第12話 おやすみ

鈴吉は『みっちゃんのくだものや』の小庭の隅で丸まっていた。

居間からはさんまの焼ける良い香りがしている。

拓郎はきっと、盗っ人の自分を怒ってはいても追い出すような真似はしないだろうと長年の付き合いで分かり切っていた。

ガラガラと軋んだ音を鳴らして戸が開く。

鈴吉は思い切り猫なで声をあげた。

拓郎は。


「しょうがねえなあ。ほら食えパカ猫!」


と言って、さんまの身を一欠片投げた。

鈴吉はそれをペロリと平らげて思った。


『だから猫はやめられないぜ! メシも食ったしひと眠りするかな。おやすみ人間たち」


そうしてまたまん丸になると、穏やかな眠りにおちていった。


おしまい。

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Highway Star with 目黒のさんま みつお真 @ikuraikura

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