猫の真似をさせる

「健斗く……ひゃん……」

「今はにゃあでしょ」

「にゃあ……」


 猫と全然戯れることが出来なかった健斗は欲求不満になってしまい、帰りに色んな物が格安で売っている店で猫耳を購入し、雪奈に付けさせた。

 猫耳を付けて頬を赤く染めている雪奈の顎下を優しく撫でたら甘い声を出し、今は猫の真似をしてほしいのでにゃあやにゃん以外の声を出すことを許していない。


「喋ったからお仕置き」

「あ……にゃあ……」


 白くて綺麗な首筋に牙を立てる。

 痛みが快感になる雪奈に噛みついたのではお仕置きじゃなくてご褒美になってしまうが、したいからするだけだ。

 噛みつかれているのに甘い声を出す雪奈は、もはやドMの鏡だろう。

 少し脂汗が出ていることから痛いとは思っているのだろうが、でも、雪奈にとってはその痛みがいいということだ。


「にゃあ……」


 噛むのを止めてみると、雪奈は不満そうな声を出した。

 今はにゃあしか言えないから想いを伝えられない雪奈は、途中で噛むのを止めないでほしいと思っているだろう。


「雪奈が満足しちゃったらお仕置きにならないだろ」


 もう少し強く長めに噛みつけば雪奈は大きく体を震わせただろうが、お仕置きだからそこまでしない。

 してほしいことを中途半端で止めるのがお仕置きには一番いいのだ。

 実際に今の雪奈はもっとしてほしそうにウルウルとした瞳でこちらを見つめている。

 とっても可愛いが、今は我慢して噛みつかない。


「にゃう……」


 噛みついてくれないのであれば甘えるしかないと思ったのか、雪奈は自分の頬を健斗の頬に擦りつけた。

 主人からするマーキング、とは違うが、どこかに行ってしまわないように自分の匂いを付けているのだろう。

 猫耳を付けて甘えてくる雪奈はとても可愛いので、今日はこのまま猫でいさせようと思った。

 それに猫カフェで欲求不満になったため、ひたすら猫の真似で甘えてもらう。


「猫雪奈を食べちゃうのもいいかもね」

「にゃんにゃん」


 いっぱいしていいですよ、と訴えているような声だった。

 先ほどの物足りなそうな表情とは違い、今は完全に欲情してしまっている顔だ。

 噛みつかれた痛みのせいでスイッチが入ってしまったのだろう。

 早く襲いかかってきてほしいのか、雪奈は自慢の大きな膨らみをムニュムニュと押し付け、今や今やと待っているかのような表情だ。

 最初は一緒にいるためにセフレになったのだろうが、今では雪奈から誘惑してくる時がある。


「にゃあ、にゃあ?」


 まだ、まだ? と言っているような猫撫声は、まさに健斗を誘惑している以外の何物でもない。


「やっぱり止めた。猫に興奮する主人はいないでしょ」


 猫とは戯れたいのであって、エッチなことをしたいわけではないのだ。

 耳元で呟くと、雪奈は「にゃう……」と寂しそうな声を出す。

 あまり意地悪するのは可哀想なので後でするが、今は猫耳雪奈を楽しむ。


「にゃん、にゃふ……」


 スウゥゥ、と壊れ物を優しく扱うように服の中に手を入れて背中を指でなぞり、雪奈の柔肌を味わう。

 左手は雪奈の太ももに置き、ひたすら彼女の身体を触っていく。

 きちんと毛の処理をしているから産毛すら感じられずに滑らかだ。


「うん。襲わないのは無理だ」

「にゃん……んん……」


 雪奈を押し倒してキスをする。

 甘い声や柔らかい感触などを味わっていると、興奮してしまう。

 猫と人間は違うため、雪奈と戯れていて襲わないなんて無理な話だ。


「猫雪奈をいただきます」


 健斗は満足するまで雪奈と身体を重ねた。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る