第4話 ホームルーム

紗理奈side


「みんなオリエンテーションお疲れ様!どうだった?緊張した?w」

教室に帰ってくると先生がそう話し始めた。

みんなはオリエンテーション前より少し疲れたように感じる。

私はちらりと隣の荒川くん?に視線を向けてみる。

顔は相変わらず前髪で隠れてわからないけど涼しげな顔で窓の外を眺めているようだった。

(読めないなぁ。)


「まず初めにこの学級の…(以下略)」

先生の説明が始まった。

なんか眠くなってきた。こういう長い話は苦手なんだよね。w

そう思うのも束の間、私の意識は少しずつ遠のいていった。

「栗本、栗本!」

はっ!

(やばっ!寝過ぎた!)

「入学早々に寝るとはいい度胸だなぁ。」

先生が不敵な笑みを浮かべていた。

「すみません。」

クラスメイトの視線が私に集まっている。すごく恥ずかしい。

(やっちゃったぁ…。)

「そんな栗本にはまだ決まっていなかった女子の学級委員長に任命してあげよう。しっかり頼むな」

「えっ!私に委員長は無理ですよ!」

反射的に私は勢いよく椅子から立ち上がった。

「もう決定事項です。」

また先生が不敵な笑みを浮かべていた。

(そんなぁ…。)

渋々と椅子に座り直し落胆する。思わず頭を抱えた。

いや確かに私が悪いよ。悪いけど…

(委員長は無理だよぉ。)

そう思っていると前の席のなぎさが振り返った。

すると小声で「どんまい」と困った笑みを浮かべてまた前に向き直した。

(どんまいじゃないよぉ〜…。)

「男子の学級委員長はどうする?誰かやりたい奴いるかぁ〜?」

そう先生が言いながら手を上げる。

でも学級委員長をやりたい人なんかいるはずもなく教室は静まり返る。

「まぁそうなるよなwそうなると思って男子の学級委員長はもう先生の方で決めてあるんだよ。荒川、よろしくな!」

そう先生は言って黒板に名前を記入する。

「えっ」

すごく小声の荒川くんの声が聞こえた。

ちらっと隣の荒川くんの方を見てみると表情は分からないけど嫌なんだろうということは伝わった。

でも荒川くんが否定することは無かった。

(慣れているのかな?)


志龍side


オリエンテーションが終わり教室に帰ってきた俺は少し机に顔うつ伏せ、ため息をついた。

(センコー恨みそう)

そう思いながらすぐに顔を上げ椅子にもたれかかって空を見上げる。

(テスト手を抜けば良かったな、この高校は家からの近さで選んだし)

先生の話が始まるが俺は構わずずっと外を眺め続けた。

(なんだろうな、外を眺めんのは落ち着くんだよな。)

今日は雲ひとつない綺麗な青空だった。


委員会決めが始まっても俺はずっと外を眺めたままだった。

すると先生が急に「栗本、栗本!」と大きな声を出した。

(うるせぇ、栗本って誰だよ)

そう思って教室に目線を向けた。

「入学早々に寝るとはいい度胸だなぁ」

「すみません。」

声がしたのは隣の席の女だった。

(栗本?あー確か自己紹介された時にそんな名前だった気がするわ。てか、寝てたのかよ)

「そんな栗本にはまだ決まっていなかった女子の学級委員長の役に任命してあげよう。しっかりよろしくな」

「えっ!私に委員長は無理ですよ!」

そう否定すると同時に横の女は勢いよく立ち上がる。

椅子を引くでかい音が教室に響く。

(騒がしい女)

それがこいつの第一印象だった。

「もう決定事項です」

そう先生が言うと女は諦めたのか大人しく席に座り直していた。

「男子の学級委員長はどうする?誰かやりたい奴いるかぁ〜?」

委員長ってやりたい奴なんか基本的にはいねーだろ

(委員長とか面倒だし、俺は目立ちたくねー)

そう思っていると

「まぁそうなるよなwそうなると思って男子の学級委員長はもう先生の方で決めてあるんだよ。荒川、よろしくな!」

ん?は?

(聞き間違いか?俺の名前が聞こえたような気がすんだけど)

目線を向けると先生がもう黒板に名前を記入しているところだった。

記入していたのはしっかり俺の名前だった。

「えっ」

(マジ?最悪)

さっき俺の思った言葉はフラグだったのか、しっかり回収してしまった。

(あのセンコーマジで恨むぞ)

先生なんか全員好きじゃねーけどあいつは飛び抜けて嫌いだ。

俺の担任先生の印象は入学早々最悪だった。

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あなたに出会ったのは間違いだったのだろうか のん @nonsora

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