1-4 人は見た目が9割9分9厘

『ステラ すごすぎじゃね! すごいよ マジで』


年甲斐もなく思いっきりはしゃいでしまった。想像していたよりもはるかに高性能。女神様ありがとう。一生シモベとしてついていきます。


でも、ふと思ったのだが女神様謹製3Dプリンタってやたら高性能過ぎないか?


『まず、年甲斐もなくというお客様ご自身のご指摘ではございますが、転移の際ご要望通り肉体を15歳相当に再構築しました。ですので年甲斐もなくという訳ではなく年相応の行動と思われます。但し外見は特にご指定がなかったためデフォルト設定、従来通りのママとなっており変更はございません。後程ご確認ください』

 

おおおおっいいいいい。今サラッとすごい事言っていたよな。何で見た目はおっさんのママなんだよ!見た目はおっさん、心は少年って逆〇ナンじゃねぇかよ!!単に痛い奴じゃねーかよ!! マジ勘弁してよ 泣きそうになった。 確かに冷静になって考えてみれば頼んでなかったのは事実だ。だけど だけどさ もう少し配慮というか 気配りがあってもよかったんじゃね? これって思いっきりハンデだよね。俺のチーレムドリームはどこ行ったんだ!


『特に変更のご要望はお受けいたしておりませんでしたので従来通りとさせて頂きました。悪しからずご了承ください。

尚、お問い合わせの女神様のプリンタは高性能すぎるというご指摘でございますが、女神さまは3Dプリンタをご存知なかったようでしたので地球世界の管理神様より見せて頂いた物を元に作られたようです』


今 さらっと話題変えたな ステラめ  で、女神様は何を見たんだろうか?


『2200年製造の惑星開拓団用汎用3Dプリンタシステムを見せて頂いたそうです。私の内部データもそのモデルのエミュレーションデータが残っております』


2200年ってひょっとして2020年を勘違いしたのだろうか?


『神々は人間界の年号表記を見ていないので大体この時期でいいんじゃね?という地球の管理神様の一声でこのモデルに決まりました。そもそも神々と人間では時間の感覚が全く異なりますのでこの位なら誤差の範囲内と考えているようです』


おおおおっいいいいい 雑過ぎるだろ。地球の管理神様や。確かにその惑星にある素材を加工して製品に組み上げるという用途を考えると最適だがオーバーテクノロジー過ぎやしないか?女神様や。


『じゃ 未来の武器とかも作れるの?例えば全長4mの鋼鉄の棺桶 最低野郎共の・・・・』

『いえ 不可能でございます』被せる様にダメ出しが・・。心が折れた・・・ 作りたかったのに  

『このファブリケーターは手元にある素材+魔力を材料に正確な図面とイメージにより魔法で加工することで”部品”を創り出す複合魔法です。部品単位でイメージできない物を創り出すことはできません』


『検索魔法で2200年 地球の武器 で正確な設計図は出てこないの?』

『はい 最初に女神様が申していました検索できない事象の1つでございます。転移した以降の事象は検索不可となっております。もしお望みでしたらご自身で設計しイメージすれば作ることができるかもしれません』


 まあ そこまで都合良くはいかないか。それでも自分で考えたオリジナルの物を作れるのは楽しそうだ。


『お客様 お喜び中恐縮ではございますが、シャツやズボンも必要でございます。引き続き制作お願いします』ステラの声掛けで現実に引き戻される。


その後、白い綿のようなランニングシャツに綿っぽい素材のデニムシャツとジーンズっぽい生地でカーゴパンツを作った。靴は素材が足りないので追加で収納した木の皮を使ってサンダルを作り とりあえずこれで良しとした。落ち着いたらこの時代の違和感のない物を改めて作るつもりだ。


さてパンツはいたらようやく落ち着いた。


で、ところで、重要な問題が発生したことに気が付いた。


腹が減った・・・・。


人間の悲しい性だが 落ち着いてくると、のどが渇き腹が減ってくる。水が飲みたい・・・


『ウォーター と詠唱ください。 水が目の前に出現します』 ステラが頭の中の願望を読み取り次にすべき行動をサジェストする。 すげーー 奇跡の人かよ。Go〇gle先生かよ。S〇ri様かよ。


右手を伸ばし手のひらを上に向け、詠唱すると目の前に冷たい水の塊が空中に浮かんだ。おもむろに口をつけ飲む。 う・ま・い。感動で泣きそうだ。そう言えば何も食べてなかったから腹が減ってきた。飛ばされてきたときは夕方だったから今何時なんだろ?


『こちらに出現した時刻は午前5:45になります。あれから2時間13分経過いたしましたので現時刻は午前7:58になります。時刻は間もなく午前8時をお知らせいたします』

サンキュー ステラ 時報ありーー 


『朝食を食べたいのだが何かないか?』一応聞いてみた。ひょっとしたら女神さまが何か持たせてくれたかもしれないから一塁の望みを持って聞いてみた。

『現時点でディメンションストレージ内にストックはございません。この近隣での採取をお勧めいたします』

『採取では何が採れる?』


『森の外苑部から中ほどで果物やキノコが採れると推定されます。地球上のイメージで言いますと樹木にはマンゴーにバナナ状の皮がついたイーゴやみかん状の皮を持つ梨のような味をしたフレサ、桃の親類的な果樹アルボルの自生が予測されます。まずはこの辺の物を採取し食事をした後、森で引き続き素材収集をすることをお勧めいたします』


ステラによると まだ戦闘能力自体が低いので魔獣に襲われるリスクを避けながら資源を集め最低限の衣食住を揃えることを優先した方がいいと提案された。この森で薬草と果物、木を採取した後 廃鉱山へ向かいぼた山で金属と各種土をを採取。近隣の比較的安全な場所で拠点を作り、装備を整え、チュートリアル的なトレーニング後に都市へ向いながら魔獣を狩りつつ戦闘訓練をするスケジュールだ。狩った魔獣の一部は都市で売却し資金にし、残りは原材料として保存しておくことも提案された。


この時点で分かっていることは 見た目がおっさんのママでモテそうにもない事と女神様がくれたユニークスキルがとんでもない規格外だったこと そして何となくこの世界でやっていけそうな気がしたことだった。

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