永遠なるバカップル

「雪奈、ちゅー」

「はい。んん……」


 学校での昼休み、人気のない屋上前の階段に来た健斗は雪奈にキスをした。

 最近はここに来てご飯を食べる前にキスするのが日課だ。

 ねっとりと濃厚なキスは雪奈を蕩けさせ、もはや彼女はキスなしでは生きていけないくらいになっただろう。

 キスは雪奈の熱くて柔らかい唇をいっぱい堪能出来るので、健斗自身も毎日しないと満足出来ない身体になっていた。

 背中と頭に手を回し、ひたすら雪奈とのキスを堪能していく。


「学校でもこんなに濃厚なキス……本当に二人は見境がないですね」


 キスをしていると視線の先にニヤニヤと笑みを浮かべた夏菜が立っていたが、健斗は気にせずキスをする。

 雪奈はキスに夢中になりすぎて夏菜の存在に気づいていないらしい。

 普段だったら反応するし、驚いて離れようとするのだから。


「健斗、くん……んん、んちゅ……」


 ここ最近の雪奈は積極的になってきており、一度し出すと中々止めようとしない。

 キスだけで昼休みが過ぎてしまってもおかしくないくらいに求めてきている。

 雪奈をこんな風にしてしまったのは健斗自身のため、別に止めろと言うつもりはない。

 不特定多数の人にキスするのであれば止めさすが、雪奈は絶対に健斗しか求めないので、止めろという理由がないのだ。


「まさかのまだキスしてる。以前のお姉ちゃんなら考えられなかったことだよ」


 驚いたような顔でこちらを見た夏菜は、明らかにドン引きしているだろう。

 確かにセフレになった頃の雪奈は恥ずかしさで積極的ではなかったが、今の彼女は自らしてくることはないが、こちらからするとスイッチが入って本当に止まらない。

 さらには基本的に雪奈は異性には近寄ろうとしていなかったので、夏菜からしたらせ天地がひっくり返ったように驚いたことだろう。


「雪奈、夏菜が来てるよ」

「え? な、なななな何で夏菜がいるの?」


 健斗の声でようやく夏菜がいることに気づいたようで、キスを見られた恥ずかしさからか雪奈の頬を含めて髪の隙間から見える耳までカアァァァ、と真っ赤に染まる。


「お兄さんとお姉ちゃんのイチャイチャ観察」

「そんなの観察しなくていいよ」


 見られて恥ずかしそうにしている雪奈と、見れて嬉しそうにしている夏菜……どこから見ても性格は正反対の姉妹だ。


「それにしてもお兄さんのテクニックは凄そうですね。お姉ちゃんはとろーんてしてますし」


 濃厚なキスをされて未だに雪奈の瞳は蕩けており、夏菜が来なかったら今日は止まらなかっただろう。

 流石に学校で抱くことはないが、少しばかりエッチなことをしていた可能性はある。

 健斗と雪奈の濃厚なイチャイチャを見れると期待して、夏菜は授業が終わってから探したのだろう。


「確かに健斗くんのテクニックは凄いけど……」


 いくら好きな人相手でも、テクニックがなければここまで蕩けたような表情になることはないだろう。

 好きというのも蕩ける一つの要因になっているかもしれないが、健斗のテクニックがあってこそ雪奈はこんなにもエッチになってしまったようだ。


「そうだよね。先日家に行った時のお姉ちゃんの声は凄かったし」

「あれは忘れて……」


 人前で欲情してしまったのは、雪奈にとって忘れたいことらしい。

 欲情をぶつける相手が全部健斗だからいいものの、人前での欲情は良くないだろう。

 先日のこともあって少し自重しようかと思ったことはあるが、やはり男の本能のは叶わなかった。

 いつでもどこでも雪奈とイチャイチャしたくなってしまうのだ。

 授業中だって雪奈のことを考えているし、夢でも彼女とイチャイチャしている。

 もはや健斗は二十四時間雪奈のことを考えていると言っても過言ではないだろう。


「俺は雪奈と過ごした日々を少しも忘れたくないな」


 コツン、と雪奈のおでこに自分のおでこを軽くくっつけて告げる。

 セフレの関係であるが、健斗にとって雪奈と過ごした日々は絶対に忘れることは出来ないし、これからも忘れたくない。

 そして何よりずっと雪奈と一緒にいたいと思っている。


「私も、私も健斗くんと過ごした日々は忘れたくありません。そしてこれからも……」


 ──一緒に思い出を作っていきたいです。


 そう思っていそうな雪奈に見つめられる。

 両手は指を絡め合うように繋ぎ、おでこをくっつけながら夏菜がいても気にせずに見つめ合う。


「本当にバカップル……」


 ドン引きしているであろう夏菜にそう言われたが、ずっとずっと健斗は雪奈を見つめていた。

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