サキュバス、アルパチーノとロバートデニーロの不仲説を聞いて思わずオレンジを口に含みました37
「ピカ太さぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁん! まだですかぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!? 私先に行っちゃいますよぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉ!? 私はここだぜ一足お先ぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃ! 光の速さで一足お先ぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃ! 名もない花を踏みつけられない明日へ一足お先ぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃ……」
本当にこういう時だけ行動が早いなあの馬鹿。あと他人様のお宅で出す声量じゃねぇ。どうして迷惑考えられないんだ。幼少期の頃に常識を学んでこなかったのか。
「輝さん」
「あぁ。すまんすまん。今出ていくよ。で、あいつにも言っておくよ。あまり迷惑かけるなって」
本来であれば俺の知った事じゃないし、だいたい上司であるお前の役目なのだがそこは容赦しておいてやる。下手な事を言って約束を反故にされるのもつまらんからな。
「それはお願いしたいところなのですが、一つお伺いしたい事を思い出したました
「あ? なんだよ」
「そちら、島さん、あるいは鳥栖さんについて、どう思われていますか?」
「なんだよ藪から棒に……」
「いえ、サービス向上のためフィードバックをいただければと」
「フィードバックもなにも、何もやらかしてないんだから伝える事なんかねぇよ」
「房中以外の事でもかまいません。何か思うところあれば教えていただけると大変助かります」
「んな事急に言われてもなぁ……まぁムー子はあんな感じでクソウザいだけ。ゴス美は色々世話になっているが、胸の脂肪が少し邪魔だな」
「なるほど……大人しく良識があって、性格も胸囲も控えめな尽くしてくれる女性が好みと……」
「やめろそのまとめ方。なんか誤解が生じるだろ」
「事実を並べただけなのですが……」
「表現の仕方に気を付けろつってんだよ! その感じだと二次元の幼馴染系負けヒロインが好きなクソキモオタ野郎みたいになっちまうじゃねーか!」
「確かに幼馴染系というのは通ぶった方かネタで嘲笑する方くらいしか需要がありませんからね。勝ったところ見た事ないですし」
「馬鹿を言え。俺はライブレードではカスミを選んだしToHeartではこのみを最初に攻略したぞ」
「私はアニメなどは詳しくないのですが、そのキャラクターは幼馴染という設定なんですか?」
しまった。ゲーム知らない奴にコアめ(非オタク目線からの場合)なタイトルをあげてしまったのと語るに落ちるという二重の意味でのやらかしをしてしまった。
「あいつらはほら……なんというか、そう、性格。性格がよかったんだ。なんというか、放っておけないというか、見捨てられないというか……だから、幼馴染だからルート入ったというわけではなく、たまたま幼馴染という属性がついていたっていうただそれだけ。それだけなんよ。別に俺は幼馴染系ヒロインが好きなわけじゃないんだ。だいたいなんか可哀想なんだよあいつら。主人公がいないと多分一生なにもできないというか、新しい人生を歩んで、いつしか恋人ができてもずっと心の片隅に主人公がいて悩んでしまうみたいな。そんな事実が悲しすぎるから俺はもうそいつらしか選べなくなってしまうんだ。仕方ないんだこれは。そりゃ俺だってそんなの共依存だって、個々が自立しないと何も得られないぞって分かっているよ。分かってはいるけど、心ばかりはどうしようもない。この歪な相互関係を果たして愛と呼ぶのか、愛を知らない俺には分からないがしかし、何故か決別できない絆、あるいは呪詛的な何をか感じてしまうわけなんだよ分かるかぁ?」
特にこのみなんてお前将来どうやって生きていくんだよ父親見習って自衛隊にでも入るかぁ? それはそれで頑張っていただきたいところではあるが不安しかねぇ。大丈夫かお前? 本当に一人でやっていける? 今のうちに人生考えておかないといざという時に大変な事になっちまうぞぉ?
「輝さん、柄にもなく早口になっていますが、何かございました?」
「あ、すまん。つい……」
なんという醜態。これではまるで空気の読めないオタクではないか。気を付けよう。
「まぁ、輝さんのタイプは分かりました。それを踏まえて、どうですか? 島さんかゴス美さんと床に入ってはいただけませんか?」
「……それは上司として部下を思っての発言か?」
「それもありますが……さすがに一人のターゲット相手にこう長期化してしまうと色々とまずいんです。会社的に。人員二人も派遣して効果が出ず、しかも引き上げもできない。私としては早々に決着をつけて、この案件をクローズドにしたいところなんですよ。先ほど少し話に上がりましたが、ここで島さんとよろしくお願いできないでしょうか。私も協力はいたします」
「……悪いが、基本的に女に興味ないし、中でもムー子は絶対に無理だ。多分何をやっても不可能だと思う」
あいつとそういう風になったところを想像するだけでぶん殴りたくなる。あかん。これはまずい。考えんとこ。
「そうですか……残念ですねぇ」
「それより、オープンユアハートとやらを解除する術はないのか?」
「現状はないです。あの技は強制的に契約を結ぶ技ですので、この世界の理に介入しないと変更はできません。そんな真似ができるのは、神か魔王か……」
「そんな糞技気軽に使わせるな」
「いやぁ、一応秘儀扱いで、マニュアルでは原則禁止と書いたんですけどね。でも私は現場主義でして、個々の判断に任せているんですよ」
それは単に管理するのが面倒なだけでは?
まぁそれはいいとして、解除できないって事は、俺、一生ムー子と一緒に生きていかないといけないの? しんどすぎないそれ?
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