1-23 異世界ネコまんま
服を着て顔を洗って席に着いた。
リーザは最初床に座ろうとしたがやめさせた。
なぜ?という顔をしていたが、これからは毎日こうして椅子に座って食事をするんだと言うと素直に従った。
『ステラ リーザ用に鳥の蒸したやつと消化の良い野菜を具にしたスープを作れるか?』
ステラにリクエストすると可能だというのでお願いした。鶏肉の匂いを強めにつけることが可能ならして欲しいと頼んだ。自分の分は蒸し鶏サラダにした。
魔方陣から出現したアツアツのスープを見てリーザの眼が輝いた。黙ってこっちを見ている。唇の端からよだれが少し垂れている。
そのまま手で押して目の前へもっていく。木のスプーンとフォークも出した。
「好きなだけ食べていいぞ」
二度三度うなずくと凄い勢いで食べだした。先ほどステラにリクエストした匂いが効いているようだ。猫は味覚よりも嗅覚で味わう生き物と聞いていたので試しにやってみたら恐ろしく喰いついてきた。
チャ〇チュールという猫用おやつが麻薬並みに猫が喰いつくというブログを読んだことがある。その中で喰いつく理由を色々考察していたが一番わかりやすかったのが猫は匂いで食べるという説だった。やってみたら大正解。
体が弱っていたリーザが食が細いと治りが遅くなるのでどうやったら食べるかを考えていたのだった。
かわいい子が全力で食べている姿はこっちも幸せになれる。深皿に入ったスープをぺろりと飲み干し、空になった皿をじっと見ていたのでもう一杯出してあげたところ、しっぽを振りながら一心不乱で食べ始めた。
「誰も取らないからゆっくり食べなさい」そう言うと、少しだけ食べる速度が落ちた。
デザートに出した果物ムースも最初は怪訝な目で見ていたが一口食べさせると目を大きく開き、その20秒後には完食した。少なかったかな?
俺はお茶を飲みながら、リーザは梨のような味のするフレサを絞って作ったジュースが入った木のコップを両手で抱え、大切にちびちびと飲みながら今後の話をした。
「さて、今の状況を説明するね。ここは魔の森と呼ばれる辺境。プレネスという鉱山都市へ向かっている途中でエンマリアという奴隷商から君をもらい受けた。で、そこでゴブリンの群れに襲撃されて今ここで立て籠っている訳だ」
「外で騒いでいるのはゴブリンですか?」
「そうだ。あの連中を何とかしたいが、今はうるさいだけで実害はないから放置しておく。食料は大量にあるので、しばらくは旅に出る準備をしようと思う。リーザは何か戦える術はある?」
「一応短剣と格闘は使えます。それと探知術と隠密術と身体強化スキルがあります」
「分かった。この後はどうする?いつまでも立て籠もっている訳にはいかないからな。一緒に来るか?一緒に来るなら申し訳ないが戦ってもらうことになるとは思うが」
コップに残ったジュースを見ながら少しだけ考えてこちらをその大きな瞳で見た。
「はい。それは大丈夫です。コージ様のお役に立てたら、それが私の幸せです」
「ありがとう。これからもよろしく」
その後、二人で庭に出て体を動かした。リーザの体調は本調子ではないので軽く動く程度だ。見た目も問題ないし、ステラさんのスキャンでも問題は無いようなので明日から本格的な連携の訓練にすることにする。その後、ハンドガンの射撃を見せた。一緒に戦う以上隠せるものではないからだ。すごく驚いていたが、その有用性や危険度はすぐに理解できたようで戦闘経験があることを暗示した。
彼女の動きを見ながら、今晩中に俺の新武器とリーザ用の武器を一気に作ることにした。
特に一昨日大量のゴブリンと戦って連射の効かないハンドガンでは役不足な場面が多々あった。アサルトライフルは別途必要だろう。それに遠距離での戦闘に備えた狙撃銃や1対多数での局面や一撃威力の大きい弾が使えるショットガンも欲しい。地球世界ではこんなに持てないので意味がないが、ディメンションストレージがあれば戦車ですら運べる今の俺には有用なのだ。
他にもリーザ用の短剣や小柄な体格で扱えるサブマシンガンも欲しい。弾種は増やさないけど。
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