第10話 家族
=========女の子の目が私から一時も離れていない========
歳は10歳くらいだろうか?
長い髪をひとつにまとめて、大きなリボンをつけている。
足元には真っ赤な靴!
とても印象に残る靴だった。
「お父さんに挨拶しないの?」
40代の女性が女の子に声をかけた。
・・・・・・・・・・・・・今お父さんって言ったのか?・・・・・・・・・・・
女の子は小さく首を横に振った。
女性は軽く微笑みながら女の子の頭をなでている。
「恥ずかしいのかな?」
女性が私に話しかけてきた。
「お母さん」
女の子は小さな声で女性に話しかけた。
「お父さんは病気なの?」
「そうねー少し病気だから入院してるのよ」
この会話の流れから想像するに、女性は女の子の母親で、私が女の子の父親となると・・・・・・・。
=============女性は私の奥さん?============
限りなくそういう事になるのは必然だ!!
まったく見覚えが無いのが罪悪感さえ感じてしまう。
「少しは何か思い出した?」
私・「あまり思い出してなくて・・・・・。」
当然のことだが、私は初対面の女性と話をしている口調になる!
「大変な事がいろいろあったから、少し休むように神様が・・・・。」
と言いかけてやめた。
その時、ほんの一瞬だが女の子が女性の手を強く握ったように見えた。
気のせいかもしれないが、確かにその行動と同時に女性が言葉を止めた!!
「お父さん、早く良くなっておうちに帰ってきてね」
先ほどまで女性の陰に隠れて恥ずかしそうにしていた女の子とは別人のような口調だった。
私・「ありがとう・・・・。」 とだけしか答える事が出来なかった。
「お父さんは疲れているみたいだから、もう帰ろうよー」
意外にも女の子からの提案だった。
女性はさっき言葉を止めてから一言も口にしなかった。
「はいはい」
とだけ言いながら女の子の手をひいて部屋から出ようとしている。
ドアを開け、こちらを向きながら軽く微笑んで部屋のドアを閉めた。
・・・・・・・・帰り際に何も言葉を発しないまま・・・・・・・・・
何が起きているのかまったく想像もつかない!!
1つだけ分かった事は、私には家族がいるという事!!
ただ、その事が余計に想像がつかなくなる原因になった事になるが・・・。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます