チートスキル「一発逆転ボタン」を手に入れた僕が最強になれない筈が無い

notice ：魔王

　異世界『メルビル』において『魔王』とは、他世界からやって来る『異能』を宿した存在を指す。言ってしまえば『チートスキルが突然、宿ってしまった存在』を指すのだ。

　時には大気を操り、嵐を引き起こし。

　時には虫を扇動し、街を喰らい尽くし。

　時には炎を従え、全てを灰に帰す。

　宿るのは人に限らず、動物、植物、昆虫、など生物であれば種を選ばない。とある古書には『一匹の蛇が国を半壊させた』という伝説も残っていた。

　場合によっては小さな虫に『時を止める能力』が備わる事もあるのだろう。しかしいくら強力な能力を持とうとそれを使う知能がなければ意味がない。その為、小さな体を持った生物はあまり脅威にはならない様だ。もちろん、例外もあるようだけど。

　メルビルには時折、こういった『魔王の種』と呼ばれる超常の力が流れ着くそうだ。明確な形があるわけではなく、一説によると実体のない『光の玉』なのだとか。

　力が破壊に利用されれば『魔王』と呼ばれ。

　人を救えば『英雄』と呼ばれる。

　僕の住むこの『フルビス王国』には、現在６名の英雄がいるそうだ。彼らは時折現れる『魔王』たちを倒す為、日夜国中を駆けまわっているらしい。

　言ってしまえば、僕の『一発逆転ボタン』も『魔王の種』と呼べる。大きな事件を解決していけば、いつか僕も『英雄』と呼ばれるようになる……かも、しれないね。