文学理論その4.回帰物語
何でも作る機械が最後に作り出したものは何でも作る機械だった…といった物語を
e.g.魔法のランプ
少年時代、父と旅したシリアのアレッポで、私は、その声を聴いた。
「アラジン*のランプが
以来四十数年、私は
ランプ探しのためにアラビア文化を研究し尽くし、その世界的権威となった私は、やがてアラビア王族の娘と結婚し
「私の嫁入り道具の中に、こんなものがありましたわ」
ある日のこと。妻のジャスミンが私の書斎にやってきた。彼女は、美しい
もしかしたら…と、私は思った。まさか…と、私は首を傾げた。一応、「アブラカダブラ*」と、私は冗談半分に、しかし研究した通りの正確な発音で呪文を唱え、ランプを擦ってみた。
ランプの
「ランプの精でございます。お望みは何ですか? 巨万の富ですか、それとも絶大な権力ですか?」
『アラー・アッディーンと魔法のランプ*』は、お
どんな望みもかなえてくれる!…興奮した私はランプの精に向い、叫ぶように言った。
「巨万の富? 絶大な権力? そんなものには何の興味もないね。私の望みはたった一つだ。今すぐ、アラジンの魔法のランプを探してきてくれ」
「かしこまりました御主人様」
ランプの精は極めて事務的に言って、窓の隙間から出て行った。
*アラジン(علا الدين/Alā' al-Dīn)
*アヴラカダヴラ:אברא כדברא/avra K‘Davarah:Turn out as I say。
*『アラー・アディーンと魔法のランプ』:18世紀初頭、Antoine Gallandがフランス語訳『アラビアン・ナイト』で紹介した物語。
*ガランはこのmystery story (怪奇物語)を1709年にアレッポ出身の知り合いから採取したと云われる。
因みにアラジンは、中国在住者。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます