一緒にご飯

「うんま……」


 白鷺家でそのまま夜ご飯を食べることになった健斗は、素直な感想口にした。

 春奈特性にご飯はとても美味しく、特に唐揚げは衣はカリっとしていて中身はジューシーで絶品だ。

 雪奈の料理も美味しいが、やはり主婦である春奈の方が一枚上手。

 見た目はとても高校生の娘がいるようには見えないくらい若々しいが。

 将来の雪奈もここまで作れるようになる可能性があると思うと笑みがこぼれてしまう。


「ふふ、ありがとう。お義母さんって呼んでくれたらもっと嬉しいのだけど」

「それはまだ遠慮しときます」


 さらっと家族にしようとしている春奈に、健斗はお断りを入れる。

 あくまで雪奈とはセフレの関係であって、本当に付き合っているわけではないからだ。

 その内呼ぶ可能性があるかもしれないと一瞬だけ思ってしまったが、口にしないで心に止めておく。


「あらあら、健斗くんは大胆な行動をする割には恥ずかしがり屋な一面もあるのね」


 恥ずかしいわけではなくてお義母さんと呼びたくないだけなのだが、そんなことは言えずに苦笑いするすかなかった。

 どうやら春奈は雪奈と違って少しSっ気があるらしい。


「お母さん、健斗くんを困らせないで」

「そうね」


 雪奈の一言で春奈の弄りが終わったことに、健斗は内心ホッと胸を撫で下ろす。

 下ネタも平気でぶっこんでくるため、苦手なタイプだと病院で知り合っていた時から思っていた。

 嫌いではないが、雪奈みたいに仲良くは出来ないだろう。


「健斗くん、お母さんのことは気にせずにご飯を食べてください」

「ありがとう。あーんってして食べさせてほしいな」

「はい」


 隣に座っている雪奈の頭を撫でながら言うと、嬉しそうな笑みを浮かべた雪奈が箸で唐揚げを挟んで口元まで持ってきた。


「あ、あーん」


 唐揚げより頬を赤らめている雪奈を見てしまうが、健斗は口元に持ってきてくれた唐揚げをきちんと食べる。

 先ほど自分で食べた時より美味しいような気がした。


「何このバカップル……」

「これが二人にとって平常なんだよこの前お兄さんの家に行った時は、私たちがいるのに発情しちゃって寝室でおっ始めたからね」

「わお……いくら思春期とはいえ盛りすぎね……」


 何やら春奈と夏奈が言っているが、雪奈によりもう一つの唐揚げが口元に持ってこられたので食べる。


「幸せそうな雪奈を見てると同棲を解消しろなんて言えないわね」

「そうだね。お兄さんと一緒にいる時のお姉ちゃん今までにんしくらい幸せな顔をしているよ」


 どうやら春奈は健斗の骨折が治ったら同棲を解消させるつもりだったらしい。

 確かに高校生女の子が異性の家でずっと暮らすものではないだろう。

 でも、幸せそうな娘の姿を見て、このまま同棲してもいいと思ってくれたようだ。

 実は同棲を止めるように言われるんじゃないかと心のどこかで思っていたので、このまま続けられて一安心する。


「雪奈、次は口移しで」

「はい。ん……」


 唐揚げを口に咥えた雪奈は、顔をこちらに近づけていく。


「んん……」


 唐揚げを一口で頬張るも、健斗は雪奈の唇から自分の唇を離さない。

 モグモグ、と唐揚げを食べながら、同時に雪奈の唇を味わう。

 流石に一度口にした唐揚げを雪奈の口の中に入れるわけにはいかないので、しっかると口を閉じたまま噛む。


「んん……んちゅ……」


 健斗にされることなら何でも嬉しそうする雪奈は、こんな状態でも嫌がろうとしない。

 本当に尽くしてくれるセフレで、ずっと一緒にいたいと思える。

 ギュっと抱き締め、しばらく雪奈の感触を味わってからご飯を食べた。

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