第13話 ルーベルン国

ルーベルン国。

目の前の男性は、そう言った。



「・・・あの、ちょっと質問があるんですが、聞いても?」

「ん?何が聞きたい?」

「この国はルーベルン、何ですか?」

「あぁ、ここは4大大国の1つ、ルーベルン国の王都だ。」



ふむふむ、大国が4つあるのね。

で、このルーベルン国がその大国の1つである、と。

情報、感謝します!



「で、この先の王都へ入るには身分証が必要何だか、君は持っているか?」

「いえ、持ってないです。」

「なら、通行料として銀貨3枚払ってくれ。規則なんでな、身分証の所持のない者は、全員に支払ってもらっているんだ。」



銀貨3枚・・・。

日本円で3,000円ぐらいかな?



「ーーーー分かりました。銀貨3枚ですね?支払います。」



払いますとも。

リデルのおかげで、お金はたっぷりあるからね!

懐からお金を取り出すふりをして、空間収納の中から銀貨3枚を出して、警備兵に差し出す。



「これで良いですか?」



・・・マジックバックがこの世界にあったら、空間収納の事を誤魔化すために優先的に買わなくちゃな。

差し出した銀貨を、警備兵が確認する。



「あぁ、確かに。」

「あの、また聞きたいのですが。」

「何だ?」

「この街のオススメの宿はありますか?値段は高くても良いので、出来ればお風呂付きの宿が良いのですが、あったら教えてください。」

「ん~、本当に料金は高くても良いのか?」

「はい、こつこつと貯めてきたお金があるので、料金は高くても大丈夫です。」

「なら、西南亭だ。高いだけあって部屋に風呂が付いているぞ。でも、本当に大お金は大丈夫なのか?」



何、部屋に風呂が付いている!?



「本当にお金は全然大丈夫ですので、気にしないでください!それより、その西南亭への地図を書いてもらえます!?」

「お、おう、もちろんだ。ちょっと待ってくれ。」



食い付いた私に一瞬身を引いた警備兵は、さらさらと紙へ地図を書いてくれる。

なんて親切な人。



「ほら、これが西南亭への地図だ。気を付けて行けよ?」

「はい、気をつけます。」



警備兵が差し出してくれた西南亭への地図を、大事に胸に抱える。

やった、これで毎日、私の好きな時にお風呂に入れるよ。



「本当、ご親切に。ありがとうございます。」



このご恩は、絶対に忘れません!

固く心に誓う。

優しい警備兵の人から良い宿の情報をゲット。



「はは、大げさだな。」



私からのお礼に苦笑いの警備兵の男性。

いえいえ、良い宿の情報に対してのお礼は絶対に大げさではないですから。



「そうだ、君は冒険者になるんだったな?なら、早めに冒険者登録をして、身分証を作った方が良いぞ。身分証を作っておかないと街への入国の際、また通行料を払う事になるからな。」

「はい、分かりました。」

「ーーーーで、他に聞きたい事は無いか?」

「無いです!」

「そうか。なら、入国して良いぞ。」

「はい!」



元気良く頷く。

ディアレンシア・ソウル。

ーーーー1つ目の国ルーベルン国の王都へ無事、入国です!



「ここが大国の王都の街、か。」



賑わいを見つつ、ルーベルン国の王都に入ってまず向かうのは、地図を貰った西南亭。

とりあえず、身体を休められる宿を確保しなくては。

書いてもらった地図を頼りに、西南亭へ。



「・・・・あった。」



歩く事、数十分。

看板に西南亭の文字を見つけた。

スキルの言語理解のおかげか、この世界の文字は無事に読めるようだ。



「うん、これもスキル様に感謝だね。」



有難い。

西南亭の外観は、立派な洋館と言えるぐらい大きくて、老舗の旅館なんだろうと思われる。

ーーーーいざ、さっそく、目の前の西南亭の中へ。



「いらっしゃいませ!初めてのお客様ですね。本日はお一人様でよろしいですか?」



西南亭の中へ入れば、笑顔の30代の女性が出迎えてくれる。

女将さん、かな?



「あの、1人です。泊まりたいのですが、まだ部屋は空いてますか?」

「もちろんです!うちは一泊、朝と夜の食事付きで金貨2枚になりますね。お昼は有料でお作りする事が出来ますよ!」

「お昼も作っていただけるんですか?」

「はい、前もって言っていただければ、お弁当もご用意いたしますよ。」



お弁当は有難い。

レベル上げで森に行く際、お弁当を宿で用意してくれるなら、お昼の心配をしなくて済みそうだ。



「宿泊のお金は先払いになりますが、何日お泊まりになりますか?」



金貨2枚。

日本円で2万円・・?

ふむ、まあまあ高級な宿の値段ね。



「じゃあ、とりあえず7日間泊まりたいです。」

「7日間ですね?ありがとうございます。では、お金は全部で金貨14枚頂きます。」

「分かりました。」



また懐から取り出すふりをして、お金を取り、女将さんへ手渡す。



「はい、確かに。後、この宿中に記帳頂けますか?」

「はい。」



お金を数え終えた女将さんが、ノートを差し出すので、記入する。

文字に関しても何の問題もなく書けるようで、安心して記入していった。

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