第4話 転院
・・・・・長かった検査が終わった・・・・・
とにかく疲れた!
こんなに病院で検査をするのはおそらく初めてだと思った。
高価な人間ドックより盛沢山だと思う。
地下の検査室から例の看護師に連れられて病室に戻る事になったが、相変わらずエレベーターの中では一言も声をかけてこない。
普通は「検査多くて大変でしたね」とか「体調大丈夫ですか?」とか・・・。
自分の病室に戻ると、おそらく両親という年配の2人の姿は無かったが、なんだか少しほっとしたのは何故なんだろう?
病室の時計を見ると午後の6時を回っていた。
検査に向かってから実に6時間も検査をしていたことになる。
確かに疲れて当たり前だと思うと同時に空腹感も覚えた。
5分もしないうちに例の看護師とは服装の色が違う看護師?が食事を運んできてくれた。
「名前を確認しますねー東条さんですか?」
もう既に自分が「東条」という人間だという認識を持っている事が不思議に思った。
「はい、東条です。有難うございます」
久しぶりの食事に思えた!
病院の食事を一生懸命に調理していくれている人達にはとても感謝しているとはいえ・・・・。
「味が、う・・す・・い。」
ただ、食べ終えるまでの時間は数分もかからず食べ終えた。
=====これからどんな事が起きるんだろう====
・・・・・・・・・・夜が明けた・・・・・・・・・・
昨夜は検査疲れと久しぶりの食事で気が付いたら眠っていた。
睡眠薬を飲んだみたいに・・・・・・。
昨日までの事が夢であって欲しいと思いながら目をこらしてみたが、やはりどうしても白い天井に楕円形のカーテンレール風景!
「昨夜は良く眠れましたか?」
昨日の看護師がとても優しい声で声をかけてきた。
検査に行く時とはまったく別人のようだった。
その後ろから両親?が一緒に部屋に入ってきた。
「少しは何か思い出したか?」
父?がそう言って私の肩をポンと叩いた。
「昨日の検査結果によっては家の近くの病院に移る事になるからな」
「伊藤君が自分の病院に転院出来るように手配してくれたから」
伊藤君?
まったく誰の事を言っているのか分からないが、自分の事を分からない事に比べたら何も感じないのは当たり前なのだろう!
===========午後2時===========
「検査の結果では特に異常は無かったので、今日中に退院して大丈夫ですから」
いつもの看護師が説明に来たが、そういえばこの病院に来てからまだ1回も医者と話していない事に違和感を覚えた!
=========医者が居ないってことは無いだろう========
そして見覚えの無い車の後部座席に乗りその病院を後にした。
運転しているのは父?で、助手席には母?が乗っていた。
少しして高速道路に入って2時間ほどで、先ほどの病院の4倍位大きな病院に到着した。
貞享大学付属病院と看板に書いてあった。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます