講義録「ギャグ問のすゝめ」

記号論その２． M家５歳長男のタヌ記号論

「狡猾（こうかつ）」が「狸」の共示義（きょうじぎ）（connotation：副次的な意味）である。狸親父の「狸」は共示義。意味は「（狸の様に）狡猾な中年男性」　狸寝入（たぬきねい）りの「狸」は狸の生態に由来するので共示義ではなく表示義（ひょうじぎ）（denotation）。M家の長男は５歳の時に母親から「狸寝入り」＝「ウソ眠り」と教えられ、さらに「お父さんみたいに人を騙（だま）して喜んでいる人を狸親父（タヌキおやじ）って云うのよ」と刷（す）り込まれ、ついに狸の共示義を「ウソ」or「騙詐（へんさ）」であると確信するに至った。以下は、タヌキという形態素（けいたいそ）(morpheme：意味を有する最小の言語形態）と他の形態素を組合せ、彼と彼の母親が造った複合語（compounded）である。

タヌキ泣き：ウソ泣き

タヌキ褒（ほ）め：お世辞

タヌキ貧乏人：隠れ資産家

タヌキもの：偽物（にせもの）

タヌキブランド：偽ブランド

タヌキつき：嘘つき。タヌツキとも。

カワタヌキ：かわうそ

タヌキまけ：わざと負けること。八百長（やおちょう）のこと。

タヌキ馬鹿：本当は利口（りこう）な人。

タヌキ話：ほら話

タヌキわけ：ウソの言い訳

たぬきそば：そば粉0%の食品偽装蕎麦（しょくひんぎそうそば）。

タヌ木：プラスチック製の観葉植物（かんようしょくぶつ）。

振り込めタヌキ：振り込め詐欺。

タヌキセレブ：ドンキホーテでブランド品を買う人。

タヌキ食品：偽装食品（ぎそうしょくひん）。

たぬKey：偽の鍵。

けうちさん：たぬきが化けた竹内さん。

かはしさん：たぬきが化けた高橋さん。

なかさん：たぬきが化けた田中さん。

みさん：たぬきが化けた三田さん。

サンクロース：たぬきが化けたサンタクロース。

コンピュータヌ：たぬきが化けたコンピュータ。コンピューとも。

緑のたぬき：麺の色が緑色ではないカップ麺。

「みどりのタヌキ！」：お友達の美登里ちゃんに向かって「みどりの嘘つき！」という意味で使った言葉。ミドリちゃんはポカンとしていたらしい。　

タヌ金：金色をしているが金（きん）ではない金属。真鍮（しんちゅう）とか。５円玉はタヌ金貨

関連用語

きつね蕎麦（そば）：大阪で「きつね蕎麦」に化けた都民タヌキはすぐに東京者（モン）だとバレ

　る。大阪に「きつね蕎麦」はないからだ。

　大阪では油揚げをのせた蕎麦を「たぬき」、油揚げをのせたうどんを「きつね」　　

　という。因みに、揚げ玉をのせたうどんは「ハイカラ」という。

狐（きつね）の嫁入（よめい）り：偽装結婚（ぎそうけっこん）のこと。

タヌキのはらづつみ：タヌキの腹巻のこと（腹鼓は「はらつづみ」）

こふく前進（鼓腹前進）：はらつづみを打ちながら前進すること。

　因（ちな）みに「不服前進」は、愚痴（ぐち）をいいながら前進すること。

てぬき親父：中途半端（ちゅうとはんぱ）な仕事しかしない中年男性。

キヌタ：東京都世田谷区にあるタヌキが逆立（さかだ）ちして歩いている町。

ケンタヌキーFC：従業員が全員タヌキ顔のフライドチキンの店。

　創業者はカーネルサンタヌス。