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彼女、エイリィン・トーラスライトの目前には今、――世界を滅ぼした『機械』がいた。
「――ッ!」
『損傷軽微。挙動演算ノ再設定。完了。敵性個体ノ行動予測ハ、現在80%ノ精度ト ナリマス』
「ああもう! いちいち報告しなくてよろしいッ!」
彼女の手ではありとあらゆる武器が光をまき散らしながら生み出され、そして破壊される。その致命的な破砕音が、山の内側の広大な空間に響き、響き、響く。
そして、――それを眺める『悪魔』が一匹。
「(……、……)」
ただ静かに、悪魔は、
目前の死闘を無感情に眺めながら、別の思考に埋没していく。
「(
彼女にとって、それは完全なイレギュラーであった。
心を折り、取れる手段を一つずつ潰し、詰め将棋じみた準備で以って彼を投了させた。あとはただ、彼の
「(どう考えてもマズい状況だけど、どう考えてみてもこの状況が分からない。どうして、アイツは消えた? わざわざ数カ月の準備期間を掛けてアイツをこれ以上ないって形で
彼女が逃げもせずポップコーンを頬張っているのには理由がある。彼女は、魂を持つものすべての上位存在である。
彼女にとってすれば、この世界に根差す敵は『命じれば』それだけで自壊する。世界を、彼女が止めて見せたように。
そして、
――他方。
エイルと『機械』、パーソナリティとの死闘は、空間を削り飛ばし火花に変えるような鮮烈さでなおも続いている。
タガの外れたような粒子砲の連射がエイルのすぐそばを擦過し、エイルの剣の奔流がパーソナリティの鉄の身体の表面を撫でる。彼女の造り出した巨大な斧をパーソナリティは毛髪一つ分の移動で回避し、パーソナリティが吐き出した光の濁流を、エイルは神造の剣二振りで斬り飛ばす。
「
詠唱と共に、地下空間一帯の地面に錆色の剣が突き刺さる。その直後、パーソナリティの吐き出した光がエイルの剣を打ち据え、叩き砕く。続くパーソナリティの二撃目を彼女は、突き刺さった剣の一本を抜き去って切り捨てた。
「どうだ鉄塊! 貴様の光は私の剣が無限に切り捨てる! だから降伏をっとォ聞けよ!! 攻撃すんな! 聞け! ハルの野郎はどこ行った!?」
「返答ヲ拒否。アナタノ行動予測ノ精度ハ現在82%デス」
「ご丁寧にどうも! 煽ってんのかコイツゴーレムの分際で! っていうか二分前まで77%だったのにこの一瞬で2%も上がるわけがないんだよさては小数点切り上げてんだろお前ぇ!!」
「返答ヲ拒否」
「そうですか!!」
軽口じみた応酬の最中にて。
エイルの胸中はしかし、――ド級の焦燥感で塗りつぶされていた。
「(行動予測って言うのがあまりにも厄介だ。アイツ本当の本当に、私の攻撃を予知して
最初はギリギリの攻防が続いていたはずだった。それが時間をかけるにつれ、予備動作を把握され、それを読まれ、今に至っては予備動作よりも前の時点で敵はコチラの攻撃に適切に備え始めている。
「(こちらの攻撃手段は殆ど無限なのに、それでも読まれてる。なら向こうが予想しているのはこっちの細かい攻撃の種類じゃない。恐らくは、こちらの予備動作から大雑把な攻撃の範囲を予測しているんだ)」
彼女の騎士としての経験が、苛烈なる戦闘の最中にて冷静に推理を紡ぐ。
「(それを為せるのは……!)」
――俯瞰的にコチラを分析する外野がいるから。
彼女は胸中で中指を立てながら、この死闘を高見で見物する、夥しい量のドローンを睨みつける。
「(あの連中がこの戦いに参加しないのは、下手な戦力じゃ私を止めることも出来ないと理解してるからだ。だから外側からの分析に徹してる。だけど……)」
下手な戦力でも、屑鉄の濁流として襲ってくるのなら話は分からなくなる。向こうが恐れているのは不必要な損耗なのだろうが、それを必要と断じる瞬間が来れば戦況は一気に向こうに傾く、……
「(
――彼女の掌で雷が廻り出す。
彼女にとって、魔術という手段は剣戟に比べて心もとないモノであった。それでも彼女が、騎士の才覚を少なからず割いて魔術の習得に割いたのは、――彼女が、騎士であるためのことだ。
騎士とは何かと彼女に問えば、その答えはあまりにも明朗なものとなる。
――騎士とは、美しく鍛えた剣で以って戦うものだ。
それが叶わぬ局面を全て撃ち落とすために、彼女は雷という手段を得た。
「パーソナリティ。これでは、一騎打ちとは言えませんね。群体の魔物よ。――しゃらくさいからちゃんと全員でかかってきなさい!
掌で廻る雷を、彼女はそのまま地面に叩きつける。すると、――雷鳴。
否。そんな生半可な音ではなく、それはまるで、雷が目前に墜ちたような災禍だ。
電圧により地面が陥没し、その周囲に
『――、――。』
崩落。
数十メートル上の、ドローン群がひしめく階層が文字通り破裂した。赤熱し膨張し、はじけ飛ぶ。それと共にドローン群は、コップの水を壁にぶちまけたように派手にまき散らされる。
「
そして、更なる災禍。彼女の叫びと共にその周囲数メートルの地面が輝き、幾重の武器のサークルが現れ、――空へ射出される。
数え切れぬ剣の逆雨。それが降りしきるドローン群と真正面から衝突し、数十メートルの上空で爆発じみた火花が舞った。……しかし、
「(手応えは皆無。全部が全部、ギリギリで威力を殺しましたか。流石に十把一絡げではありませんね。……さて、どうしたモノか。わざわざハチの巣を突いてみはしましたが、連中の飽和攻撃をいかにいなしましょうか)」
鉄の雨が殺到する。そして目前には、次の光を吐かんとするパーソナリティの姿。
『
「作戦を本当に筒抜けにする奴だ。良いでしょう、かかってきなさい。――真正面から受けてやろう!」
いや、正しくはそうではない。脈動したのはあくまでパーソナリティであって、
――その鼓動が、世界を揺らした。
『――メテオ、実行』
「
そしてパーソナリティが、
星と、そう形容する他にない。あの機械の射出口からどうやって吐き出したのかもわからぬ、それどころかあの身体そのものよりもなお巨大で、まるで虚空の星を間近で見るような大規模質量。炎上する星は眩いほどに白く、その大きすぎる光の弾丸は目視するだけで目を灼くほどの熱量を発露して、――周囲空間を熱崩壊させながら奔り出す。
対するエイルの手には、一振りの剣。
その色は、静謐の空の雲海の色。決して折れぬその剣をエイルは持ち上げて――、
「(……ああ、読み間違えたか。これは)」
無感情に、胸中にて呟いた。
「(死ぬなら、今だな――)」
――衝突。
音が灼け落ちる。
大気の悲鳴と、超高熱による真空の発生。それらはあまりの高音に音としての体裁さえ失い、無音のまま、大質量の音圧のみで以って空間全てを押しつぶす。
「。」
最初から、これを使えばよかったのに。なんてことをエイルは倒れ伏したままふと思う。そうしなかったのはやはり、……ただ単に、戦力の損耗を嫌がったためだったのだろう。
先のパーソナリティによる避難勧告など何の意味も為していない。
エイルが戦場まで引きずり落としたはずの幾千ものドローンどもは今、その身体を融解した鉄の液体に変えて、なす術もなく地面に降りしきる。
……どうせ壊されるなら、自分で壊す。なんて自暴自棄でさえこの災禍の中では甘ったるく思える。パーソナリティの行った破壊は、同胞の死骸を溶かして混ぜて一つにするという冒涜だ。それを行えるのは、きっと、アレがあくまでも感情などない機械だったから。
そしてその選択は、正しく、機械的に、――完膚なきまでにエイルを戦闘不能にした。
「(手足は、――まだ付いてるな。欠損はなさそうだ。ああ、……痛い。熱い。身体のどこかがまだ燃えてるのかな。……だめだ、少しでも動いたらぼろっと取れちゃいそうだ)」
彼女の痛覚は、既に意味を喪失している。なにせ、すでにその身体の死は確定していた。だからこそ彼女は、どこか冷静に思考をする。
「(これに、ウォルガン・アキンソン部隊はやられたのか。なるほど確かに、これは厄介だ。ああ……、)」
冷静に、
「(
「(世界樹の葉は奥歯に仕込んできた。アイツは、……
すべき思考を、
――すべき、思考を、
「(アイツは強い。それにただ戦っててもジリ貧だ。ええと、そう。行動よそく、が厄介だ。……はやく決めないと、こうげき、が、 あたらなくなる。 それに、あいつの こうげきの 光も、 つよくて ……だめだ、もう。 回復 しないと)」
思考を、
彼女は、
「(あ れ、 )」
――取り落とす。
「(おくばって、どうやって、かむんだっけ)」
……、……。
「
そこで、
彼女の炭化した視界にて、「青年」の背中が彼女の前に出た。
その姿はあくまで平凡で、どこか押しの弱そうな雰囲気が介在する。
意識しなければ忘れてさえしまいそうなほど凡庸な背中。しかしながら、その肩に背負った歴史の重みはあまりにも雄弁である。
その彼に、――エイルは、確かに見覚えがあった。
何せ彼はエイルの国の英雄の一人であり、そして彼の葬儀に、エイルもまた立ち会ったからだ。
「久しぶりだ、そっちのクソ野郎も。……覚えてるか? お前が燃やしてった国の主なんだけど」
「……、 ……。」
『確認。破壊済ミ個体、
その言葉に、エイルは思考を思い出す。
「(クスノキ、ミツキ。……英雄の国の主。いや、――死んだはずだ、あの人は……? どうして、彼がここに……)」
「疑問があるのは分かる。エイルさん、だったよね。だけど話は追々。今は状況が最優先だ。――と言っても、アイツはもう動けないんだけどね」
見れば、確かにパーソナリティの挙動は不審だ。
殺意にあふれたあの存在の事、人間を見れば即座に敵対をしてしかるべきなのに、……今のアレは、まるで空気に押しつぶされたように身じろぎもしない。
「さてと、どうしよう。アイツも動けないから安全は安全なんだが、
「……、……」
「一人が、君に触るよ。安心して、女の子だから。――それに、君の知ってる人のはずだしね」
――解除。と彼が呟く。
その瞬間、視界の奥でパーソナリティが大きく飛び退け、威嚇でもするように前傾姿勢を取った。
『メテオ ヲ 再使用シマス――』
そして再び、あの『星』が地表に生まれ落ちて、それが先ほどの光景の焼き増しのように周囲空間を熱と音圧で崩壊させながらエイルを襲い――、
しかしそこに、「巨躯の人影」が躍り出た。
「
「あの、子……?」
「私だよ、エイル。……――本当に、久しぶりっ!」
その声はエイルのすぐ傍で聞こえた。
しかし彼女は振り返ることが出来ず、その代わり『声』の主が、優しく彼女を抱き上げる。
「――
「いいけど、この状況分かってる? あまり取られ過ぎるとあの攻撃を止められないかもよ? ……うそよ、そんな顔しないで。ちゃんと止めておくから、ちゃんと治してあげてね」
そんなやり取りを待って、エイルの肩を抱く柔らかな掌から、楽園の日差しのような温かさが彼女の身体へ流れ込む。
それと共に痛みは失われ、すぐにでも取れてしまいそうだった手足に力が戻り、
――エイルは、その声の主を見た。
「どう、して、……――リベット、ですよね?」
「そうだよ、ただいま。心配をかけてごめんね、また会えて本当に嬉しい」
言葉を失う。
活力を取り戻したはずの思考は、むしろあまりにも多くの感情に翻弄されて形にもできない。だからエイルは、言葉の代わりに力いっぱいリベットを抱きしめて応えた。
「素敵な光景だなぁ。……なあポーラさん。俺が一番手で本当によかったのかな? リベットちゃんから出てきた方がもっと感動的だったと思わない?」
「適材だったでしょ。あなたのソレ、攻撃を止めるためにあるようなスキルじゃない。それと私、色男には呼び捨てにしてもらいたいわ?」
「……結婚してるって言っただろ? 止してくれ」
「ケチな人だわ。呼び捨てくらい良いじゃない、減るもんじゃなし」
「なんか減る気がするんだよ、アンタのガタイを前にすると……」
「わぁ、酷い! 心は乙女なのよ!? あなたの事は守ってあげないんだからね!」
「うそだろごめんごめんなさいアレは無理だ余波だけで死んじゃうよ俺……ッ!」
溜息と共にその巨体、――ヒトのシルエットに山羊のパーツを足したような姿の彼女、悪神ポーラ・リゴレットが更に一歩前に出た。そして、
「
目前の『星』一つを、
――それと同じサイズの
『分析。――分析。分析。……失敗。迎撃兵器ノ正体ガ不明。対照観察ヲ継続シマス』
「やめておいたら? 確かめてる間に壊れちゃうわよ、あなた」
『……、……』
パーソナリティの前傾が、より深くなる。
その姿勢は威嚇を超えて、明確な脅威への畏怖さえ滲むものだった、が……
「残念。あなたの相手は私じゃないわ。それに疲れちゃった。……リベット。もうしわけないんだけど、先に戻っちゃってもいいかしら?」
「うん。ありがとね」
「それじゃあミツキちゃんも頑張ってね」
「……
微妙そうな楠の表情を尻目に、ポーラは片手を振って靄のように消えた。それを確認したパーソナリティが、状況への理解を失して身じろぎをして、
『名称ポーラヲ要注意個体ニ設定。……失敗。再設定。失敗。再設定。……成功。個体ヲ殲滅スベキ
無機質にそう告げる。
「あ、あのリベット……っ? それにクスノキさんも! じょ、状況が掴めません! これは一体……、それに、あなたたちは……っ!」
「言ったろう、全部後だ。……って言うのもね、実はこの後、俺たちの友人と酒を飲む予定があるんだ。積もる話はそっちでした方がユーモアも増えるだろ? どうしても気になるって言うんなら――」
と、
楠は一拍、沈黙を挟んで、
「――アレに、目を奪われていると良い。退屈はしないはずだから」
視線でどこかを指す。
追従して彼女もそちらを見ると、そこにあったのは――
「。」
――今は亡き英雄たちの、凱旋であった。
/break.
――ウォルガン・アキンソン部隊。
その名は、彼らが失われた今も、
その構成は十余名。一つのチームとしては多くも少なくもない人数ではあるが、しかし、
例えるならば神さまの奇跡のように、彼らは一人残らずが、ものの見事なる『英雄』であった。
過日、彼らの一人が龍を打ち倒した。その龍は、邪知暴虐によって魔物の身でありながら大国一つの宗教主神に据えられた存在であった。それを彼は、たった一年で討伐して見せた。彼が18の頃の事であった。
また、別の英雄は一つの海を制覇して見せた。それは、彼がまだ部隊に所属する前の事。
その人物は14の頃に、一晩で作ったボロ舟に乗って、大海の中心に住まう邪悪なる神を平定し、これを友とした。
別の英雄は知略に長けていた。とある、全知全能の魔物との英雄譚に、彼の名は刻まれている。
武力では決して勝てぬ敵。魔物でありながら、それは同時に生物全ての上位存在でもあった。そんな存在に彼はカードゲームを挑み、そして、勝利の果てに不可侵を約束させた。
更に別の人物は、人類命題とさえ言われた不可能魔術を実現した。彼は英雄だが、その英雄譚に悪役はいない。彼はその人望と、幸運と、そして類い稀なる探求心で以って「全能の神に作らせた、誰にも持ち上げられない石」の類いの壁を、一つだけ突破して見せた。
或いは、世界の果てへと到達したモノもいた。それを人類はやがて『領域』と呼び、決して不可侵の神域と定めることになるが、彼はその発見者であり、成果を持ち帰った数少ない一人である。彼はやがて、友と共にその領域へもう一度挑み、そして制覇し、人類が『空の主』を名乗る立役者の一人となった。
一人は、むしろ、その前身は悪魔のそれであった。
何かを守るために何かを切り捨てる裁定者。ヒトは彼を悪魔と呼んだが、彼を失くしてこの世界に均衡はあり得なかった。そんな正義の悪魔に手を差し伸べた人物こそがこの部隊の長であり、彼はそして、愛する人と子を得て、『なにも欠けさせず全てを守る魔法』を手に入れた。その魔法は彼の名を借りて、『月』と呼ばれるようになった。
そして一人は、――『神』と出会った。
その名はウォルガン・アキンソン。彼の前身は冒険者であり、そして彼こそが、この世界で最も自由なる男であった。
そんな英雄譚が、彼ら一人一人には刻まれている。いや、彼ら一人一人が、この世界に英雄譚を刻み付けた。
――ウォルガン・アキンソン部隊。
彼らこそがこの世界の最高峰であり、そして最大の勢力である。
彼らがいるからこそこの世界は平等で、均衡で、悪が栄えることはない。ヒトは彼らを見よ。そして目指し、尊敬をせよ。そんな言葉は、風聞する必要さえなく、ヒトはみな、種族の差さえなく彼らを英雄であると認めた。
そんな彼らが、――今。
「懐かしいな、エイル。おじいさんは元気にやってるか?」
「ウォルガン、さん……」
――この戦場に、降り立った。
「……しかしリーダー、リベンジの機会をくれたハルには感謝ですねぇ。あのままじゃ俺ら、どんだけしょうもない当て馬だと思われてたんだって話っすよ」
十余名の一人、飄々とした印象の男が軽やかに嘯く。その手の『槍』を得るために、世界中の風を一晩だけ止めるという偉業を為した男である。
「ああ、あの日の事は思い出したくもないね。大の大人が揃いも揃って阿鼻叫喚だ。俺たちを応援してくれている人々には間違っても見せられんよ」
一人。巨岩の如き貫禄の、剃髪の男が言う。過日に彼は。たった一人の子供を守るために大国を敵に回し、そしてその知性で以って国一つを立ち上げた。
「ハリボテの威厳に縋りたいならどうぞ。でも大切なのは、負けたことと、どうやったら勝てたのかの考察では?」
また一人、痩身の男が言う。彼はとある支配者の悪政を止めるために何もかもを捧げて、当時の世界全てを敵に回した暗殺劇を成功させた人物だ。
「この坊主はまた、威勢を削ぐようなことを言う……。言っていることは正しいんだがのぅ」
呆れて言った老人は、生涯を尽くすと決めた一人の王が残した娘を守るために、ただ一人で籠城をし続け、五年をかけて一つの国に戦争を諦めさせた人物だ。そうして守り切った少女は、とある街で今も幸せに日々を過ごしている。
「話してる場合じゃないと、思うんですがね……?」
言った男、――バルク・ムーンが、パーソナリティの吐き出した光線を腕甲の側面で打ち払った。
「いつか、アイツに負けたカラクリはハルから聞いた。ウォルガンさん、俺はこの機会を無駄にはしない。――英雄に返り咲きましょうじゃないですか、そろそろ」
「ああ、そうだともバルク。それに、諸君も」
答えた彼、ウォルガンが、改めて戦場を見回す。
そして最後に、後ろを見て――、
「終わったころに声をかける。そこで、疲れを癒していると良い」
「ええ、俺はまだアンタらの強いところを見ていない。良いトコ見せてください」
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