拘束してみた

 六月半ばには、健斗の骨折は完治していた。

 右手首の包帯も取れ、激しく動かしても痛みはない。

 ただ、整形外科での診察はもうないが、未だに記憶が抜け落ちているとこがあるからか、健斗は同病院内で精神科を受診しなければいけなくなった。

 頭に異常があって記憶喪失になったわけではないし、医者は何か精神的なショックがあって記憶を失ったんじゃないかと判断したらしい。

 以前に両親を交通事故で亡くしているからその時のショックが関係あるのかもしれない、と医者から言われたが、健斗自身は違うと思っている。

 確かに全く関係がない、と言ったら違うかもしれないが、雪奈を助けた時の事故に死者はいないため、安心して記憶が戻っていても不思議ではない。

 なら何故記憶が戻らないのか……考えてみた結果、雪奈が関係している可能性が非常に高い。

 未だに雪奈のことは忘れたままだし、事故の時か少し前に彼女と何かあったと考える方が自然だ。

 何があったか聞いてみたいが、怖いと思う自分もいて聞くことが出来ない。


「こんな物か」

「あの、健斗くん……あう~……」


 精神科の受診を終えて家に帰ってきた健斗は、通販で購入した拘束具を雪奈の手足に付けた。

 右手首と右足首、左手首と左足首に革製の拘束具を付けているために膝を立てなければならず、ミススカートの中が丸見えな状態だ。

 今まで拘束具なんて付けたことがないからか、雪奈は耳まで真っ赤に染めている。


「これで絶対に逃げられないね」


 手足を拘束されては、立ち上がるどころか身体を起こすのも難しいだろう。


「健斗くんからは何があっても逃げませんよ」

「知ってる」


 雪奈は拘束具を付けられる時も抵抗しなかったので、恥ずかしいだけで嫌ではないらしい。

 好きな人のために頑張って尽くしてくれるのだし、これくらいでは断らないだろう。

 相当マニアックなことをしているが。


「雪奈とこうやってイチャイチャする」


 ベッドで横になっている雪奈の上半身をお越し、健斗は彼女の背中を自身の胸元へとくっつけた。

 両手足を拘束されているから体育座りのように膝を立てて座っている雪奈の足とお尻の間に自身の足を滑り込ませる。


「拘束した雪奈を俺が襲うのもいいかもね」


 どんなことをされても拘束されていては抵抗することが出来ない。


「私は健斗くんにされることには同意してますので、襲うにはなりませんよ」


 むしろ襲われることを期待しているかのような瞳で見つめられる。

 もう右手が復活しているので、これから雪奈を目一杯気持ち良くさせることが可能だ。

 エッチなことは勿論のこと、右手で頭を撫でることも出来る。


「雪奈、こっちを向いて」

「はい。んん……」


 こちらの方を向かして雪奈にキスをした。

 ゆっくりと、かつ濃厚に唇を堪能し、拘束している雪奈の全てを味わう。


「健斗くん……んん……」


 いっぱい濃厚なキスをして彼女を蕩けさす。

 今日は夏菜やひよりがいないため、邪魔されることはない。

 ただでさえイチャイチャぶりにドン引きされているのだし、雪奈を拘束しているとこを見られたらさらに引かれるだろう。

 逃げることはないと分かっているから拘束する必要は一切ないのだが、何故かしたくなってしまった。

 もしかしたら未だに雪奈についての記憶が戻らない影響なのかもしれない。

 事故の前は深い関係ではなかっただろうし、今は独占出来てこれからも離したくないと思っている影響が拘束するという形で表れているのだろう。


「今日はこのまましようか」

「はい。いっぱいしましょう」


 拘束具を付けた雪奈を押し倒し、思う存分彼女の身体を堪能した。

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