第4話 お兄ちゃんは渡さないっ! 2
「決着をつけますよ…ハルカ=ネオランド、いいえ、ニージマハルカっ」
ルーが両手を広げて戦闘態勢に入る。
「ルリちゃんと戦うなんて、私イヤだよ…」
「ハルカっ、ケータがどーなってもいいの?」
弱気になって後退るハルカを、ベルが厳しい声で叱責した。
「そ…そんなのダメッ!!」
ハルカの瞳に覚悟が宿る。
「お兄ちゃんは、必ず助ける!」
「いくよっ、ハルカ!」
ハルカの答えにベルは満足そうに頷くと、ピョンと跳び上がり空中で身体を丸く丸め込んだ。
「
ベルの掛け声と共に、その身体が光を放ち始めた。それから徐々に形が変わっていき、細く長く2メートルを超える程に伸びていく。
ハルカがそれを右手で掴み取ると、キンと光が弾け真っ白な魔法杖に姿を変えた。
続いて魔法杖を縦に掲げるように両手で握りしめると、ハルカは可愛い唇を大きく開いた。
「ホーリーアップ!!」
ハルカの声に呼応するように、魔法杖の先端にある青水晶から無数の真っ白いリボンが出現し、ハルカの全身を包み込んでいく。そのままリボンが弾けるように消失すると、一瞬で純白のフレアワンピース姿に変身していた。丸首の襟元と半袖の袖口、それから膝丈のスカートの裾に、光り輝く金糸で四ツ葉の刺繍が施されていく。
両手には薄桃色の可愛い手袋、両足には小さな翼の付いた薄桃色のショートブーツを履いていた。
同時にセミロングの黒髪が腰のあたりまで伸びていき、一本の純白のリボンでポニーテールに結い上げられる。リボンはシュルシュルと意匠をなし、四ツ葉のクローバーにデザインされた。
ハルカは一度クルリと一回転すると、肩幅より広めに両足を開き、魔法杖を両手で構えてドーンとポーズをとった。遠心力で舞い上がっていたスカートの裾がフワリと下りてくる。
「聖杖の使徒、ハルカ=ネオランド!ルリちゃんの心にも、私の魔法を届けてみせるっっ」
「そんなモノは必要ないですよ。四ツ葉の光玉さえ頂ければそれで…」
ルーは感情のない青い瞳で、じっとハルカを見つめていた。
~~~
「どーしましたか?逃げてるばかりじゃ勝てませんよ!」
ルーは両手を前に突き出して、三日月状のカマイタチを無数に撃ち出してくる。
ハルカはグラウンドを走り回って、何とか回避を続けている。しかし、ルーの言うとおりだ。このままではいずれ、ルーの攻撃に捕まってしまう。
「このっっ」
ハルカは走りながら、右手の魔法杖を横に薙いだ。すると光り輝く四ツ葉のクローバーが、まるでフリスビーのように曲線を描いてルーに迫る。
ルーは落ち着いた様子で右手で手刀を作ると、頭上に振り上げ、勢いよく振り下ろした。
その瞬間、風の刃が迸り、四ツ葉のカッターを斬り裂いた。
更にルーは振り下ろした右手を、手のひらを上に向けて肘をたたむように上に返した。
「あっ!?」
その途端ハルカの足下から風が噴き上がり、ハルカの身体が空中に舞い上がる。
同時にルーは両腕を顔の前でクロスさせ、一気に斜め下に振り下ろした。発生したクロス状の巨大な風の刃は、真っ直ぐハルカに襲いかかる。
ハルカは咄嗟に左手を、クロス状の刃に向けて突き出した。瞬時に光り輝く四ツ葉の障壁が、ハルカの前方に展開する。
四ツ葉の障壁は風の刃を何とか相殺するが、発生した衝撃波に吹き飛ばされ、ハルカはキリ揉みしながら地面に叩きつけられた。
「かはっ……やっぱり…強い」
ハルカは苦しそうに咳き込むと、魔法杖をついて何とかヨロヨロと立ち上がる。
「ベル、私…解放する」
ハルカは悟ったように微笑むと、決意の視線をルーに向けた。
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