1-2 ”やさしく分かる ガルムガルド”

シェミエル様のプレゼンは下記の通り


・これから行く先は”ガルムガルド” 地球世界の下位構造にある。元に戻れない理由はすべての宇宙世界においてこの構造は逆行できないから。悲しいけどこれ真理なのよね(By女神様)


・文化的には地球の16-17世紀位。所謂、剣と魔法の世界へようこそ 産業革命前夜って感じらしい。因みに魔物や魔獣、亜人はいるが魔王や魔人はいないとのこと。地球世界の下位構造世界のため物理法則はほぼ同じだが大気や地中には魔素とよばれる物が酸素のようにあるらしい。これがあるおかげで魔法が使えるそうだ。魔法がある分、違いもあることに留意して欲しいし、社会や経済等は似て非なる点が多々あると思うとのこと。


・社会は貴族が統治する世界。王>貴族>豪商・豪農>庶民・自作農>奴隷・小作農の構造。貨幣経済初期、市中取引は貨幣を使うが農民は納税は農作物で行うらしい。平均寿命は人族で60歳位だそうだ。結婚は15-20歳くらい 子供2-3人が一般的な家族像。貴族は一夫多妻が多く子供の数も多いらしい。市民には多種多様な職業があり、お約束の冒険者や傭兵といったファンタジー職もあるそうだ。やったね!。


亜人にはそれぞれの社会があるが人族と共生しているエリアもあれば、関わらず独自に生きているエリアもあるらしい。猫耳もモフモフもあるんだよ(By女神様)


・仮に物質そのものを転移させると次元に穴が開くが、これが修復されないと地球を含めたこの大宇宙体系自体が崩壊する。今回の疑似強制転移はあくまでも緊急避難的裏技処理。要は魂と肉体を結界というフィルターに通すことによって排除するための方策だそうだ。なぜ裏技的かと聞くと、フィルターを通り抜けた魂が生命を持つ肉体を再構築する際に必要な魔力的なエネルギーが膨大だから。今までは全て次元の狭間で彷徨う羽目になっていたから問題が起きなかったとのこと。

 今回俺が初めて通ってしまいそうなで大騒ぎになっているそうだ。そのため申し訳ないがお金やアイテム等を持たせることができない。その代わり俺が望むチート気味の能力やスキルを複数与えるので上手くやって欲しいとのこと。これらのスキルが慰謝料替わり。

 参考までに同じ理由でガルムガルド世界にも転移魔法や瞬間移動はないらしい。ただ片側だけ開けることはできるので空間収納というスキルはあるそうだ。


・物質的なものは持ち込めない。肉体そのものはこの世界に置き去りになり魂や記憶、身体情報が送られ向こうで再構築され新しい肉体を手に入れる。再構築される肉体に各種スキルや身体能力を与えることが出来る。希望とあれば若返ることも可能だし足の長さや顔の造形、髪や瞳の色を変えることもできる。元々上位世界の地球からガルムガルドへ転移すると基準値が違うので身体的な能力自体は強化された状態になるが、更に上げることが可能らしい。ひゃっはーーし放題じゃぞ ひゃっほいひゃっほい♪(by女神様)


・転移先は比較的こちらの文明に近い国の辺境境界未確定エリア。都市に向かう前にそこでスキル等に慣れてから向かって欲しいとのこと。ついていきなり奴隷狩りに捕まるのも面白くないじゃろ?って確かにそうだ。


・ガルムガルド世界には技能スキル・魔力適正・ユニークスキルがある。スキルは2000種類以上あるそうだが、鑑定魔法持ちや教会やギルドにあるスキルオーブ以外では見ることができない。先天的に備わる物の他その関連する職に長くついていると後天的に備わることもあるそうだ。


・魔法は10分野 水・風・土・火の4属性魔法の他に空間・無・光・闇・聖・生活の独立した体系の魔法がある。生活以外は魔力適正が必要。因みに生活魔法は何故かスキル扱い。魔法持ちは全人口の1/3位。全属性を扱える人はいないらしい。それは矛盾する属性(聖と闇、水と火とか)を内包するからだ。どの属性でも最初に発動する時にコツがいるので家庭教師を雇える貴族は有利。魔力量は先天的なもの+鍛錬で増やすことができる。尚 古代魔法という魔法体系もあったが今は廃れてロストテクノロジーになっているそうだ。なんかこれ厨二っぽくてかっこいいかもって思ってしまった。


・身体能力やスキルレベルは鍛錬の他、魔物や魔獣を倒すことでも得られる。ジョブは無くトレーニング+経験+魔道具や魔法の組み合わせで身体能力を向上させ、持つ武器や会得したスキル・道具によって役割を変えていく。モンスターをハントするゲームの仕組みが近いかもしれない。


「さて、ここからが肝心の話じゃが どのような能力を望むのじゃ?」


「まずは言語理解と体を15歳くらいに戻してほしい。向こうの世界へ行ったとたん老後の心配をする羽目になるのは勘弁だから。それと全領域の魔法を扱えるようにしてほしい。わがままで申し訳ないが今の世界で得ている能力や技能を置き換えるようなスキルが欲しい。もう一つ、分からないことを地球とガルムガルドすべてで検索できる魔法が欲しい」


「肉体に関しては元々上位世界から転移する段階でかなり強化されるので心配せんでもええ。魔法やスキルに関しては最後の以外は問題ないのじゃが 最後の検索だけは地球世界の管理神と相談してみるのじゃ。ちと待っておれ。」


若干の間が空いたが女神シェミエル神が戻ってきた。


「制約が付くが構わないか?世界の真理とか未来情報は無理じゃが」


「それは構わないよ。」


「ではユニークスキル ファブリケーターを授けよう。このスキルは全魔法領域をお主に使用可能にした上でお主が地球世界で使っていた、妾にはよく分からん3Dプリンタ、3DCAD、3Dスキャナと呼ばれる物を魔法で代替えできるようにした、一種の統合開発環境というやつだと思ってくれ。その他 鑑定魔法と検索魔法も組み込んでおいた。使い方はナビゲーターを脳裏で呼び出すと会話形式でサポートしてくれるようにしてある。」


おお なんかすごいぞ。ちっょっと感動して言葉が出ない。


「さて どうじゃ?決まったか?」


「ああ 行く気になったよ。それと最後に一つ頼みたいことがあるんだ。今いる世界のことだが死体を残して欲しい。行方不明は流石に迷惑が掛かりすぎるので」


「お安い御用じゃ。ちゃんと路上での心筋梗塞にしておくのじゃ。」

これで心残りはなくなった。


そろそろ出発の時間のようだ。女神シェミエル神とは長いようで短い付き合いだった。


「俺は向こうに行ったら何をすればいい?」


「好きに生きるとええ。それが妾達のお詫びじゃ。ただ、できれば困っている人や生物がおったら少しだけ手助けしてやって欲しい。それとな、どんな世界でも神は地上へは介入できない。それだけは覚えておいて欲しいのじゃ」


「分かったよ。肝に銘じておくよ。また話すことは可能か?」


「教会で祈りを捧げれば手が空いて居れば構わないぞ。何かを手伝うとかはできないが」


「了解。色々とありがとうな。また会える時を楽しみにしているよ」


「ああ 達者でな。これからの人生思いっきり楽しむんじゃぞ」


段々と周りの景色が霞み始めて意識を失った。

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