第3話 疑問
・・・・・・・「これからいくつか検査に行きますね。」・・・・
そう言われてベッドから起き上がった。
少しめまいがする。
点滴スタンドを、片手に持ちながら看護師の後を着いていく。
多分両親であろう二人が心配そうに見ている。
軽く会釈をした。
おそらく肉親では無いくらいの他人行儀で・・・。
意外に大きな病院だと思った。
廊下が長い。
エレベーターで地下に降りた。
その間、看護師が一言も話をしてこない。
・・・・・ひとつの疑問が生まれる・・・・・
エレベーターが地下1階で止まった!
看護師が先に降りて無言で歩き出した。
なんとなくその後に続いて歩き出した。
「この椅子にかけて待っていて下さい」
「名前を呼ばれたら部屋に入って下さいね。」
先ほどの病室にいる時とはあきらかに声のトーンが違う!
・・・・・またしても疑問が生まれる・・・・・
「東条さーん」
「東条さーん」
明らかにこっちを向いて呼んでいるような・・・・。
その人はこちらに近づいて来た。
私の点滴を見ながら、
「東条さんですよね?」
私・「え?」
そういえば自分の名前が分からない事を思い出した。
しかも今まで自分が東条と言う名前だという事も聞いていなかった。
私・「あ、はい」
「これから頭のMRI検査をしますので部屋に入ってください」
「特に金属のような物は持っていませんか?」
私・「持っていないです」
そもそも下着1枚に病院の病衣みたいな服を着ているだけだ。
・・・・・ここでまた疑問がひとつ・・・・・
誰が着替えさせたんだろう?
自分の着ていた服はどこに?・・・・・・・
=====疑問ばかりが浮かんでくる=====
検査室の中もそこそこ広い!
部屋の中心に大きな機械が設置してある。
その機械のベッドに寝かされ、身体をしばられ、頭を固定され、変なカバーを頭からすっぽり被せられた。
こうなったらまな板の何とかだと思った!
まぁ、まな板の何かは覚えていないが・・・・・。
30分程大きな音が鳴っているのを聞きながら検査が終了した。
「はい、次は脳波の検査になりますので、一度廊下に出て待っていてください」
私・「分かりました」
・・・・・・・・5分程待っていた。・・・・・・・・
・・・・・・・・ほかの部屋から・・・・・・・・・
「東条さーん」
今度は反応した!!
まったく自分だとは思っていないが反応だけはした!!
それからいくつもの検査をした。
いくつもの部屋でいくつもの検査をしていると、アドベンチャーワールドにいるかの如くいろんな部屋を行き来した。
・・・・・最後の方は「東条」という固有名詞に馴染みさえ感じるほどに・・・・
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