文学理論その1.異化

・異化(Остранение露・Verfremdung 独・differentiation英):見慣れた事物を「よそよそしく」表現して初めて見たように異様に感じさせ知覚の自動化を避ける手法。シクロフスキー(V.B.Shklovskii 1893~1984露)やブレヒト(B.Brecht 1898~1956独)が提唱。


 以前、私は恩師に或る文学理論について質問した。

「“異化”ってどんな理論ですか?」

「ああ、それはね、プールの中で踊るのが好きなロシアの文学理論家が概念化がいねんかした理論で…」

「シクロフスキーはシンクロ好きーだったんですか」

「まあね。あと、平泳ぎが得意なドイツの作家も…」

「ブレヒトはブレストが得意だったんですか」*breaststroke:平泳ぎ

「まあね? では、今現在より後(”以下”の異化?)に例を挙げて説明しよう。その名を聞くと誰もが石段を思い浮かべる温泉町(“伊香保イカほ温泉”の異化?)の旅館で夕食を出された時の話だ。私が、白く半透明の海産物(“烏賊イカ”の異化?)の切り身を口にすると、美味しいと言わないとイカんぞと威嚇イカくするように「イカがですか?」と女将おかみが言った。「美味しイカも」と私は答えた。舌を心地好く刺激する味(“美味”の異化?)だったので食べ過ぎて一過性イッカせいの上部消化器官の炎症(“胃潰瘍イカいよう”の異化?)になり近くの内科なイカ胃カイカメラをのみに行かイカねばならなかった。

「時間が無く、このような好い加減いイカげんでイカれた説明しかできず、思い通りにイカず心残り(“遺憾イカん”の異化?)だが、こんなもんでいいかイーカな? ところで今日は何日だったっけ? 」

「三つ並べると獣の数字*になる数の日です(“六日むイカ”を異化してみた)」

理解りイカいしてくれたようだね。よかったら、君の研究にイカしてくれ」

「イカした説明ありがとうございました」


*獣の数字:ヨハネ黙示録13章18節にある不吉な数字

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