第5話
話は終わったから急いで帰った。
遅くなったら、父さんに殴られる。
殴られるのは嫌だ。
(俺はMじゃないし)
[タタタタタタタタ…]
「到着ー」
「鍵ねぇし…」
「最悪…」
(家に帰ったら絶対殴られる…)
(でも帰らないとめっちゃ殴られる)
(しゃぁねぇか)
[トントントン…]
(……居ないのか?)
[ガチャッ]
(開いてる⁉︎)
(しかも…この匂い⁉︎まさか!)
[ダダダダダ…]
[ダン!]
勢いよく戸を開け過ぎた。
「っっえ⁇」
帰ったら、父が殺されていた。
戸惑っていると背中がゾワっとしてしゃがんだら
「避けられた?」
困惑した声だった。
恐る恐る振り返ると背の高い男がいた。
「お前が殺ったのか?」
「ふふふふ…そうだよ」
「俺が殺った」
「何…で?」
「依頼を受けたから♪」
「殺しの?」
「そっ♪」
「何でだよ…」
「え?」
ムカついた。
「俺が殺してやりたかった」
「こんな奴は俺が殺してやりたかったんだ」
「散々虐待みたいなことやられて殺された?こいつに復讐したかったのに」
想像以上に声を荒げてしまった。
「!す、すみません!」
「声を荒げてしまいました!」
「良いって良いって〜♪」
「そんなに冷静にいられるのだって珍しいし♪」
「冷静?ですかね?」
「うんうんやっぱ冷静冷静♪」
「死体を…しかも親だよ♪」
「親が殺されて、その死体を見て冷静にいられている♪」
「お前、絶対暗殺者向いてるわ♪」
「暗殺者?」
信じられなかった。
本の中だけにいるかっこいい存在。
「ん〜♪」
「俺も暗殺者の一人ネームは寒芍薬(クリスマスローズ)♪」
「俺らの仲間も花の名前がネームになる♪」
「だけど強ければ強いほど虫の名前に変わるんだ♪」
「俺はあと2つの案件で虫になる♪」
「なるほど…」
いいなと思った。
自分もかっこよくなりたい。
「寒芍薬さん…」
「?♪」
「どうやったら…どうすれば暗殺者になれますか!」
「俺が教えればなれるよ〜多分♪…」
「教えるかどうかは俺が決めるけど良い?♪」
「はい!」
「じゃあ質問♪」
「お前の名前・性別・特技を言え♪」
「名前は夕霧零」
「性別は…女だけど男にもなれる」
「特技は…ない」
「う〜ん♪じゃあ出来ることは?♪」
「運動全般と演技…って言われた」
「オッケー♪」
「!じゃあ俺も暗殺者…」
「それはまだ決めてな〜い♪」
「最後にテスト〜♪」
「俺と鬼ごっこするぞ♪」
「鬼ごっこ⁈」
「俺に触れられたらお前の勝ちで教えてやる♪」
「日没までだけどな♪」
「範囲は…この柊町内な♪」
「分かった」
「触れたら良いんだな」
「うん♪」
「よーいスタート♪」
鬼ごっこが始まった。
鬼ごっこごときすぐに終わると思ってた。
[ダダダダダダ…]
[ダダダッ]
[ドンッ]
[ダダダダダドッ…]
(くそ!全然捕まえれねぇ!)
「だーめだーめだめ!もっと頭使わなくちゃ♪」
「クッソ…」
「じゃあ〜…再開〜♪」
[ダダダダっ…]
[ドタッ]
[ドン…ドドドッダッダ]
(罠…罠を作れば勝てる確率が上がるかもしれない!)
(罠罠罠罠…どんな罠を作ればいい⁈)
(落とし穴は無意味だろう…)
(じゃあ…足を引っ掛けるやつとか?)
(ちょっとつまずいてくれたら隙ができるし)
近くにあった紐を使って罠を作ってみた。
[タッタッタッタッタ…]
「…な〜るほど♪」
「罠作ってみたんだ♪」
「でもこんな見え見えの罠俺はかからないよ♪」
「よっと♪っってうわ⁉︎」
(今しかない!)
「タッチ!」
「クッソ〜♪捕まっちまったか〜♪」
「まさか二重に仕掛けてるとは思わなかった〜♪」
「そんなことよりこれで認めてくれた⁈」
「認めた認めた♪」
「ちょっと待ってな♪」
そう言うとスマホを取り出して誰かにメールと電話をしていた。
「すみません♪寒芍薬です♪ボスに繋いで欲しいんです♪」
「……すみません♪お忙しい中♪寒芍薬です♪」
「………はい……そうです♪依頼は達成しました♪」
「…それと弟子ができました♪」
「…はい…わかりました…」
「訓練の様子見て上玉だったら紹介をさせていただきます♪」
「……はい…」
「電話…どなたですか?」
「ん?あぁボスだよ♪」
「ボス?」
「カブト様♪」
「カブト?虫の名前じゃないんですか⁈」
「ん〜や♪ボスになった方はカブトって言われるようになるんだ♪」
「カブトっていうのは初めてボスになった方の名前なんだ♪」
「なにかと言って一番強くて怖いのは人間だからね♪」
「…確かに…人間が一番怖いですね」
父を見ていたからかよくわかる。
「…まぁそんなことはおいといて〜♪」
「電話のとおりに訓練を始めま〜す♪」
〜あとがき〜
お久しぶりです。
皆さんお元気ですか。
今回も「1人の暗殺者」を読んでいただきありがとうございます。
これからも頑張ります。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます