家での勉強とイチャイチャ

「やっぱりまだ無理……」


 テストまで残り三日、家で健斗は勉強していた。

 勉強の内容は理解出来ているが、どうしても書いた文字が歪んでしまう。

 利き手じゃない方で書くとこんなにもいびつになってしまうのか、と思わずにいられない。


「私は一段落ついたので、また手伝ってあげますね」


 リビングで一緒に勉強していた雪奈が、教室でした時と同じように手を添えてくる。

 ここ数日見ていて分かったことで、雪奈は勉強が得意だ。

 なのでテスト前だろうが、健斗に時間を割く余裕があるのだろう。

 雪奈の手から伝わってくる温かい感触は本当に心地好く、これからも沢山甘えてしまいそうだ。

 同棲し始めて分かったことはもう一つあり、尽くしてくれるために雪奈は好きな人を駄目にしてしまう才能があるらしい。

 一年以上ずっと一人で家事をしていた健斗ですら、既にダメダメになりそうなのだから。


「雪奈がいて助かる」

「ありがとうございます。健斗くんに褒められると嬉しいです」


 好きな人に頼られるのは嬉しいようで、えへへ、と雪奈は可愛らしい笑みを浮かべる。


「ゆっくり書いていきましょう。何としてでもテストまで間に合わせてあげます」


 雪奈が言うなんとしてでもは、まず間違いなく自分を犠牲にしてでもだろう。

 記憶が戻っていなから詳しくわからないが、恐らく雪奈は学年でもトップクラスの成績のはず。

 もっと自分のために勉強すれば、雪奈は学年主席でもおかしくないかもしれない。

 だから申し訳ない気持ちになるのだが、自分の勉強をしてと言っても雪奈は私のせいで右手が使えなくなったので健斗くんのために時間を使います、と言って手伝うのを止めないだろう。


「雪奈が支えてくれると書きやすいな」


 まるで健斗の動かす方向が分かっているかのようで、スラスラと文字を書ける。

 テストも特別に雪奈が手伝ってくれたらいいな、と思ってしまったが、いくら何でも無理だろう。


「ありがとうございます。健斗くんは勉強が出来るみたいですし、字のせいで赤点になるのは嫌ですからね」


 赤点を取ってしまうと補習を受けなければならないため、二人きりでいる時間が減る。

 彼氏彼女の関係になりたいと思っているであろう雪奈にとって、健斗が赤点を取ることは避けたいだろう。

 もちろん健斗自身も赤点を取りたくないので、字を綺麗に書ける練習をする。

 雪奈とイチャイチャする時間を減らされたくないからだ。


☆ ☆ ☆


「ふう……疲れた」

「お疲れ様です」


 字の練習をして一時間ほどたち、雪奈が冷たいお茶を入れてくれた。

 しばらく集中していて喉が乾いていた健斗はコップに入ったお茶を一気に飲み干す。


「夜ご飯作り出すまでもう少し時間があるし、イチャイチャしよ」


 ソファーに座った雪奈を引き寄せる。


「雪奈ってスカートばっか着るよね」


 今の格好もミニスカートで、綺麗は足が露出されている。


「はい。スカートの方が健斗くんが好きかなって思いまして」

「好きだな」


 一部の人はともかく、美少女のミニスカート姿を嫌いな人は中々いないだろう。

 実際に健斗はミニスカートから出ている足を何度も見てしまうし、太ももを触りたくもなる。

 もう何度も触っているのだが。


「健斗くんの好みに合わせるのもセフレである私のお仕事です」


 本当に好きな人のためなら何でもしてくれるな、と思いつつ、健斗は雪奈の顔を胸に埋めさせる。

 もっと健斗のことを感じたいのか、雪奈はおでこを胸にグリグリと押し付けてきた。

 とても可愛いし、ずっと一緒にいたい気持ちになり、優しく雪奈の頭を撫でる。


「スカートって寒くないの?」


 外を歩いているスカートの女性を見るとたまに思うことだ。


「慣れだと思います。それに私の場合は健斗くんにくっついて温まれるので」


 先ほどから……いや、お見舞いに来てくれている時から雪奈の発言に健斗は胸キュンしまくりである。

 いつでも温めてあげたくなるし、こちらももっと求めてしまいそうだ。


「キスしたい」

「はい。んん……」


 他の人が触れたことすらない雪奈の唇にキスをする。

 いつしても柔らかくて熱くて癖になってしまい、一日でもキス出来なくなったら発狂してしまいそうだ。


「んん……」


 一度してしまうと止めるタイミングが分からなくなり、ひたすら雪奈の唇を求める。

 キスのせいで少し息苦しくなる時もあるが、それでも求めるてしまうのは本能なのだろう。


(もっと好きにさせたい)


 今でも尽くしたいと思っているくらい好きになっているだろうが、もっと惚れさせたいという気持ちが強くなってしまう。


「んん……んちゅ……」


 沢山キスをし、雪奈がご飯を作り出すまでたっぷりと楽しんだ。

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