サキュバス、アルパチーノとロバートデニーロの不仲説を聞いて思わずオレンジを口に含みました36
……いかんいかん。切り替えろ俺。頭に血が上っては的確な行動ができなくなる。冷静冷静……
落ち着いた。なんか今日このルーティン多いな……情緒がぶっ壊れそうだ。この件が終わったら、ちょっと本格的に会社辞める計画を立ててどっかで長期休暇しよう。そうでもしないと心が壊れそうだ。山にあるコテージとかロッジと借りてゆっくりしよう……あ、なんかいいなそれ。真面目に検討しよう。いいよねデジタルデトックス。心も脳も浄化されそうだ。
まぁその前に、やる事をきっちりやる必要があるわけだが。
「ではデ・シャン。掃除とやらはいつ終わるんだ? できるのであれば、その後に借りたいんだが」
「本日の午後までですね。その後も予定はありますが、まぁいいでしょう。正午を回りましたら、連れていっていただいて大丈夫ですよ」
「正午ね……」
お母さんが来るのは恐らく昼過ぎ。それまでにオカマの協力を取り付けて作戦の成功度を上げるためのシミュレーションなどを行いたかったが、しかし、なんとかはなる。やる事の順序を入れ替えて対応すれば処理は可能。既存案ではオカマを利用……じゃなかった、仲間に引き入れる事が前提となるため代案も同時進行で考えなくてはならないが、そこはしゃあない。何事も万全な状態というわけにもいかず、満を持してのタイミングが来るわけでもないのだ。その瞬間にできるタスクをこなしていく他ないわけだから、ぶつくさと文句をいったりない物ねだりをするのはやめよう。非建設的だ。
「分かった。正午まで待つ」
待とう。そして考えよう。それが今俺にできる、唯一にして最善の行動だ。
「そうですか。では二階の客間でお待ちいただければと」
「ここでいいんだが?」
「あ、すみません、私が困ります。ここ、私用スペースなので」
「……」
なんか鼻つまみ者にされてるみたいでムカつくな。
「あの、専務。申し訳ないんですけれど、何か飲み物貰っても大丈夫でしょうか? 私喉カラカラで……あ、あとお菓子などもあると嬉しいなと……」
凄いなこいつ。上司相手にまったく臆することなく図々しい要求しやがる。ゴス美がこの場面見たら卒倒するんじゃないか?
「客間に飲み物や軽食の類があるのでご自由に。こちらは天引きしませんので、遠慮なく召し上がってください」
「あざーーーーーーーーーーーっす! ふぅうっふー! さすが専務! 太っ腹~~~~~~~~~~! 伊達に出世してないっすね~~~~~~~~~~~~~~~!」
「島さんは自由でいいですね」
「それほどでもありませんよ~~~~~~~~~~~~~~毎日毎日抑圧された生活送ってます~~~~~~~~~~~~~~」
「……」
嫌味も皮肉も効かないとか無敵かこいつ? 営業とかでハマれば最強なんじゃないか? 管理とかクソ程できなさそうだけど。
「……では輝さん。客間にはバスルーム等も完備されていますので、お好きに使ってください。場所は階段を上がって真っ直ぐ。一番最後の部屋です」
「あぁ。分かった」
凄いな。ホテルの客室じゃん。金持ってんだなぁ。
「なんか、×××しないと出られない部屋みたいですね」
気色の悪い事を言うな。
「別にかまいませんが、あまり汚さないでいただけると」
「絶対にないから安心してくれ」
「そうですか」
「本当に~~~~~~~~~~~~? 本当にそういう間違い起こりませんか~~~~~~~~~~~~~~~~~? さっき話してたじゃないですか~~~~~~~~~~~~~~ワンチャンあるみたいな事~~~~~~~~~~~~~~~~? これいいタイミングじゃありませんかね~~~~~~~~~~~~~~~~~~~? 越えちゃう~~~~~~~~~~~~~~~~? 越えちゃいますか一線~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~?」
「デ・シャン。実はこのムー子なんだが、会社の金を使い込んで……」
「越えませんよね~~~~~~~~~~~~~~一線なんて~~~~~~~~~~~~~~~~~! 私達健全健康優良な関係ですもんね~~~~~~~~~~~~~~~~~~~!」
さすがに役員に横領がバレるとまずいという良識はあるようだな。
「島さんの仕事を考えるとその発言は少し問題があるような気もしますが、まぁ本日はプライベートなので水に流しましょう」
「あざーーーーーーーーーーーっす! さすが専務! 懐が深い!」
「なんでもいいんですが、そろそろ出ていっていただけますか? 私も忙しい身でして、いつまでもお話しに付き合っている暇はないんですよ」
こいつちょいちょいストレートな物言いになるよな。外資系ってこういう感じなんだろうか。いやだなぁ。働きたくねぇなこんな上司の下で。
「かしこまりました! では行きましょうピカ太さん! お部屋へ!」
「うるさいな……大きな声を出すな……あ、そうだデ・シャン。一つだけ聞きたいんだが」
「なんでしょうか」
「マリとプランは?」
「あの二人なら今中庭で犬と戯れてますよ。輝さんもご一緒しますか?」
「いや、いい。二人には忙しいから相手ができないと伝えておいてくれ」
「分かりました」
これから何があるか知られた場合、首を突っ込んでくる可能性があるからな。あいつらには秘密にしておこう。
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