第3章 Kとネトゲと鉄元素
学校が終わる時間だ。
家の外を耳障りな小学生達の声がこだまする。
「はぁ…」
少し休憩することにする。
そう思いキーボードに置いていた手を止める。
水を1口飲む。
何も感じない
強いていえば冷たいと言うだけだ。
インターホンが鳴る。
滅多に家に人が来ることは無いので少し緊張するが他に誰も居ないので玄関に出る。
「久しぶり〜!」
彩花ちゃんだ。
彼女は幼なじみでとても仲がいい。
学校に行かなくなってしまった自分にも仲良くしてくれる
学校ではクラス委員だ。
クラス委員をやるくらいだから骨の髄までこういう人は優しいんだろうなぁと思いながらプリントを受け取る。
わたしはと言うと…そもそも人に接しないから分からないが多分良くない人側だ。
「昨日はね〜カラオケ行ったんだよ!めっちゃ楽しかった!!今度行こうよ!」
元気いっぱいだ。
羨ましい
そんなことを考えながら(カラオケは断りつつ)わたしは彼女が帰るのを手を振りながら見送る。
わたしもあの子みたいになれたのかなぁ。
わたしにとっては彩花ちゃんは大事でも彩花ちゃんにとってはわたしはあくまで友達の1人に過ぎないのだろう。
所詮RPGのモブだ
よく分からない所で生きて、誰にも知られず死んでいく。
所詮そんなもんだ。
小腹が空いたので冷蔵庫から魚肉ソーセージを引っ張り出す。
親は滅多にかえってこないのでご飯は作るか買うかしないと行けないのだが大抵冷蔵庫の中で済ます。
1口かじる。
味は感じない
ただ冷たいだけだ。
かじりながらパソコンの前に座る。
チャットが来ている。
神無月「Kさん今日ずっといないですか?w」
神無月さんはわたしの大事なネッ友だ。
K「バカヤロwわたしはいつでもいるだろw」
その通りなのでそう返す。
神無月「そうだったわw失敬失敬」
K「謝らんでええわw」
こんなくだらない会話がとても楽しい。
ネットゲームは良い
人の目を見ないで済むから
目…
?「おいなんだよこのデブ!」
高笑いしながら男子生徒が私に指さす
やめて…
声は出ない…
?「こいつ給食費盗んだんだぜ!」
違う…
私じゃないのに…
クラス全員からの視線が降り注ぐ
やめて…
そんな目で見ないで…
嫌なことを思い出した
頭が痛い…
神無月「どうしたんですかKさんwクエスト行きましょうよww」
チャットだ
K「待ってて!今行くから〜」
机の隅に置いてあるスマホを覗く。
しょうもないネッ友たちのつぶやきを覗く。
スマホ依存症なんて言葉はあるが逆に聞きたい。
スマホ依存症で何が悪い。
なんて思いながらわたしはアプリを閉じる。
スマホを置こうとすると落としてしまった…
「あっ!」
画面が割れてしまっている。
まぁいい
所詮鉄くずだ。また新しいのを買おう
鉄は非常に使い勝手は良いし世界に満ち溢れている
が、錆びてしまえば捨てられる。
そしてまた新しいものに変える。
現実もそう
わたしたちは所詮他人の役に立つための歯車で、錆びてしまえば私のように捨てられる。
それが現代社会だ。
そんな社会をわたしたちは鉄くずと共に生きる
そして私はそんな鉄くずの中で生きる
モンスター達を蹂躙しながら
顔も知らない歯車達と話す
それが私だ。
目が疲れてきた。
机に少し突っ伏す。
ひんやりした感じが心地よい。
そうしてわたしは鉄くずの前でまどろむ
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