ラブコメ

◎【002】『多分僕が勇者だけど彼女が怖いから黙っていようと思う』 / 作者:花果唯

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僕は魔王よりもこわいものを知っている



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 初めましての方は初めまして。そうでない方はこんにちは。鞘月帆蝶さやつきほちょうと申します。


 第2回で紹介させて頂く作品はすでに書籍化しており、ファミ通文庫様より発売中の『多分僕が勇者だけど彼女が怖いから黙っていようと思う』です。作者は花果唯先生です。



URL :https://kakuyomu.jp/works/1177354054883073884



 以下、概要を説明していきます。



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 まず、『多分僕が勇者だけど彼女が怖いから黙っていようと思う』という長いタイトルから所謂なろう系とも言われるWeb小説テンプレ作品をイメージしてしまうかもしれないが、まったくそんなことはないと最初に言わせて頂く。



 夢に女神は出てくるし聖剣とやらの声は聞こえるし、勇者を迎えに来たという聖女に目をつけられてるっぽいけど僕は勇者なんて知りません。自称勇者様の方をどうぞ王都にお連れください。僕は愛しくて怖い彼女のご機嫌とりに忙しいです。



 そんなあらすじの通り、主人公のルークは明らかに勇者らしいのだが、彼は幼馴染でもある愛しの彼女――アリアと村で平和に暮らしていたいため、それを隠し通そうとする。しかしルークたちの村にはお迎えの聖女が来てしまうし、かと思ったら自称勇者様も現れるし、でも結局は……という、一風変わったお話。


 何よりも珍しいのは、勇者として選ばれて魔王を倒す旅の過程を描いた作品ではなく、内容のほとんどが旅に出るまでを描いているという点。よくある勇者ものだと第1話で終わってしまう内容を、じっくりとメインの題材に据えている。


 村に大切な人を残して旅になんて出たくない! というリアルと、ルークの過去に隠された秘密、そのギミックにも凄いの一言。


 果たしてルークは、アリアとの平穏な生活を守れるのか!



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 と、いったところです。


 

 作者である花果唯先生は複数の書籍化作品を持つ実力派で、面白いのはもちろんのこと文がすごく読みやすいです。Web小説でありがちな設定は面白いんだけどもうちょっと文をどうにか……なんて思うことの多い方々には、この作品をはじめ花果先生の作品を強くおすすめします。


 個人的にはルークの過去の真実が分かるシーンでは、もうぼろぼろに泣いてしまいました。


 笑って泣けるちょっと変わった異世界ラブコメを、是非とも皆さんご賞味あれ!!!

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