テスト終了後のプレゼント

「やっと終わった~」


 中間テスト最終日、全日程が終わって終了となった。

 クラスメイトたちは「打ち上げでカラオケに行こう」とか「買い物に行きたい」などと話している。


「お疲れ様です。どうでしたか?」


 てくてく、と可愛らしく雪奈がこちらにやってきた。

 きちんと字を書けたか心配してやってきたのだろう。


「大丈夫だよ。雪奈が手伝ってくれたおかげで問題なかった」


 利き手より綺麗に書けたわけではないが、きちんと先生が読める字で書けたつもりだ。

 これなら赤点を取らずに済むだろう。

 ありがたやー、と思いながら、健斗は雪奈の頭を撫でる。


「良かったです」


 撫でられて嬉しいのか、雪奈は瞼を閉じた。

 好きな人に褒められるのが雪奈にとっては幸せなのだろう。


「テスト終わったし、これからデートに行こう」

「はい。喜んで」


 指を絡め合う恋人繋ぎで手を繋いで教室を出た。


☆ ☆ ☆


「何を買おうかな」


 健斗が雪奈を連れて訪れた場所は、駅前にあるショッピングモールの中のアクセサリーショップだ。

 指輪やネックレス、ブレスレットなど、アクセサリー類が沢山置いてある。


「健斗くんが付けるんですか? 普段は何も付けていないようですが」


 確かに健斗はアクセサリー類を付けることはない。

 お洒落に興味があるわけではないし、アクセサリーにお金をかけるくらいなら好きな漫画を買った方が有意義だと思っているからだ。

 でも、今日は珍しくアクセサリーを買おうと思っているのだ。


「雪奈にプレゼント買おうと思って」


 セフレになった時から考えていたことで、雪奈にある物をプレゼントしたいと考えている。


「私の、ですか?」

「うん。受け取ってくれるよね?」


 雪奈に近づき尋ねると、彼女は嬉しそうに「はい」と答えてくれた。

 異性プレゼントするのは初めてのことだから何にしようか迷うが、どんなのを買うかは決めている。

 後は色や値段を見て決めるだけだ。


「どれがいいかな?」


 買うと決めているジャンルがあるとこに着いたので、雪奈に問いかける。


「チョーカー、ですか?」

「そう。雪奈が好きなのがあればそれにする」


 健斗が買おうと思っているのはチョーカーだ。

 最初は指輪にしようと思ったが、付き合っているわけではないので止めた。

 だけど雪奈を独占しているという証が見た目にも欲しい……そう思った健斗はチョーカーを彼女に付けたいとなったわけだ。

 チョーカーを男が女にプレゼントするのは、きっと独占欲の現れだろう、と健斗は勝手に思っているだけなのだが。


「健斗くんが選んでくれるのであれば、何でも嬉しいですよ」


 本当に嬉しいようで、雪奈は「えへへ」と笑みを浮かべている。

 独占したいと思っている健斗の意志も感じとってくれたのだろう。

 どんなに穢れた関係だろうと一緒にいたいと思っているだろうし、雪奈にとって独占されるのは嬉しいはずだ。

 チョーカーをプレゼントされて喜んでいるのが何よりの証拠。

 雪奈もアクセサリー類は身に付けていないので、他の人にプレゼントされても付けないだろう。


「そうか。付けたら外させないけどな」


 ずっと俺のもの、とアピールしたいため、健斗は雪奈の首にチョーカーを付けたら絶対に外させない。


「大丈夫ですよ。健斗くんからのプレゼントを私が身に付けないわけないじゃないですか」


 恋愛は惚れたら負け、と聞くが、実際にその通りだと健斗は実感する。

 ひよりから聞いた異性と一緒にいるのが嫌だと言っていた雪奈が、健斗を好きになって一生懸命尽くしてくれるのだから。


「じゃあこれにしようかな」


 健斗が選んだのは黒いチョーカーだ。

 銀髪に白い肌の雪奈が付ければ目立つため、学校の人たちは健斗からのプレゼントだと思うだろう。

 リードを付けるような金具みたいのもあって少し犬の首輪に近いが、お洒落で付けていると思われるより独占したくて付けていると他の人から思われたい。

 だから犬の首輪に近いチョーカーの方がいいだろう。

 雪奈が反論することがなかったため、健斗はチョーカーを買った。




「早速つけるね」


 健斗はチョーカーを包みから取り出した。

 頷いた雪奈の首チョーカーを付ける。


「えへへ。健斗くんからの初めてのプレゼントですね」


 心の底からであろう笑みを浮かべた雪奈はとても可愛い。

 この笑顔を見れるだけでもプレゼントした甲斐があり、さらには周りに雪奈は男に独占されていると思わせることも出来て一石二鳥だ。


「じゃあ、帰ろうか」


 帰っていっぱいイチャイチャしたい。


「はい」


 嬉しそうに頷いた雪奈と一緒に手を繋いで帰った。

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