七夕デート
「どうですか?」
本日七月七日は七夕で、テストが終わったから駅前でやっている祭りに行こうということになった。
雪奈は健斗の家じゃなくて自分の家に帰り、以前買ったという浴衣を着て姿を現す。
「めちゃくちゃ可愛い」
「ありがとうございます」
白を基調とした花柄の浴衣はとても似合っているし、何より髪をポニーテール調にしているのが普段と違って可愛く思える。
いつもは見えないうなじを触ると、雪奈は「ひゃん」と可愛い声を出す。
どうやらうなじも敏感らしく、今夜はポニーテールの雪奈とさせてもらうことにした。
☆ ☆ ☆
「人が多いですね」
「そうだな」
七夕祭りがやっている商店街には家族連れや友達同士、カップルなど沢山の人がいて賑わっている。
たこ焼きや焼きそば、じゃがバター、金魚すくい、射的などの定番の露店があり、今日はいっぱい楽しむことが出来るだろう。
「離れたらダメだよ。せっかくの七夕デートだし」
「はい」
これだけ人が多いとはぐれる可能性があるため、健斗は離れないように雪奈の手をしっかりと握って歩く。
七夕デートに反応したのか、雪奈から「えへへ」と笑みが溢れる。
とても可愛く、彼女の笑みを見たらこちらまで幸せな気持ちでいっぱいだ。
(この笑顔を守ってあげたい)
一緒に歩きながらも健斗はそんなことを考える。
雪奈の笑顔は健斗にとって国宝級の可愛さがあるため、絶対に彼女の笑顔を失わせることはしたくない。
だから健斗は雪奈なら離れることはしないし、必要であれば何でもするつもりだ。
「雪奈はどうしたい?」
せっかくの七夕デートを楽しみたいので、雪奈に訪ねる。
「その……たこ焼きを買って一緒に食べさせ合いたい、です」
頬を赤らめながらも、雪奈は恥ずかしそうに答えてくれた。
あり得ないほど可愛くて抱き締めたいが人が多い今はやるべきではないだろう。
抱き締めたら歩くスピードが遅くなり、後続の人に迷惑がかかってしまうのだから。
「じゃあ買おうか」
「はい」
丁度たこ焼き屋さんを見つけたので、健斗は雪奈を連れて露店の前で止まる。
店員に「たこ焼き一つ」と言って頼む。
お金えお払ってたこ焼きを受け取り、人気が少ない方へ手をしっかりと握って雪奈と一緒に向かう。
「熱々ですね」
人の列から離れた場所で座ってプラスチック制のパックを開けると、湯気が漂う美味しそうなたこ焼きが目に入る。
目の前で焼いたのをすぐに食べられるのが露店のメリットだ。
「はい、あーん」
爪楊枝をたこ焼きに刺し、雪奈は健斗の口元に持ってくる。
近づけられただけでたこ焼きが熱々なのが分かり、健斗はたこ焼きを頬張った。
「あつ……」
口に含んだたこ焼きを「あふあふ……」と空気を入れて冷ましながら食べる。
ここ最近は雪奈の手料理ばっかり食べていたが、たまには露店の食べ物もいい。
あのたこ焼き店は当たりらしく、大きいタコが入っていた。
「美味しい。雪奈に食べさせてもらうと余計に美味しく感じるな」
頭を撫でながら言うと、雪奈はまたも「えへへ」と笑みを浮かべてくれる。
人の列から離れているとはいえ皆無ではなく、雪奈を見ている人は多い。
健斗がいなかったた間違いなくナンパをさせているだろう。
だけどナンパさせるわけにはいかないため、健斗は雪奈に密着して離れない。
「次は雪奈の番。あーん」
爪楊枝をたこ焼きに刺して雪奈の口元に近づける。
髪に手を当てて食べる雪奈はとても色っぽく、彼女本人を食べたくなってしまう。
だけどこんなことで襲いかかるわけにはいかず、健斗はグッと我慢する。
雪奈ならどこでも応じてくれるだろうが、人目につく場所では絶対にしたくない。
他の人に雪奈の身体を見られたくないからだ。
今はセフレの関係だが、独占したくてしょうがない。
「健斗くん、あーん」
たこ焼きの他に、焼きそばも食べさせ合った。
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