No.6~No.10
【No.6】※『霊獣ノ巫女』より
「
呼びかければ振り向いてくれる奇跡がある。視線を絡めて微笑みかけてくれる幸せがある。
暖かくてやわらかい喜びを抱き寄せて鼻をすり寄せて、くすぐったがるお前の無邪気な笑い声に胸が熱くなる。
「
なんだ。俺とお前の心臓は同じなんだな。
【No.7】
お前があまりにも幸せそうに笑うから、時々酷い衝動に駆られるんだ。たとえばこの幸せを壊してやりたい。
「飽きた。俺と心中しないか」
きょとんとして、にっと笑う。その刹那に揺らいだ瞳に気づかない俺じゃない。
「やだ。あなたのその苦しみも私のものだよ」
強欲だね、お前は。
【No.8】
あなたは余計なことをと怒るでしょうか。無駄だと私を嘲笑うでしょうか。
応えは求められない。綻びを元通りに繕う勇気もない。
だけど私は、あなたを見かけたら無視するわけにはいかないのです。これ以上あなたを否定したくないのです。
また呼びかける。私は愚者だ。それでも。
【No.9】
あなたの幸せは私の幸せ。あなたは私の誇り。
時々愚痴がこぼれるのも、物を買い溜めちゃうのも、食べ過ぎちゃうのも全部、いつもがんばっている反動でしょう。そんなところまで愛しいの。
だからもし、あなたを悲しませる人が現れたら許さない。たとえ法律が許したとしても。
【No.10】
あなたの前ではしゃいでいる自分がいた。ふざけ半分に告白じみた好意を口にした自覚もある。
それは全部あなたと仲良くなりたかったからっていう理由で片づけられるけれど、誰に対しても同じことをするわけじゃない。
それが好きってことなら、そういうことでも構わないけど?
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