお確かめ下さい。では、大金貨12枚からスタートです!!」



ふむ、アディライトのスタート時の金額は120万円から、か。

他の奴隷の子達より、ずいぶん高い。



「よし、大金貨15枚。」

「大金貨18枚。」

「大金貨20枚。」



次々と上がる、アディライトの落札額。

アディライトの曰くにも気にせず、次々と落札額が上がる。



「・・大金貨21枚。」

「っっ、大金貨22枚。」

「だ、大金貨23枚だ!」

「な、なら、大金貨25枚!」



ーーーさて。

アディライトの事を手に入れる為に、そろそろ私も動き始めましょうか。



「大金貨50枚。」



手を上げて金額を告げた私に、一気に会場中の視線が集まる。

まぁ、そんなの全く気にしないけどね。



「ーーーっっ、!」



私は真っ直ぐに、息を飲むアディライトだけを見つめる。

絡み合うお互いの視線。



「ふふ、」

「っっ、」



私が微笑めば、アディライトが泣き笑いの表情を浮かべる。

司会者がぐるりと会場内を見渡す。



「だ、大金貨50枚です!お客様の中に、他に名乗りをあげる方はいらっしゃいませんか!?」



するとーーーー



「っっ、大金貨51枚。」


赤ら顔で、ぷるぷるした手を上げる男。

横目で私をちらりと見る。

・・・ほう、この私と争うって事ね?



「大金貨60枚。」



ーーーーなら、受けて立つ。

すかさず、私も手を上げて、アディライトの購入金額を上げる。

負ける気は無い。



「大金貨60枚が出ました!」

「ふっ、」

「ぐっ、!!」



挑発するように、不敵な笑みを競りのお相手に向ける。

そうすれば、分かりやすく悔しがる相手。

相手の手が上がる。



「だ、大金貨、ろ、61枚・・・。」

「大金貨70枚。」

「・・・大金貨71枚。」

「大金貨80枚。」

「っっ、・・・・。」



ついに、相手が沈黙した。

悔しそうに、相手がこちらを睨んでくるけど知らん顔。

私は何も悪い事はしていないもの。



「大金貨80枚!大金貨80枚が出ました!!他に購入されたい方はいらっしゃいませんか?いらっしゃいませんね!?それでは、左右の瞳の色が違う少女は、大金貨80枚であちらのお客様が落札です!」



わっと、湧く会場内。

無事、大金貨80枚でアディライトの事を落札です!

すぐ様係員が私に近付き、競りに参加した証のカードを手渡される。

よし、これで入場時に支払ったお金は返ってくるね!



「流石です、ディア様。」

「ふふ、コクヨウ、まだ他の子が残っているわ。まだまだ気を抜かないようにしなくちゃ、ね?」

「はい、ディア様ッ!」



きらきらした瞳をコクヨウから向けられるけど、まだまだ気は抜けない。

さぁ、次は誰かしら?





現時点オークション購入者




名前:アディライト

LV1

性別:女

年齢:16

種族:人族

HP:465/465

MP:240/240

スキル

生活魔法、不幸集来



計1名

支払額大金貨80枚(800万円)





現時点オークション購入候補者



名前:フィリア

LV2

性別:女

年齢:12

種族:魔族

HP:580/580

MP:1120/1120

スキル

生活魔法、気配察知、危険察知、水魔法




名前:フィリオ

LV2

性別:男

年齢:12

種族:魔族

HP:585/585

MP:1130/1130

スキル

生活魔法、気配察知、危険察知、風魔法




名前:ディオン

LV1

性別:男

年齢:68

種族:妖精族

HP:460/460

MP:930/930

スキル

生活魔法、風魔法



計3名

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る