痛みがほしい

「健斗くん、えへへ」


 夜。寝る前にベッドでイチャイチャしていると、雪奈は嬉しそうに笑みを浮かべた。

 好きな人と毎日一緒にいれれば嬉しくもなるだろう。

 セフレの関係だが、今の雪奈は幸せでいっぱいのはずだ。


「んん……」


 幸せそうな顔をしている雪奈にキスをし、先ほどまでもいっぱい味わった彼女の唇を再び味わう。

 ギュッて力を入れて抱き締め、絶対に離すことをしない。

 それは雪奈も同じようで、健斗の背中に腕を回して足も絡めてくる。

 ずっと側にいてほしい、そう思っていそうな顔をしている雪奈も絶対に離そうとしない。

 一緒にいたいがためにセフレの関係になった雪奈の想いは本当に凄いと思う。

 異性には冷たく接すると聞いたので、事故の前は健斗にも塩対応だっただろう。

 だけど事故に遭いそうなことを助けられてから態度を一変させ、健斗のセフレなの? という発言から関係が変わった。

 好きで好きでしょうがないから、どんな関係でも一緒にいたいのだろう。


「健斗、くん……」


 蕩けた瞳で見つめられる。

 強く抱き締められたことで、痛みが欲しくなったのだろう。


「健斗くんの全体重を私にかけてください」


 グイグイ、と自ら下になろうと雪奈は身体を動かす。


「流石に全体重はしんどいんじゃないか?」

「大丈夫です。健斗くんによる痛みは全て快感に変換されますので」


 確かに行為中は痛みを求めてくるし、いっぱい痛みを与えてほしいのだろう。

 元々素質があったが雪奈をドMにしてしまったのは本人なので、求められては応えるしかない。

 雪奈は健斗のお願いを全て応えてくれるのだから。


「分かった。無理そうだったら言ってくれ」

「大丈夫です。来てください」


 頷いた健斗は、雪奈の上に股がってゆっくりと体重をかけていく。

 密着して体重がのしかかるにつれて、雪奈の口から甘い声が漏れる。

 痛みが快感になる雪奈にとっては、これくらいは問題ないだろう。

 もしろ全体重を一気にかけてほしいと思っていそうな顔だった。


「はあぁぁ……これはいいです」


 平均より体重が細いとはいえ、健斗の全体重をかけられるのは普通の女性だったら耐えるこちはまず無理だ。

 でも、雪奈は健斗の体重で明らかに快感になってしまっている。


「健斗くんに与えられる痛み、苦しみ……これがほしいんです。健斗くんの全てを感じられる気がするから」


 ここまでドMなのにビックリだが、雪奈に痛みを与えたいと思っている自分にも驚きだ。

 もっと痛みに依存させ、永遠に自分のものにしてしまいたい。


「雪奈」

「はい。んん……んちゅ……」


 体重を乗せながらキスをする

 一方の雪奈はもっと体重を乗せてほしいのか、手と足を背中に回してきてギューとしてきた。

 かなり体重により苦しくなってきていいるはずだが、まだまだ足りないようだ。


「健斗くんの全てを感じられて嬉しいです。健斗くんも私の全てを感じてください。もっともっと私だけを求めてください」

「そうさせてもらう。夜はまだまだ長いよ」

「はい。はあん」


 沢山、沢山雪奈を抱きまくるのだった。

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