サキュバス、一肌脱ぎました1

 ふっかつ

 輝ピカ太復活ッッ

 輝ピカ太復活ッッ

 輝ピカ太復活ッッ

 輝ピカ太復活ッッ

 輝ピカ太復活ッッ



「プラモ作りてェ~~~~」




 そんなわけで肉離れ全快。割と軽度だったのとゴス美の回復食のおかげで一週間で完治(「いい歳してなにやってるんですか」と小言を言われたのは秘密だ)。そして待ちに待った自由な休日! 遊ぶぞぉ~~~~作るぞぉ~~~~~最初は悟空インパルスかなぁ~~~~~~~いやぁなんの気なしに観たヒーローズだったが中々面白かったなぁ。窮奇が幻覚で見せたそれぞれのキャラクターが持つ英雄の気質に付随する裏側の面とか考えさせられる場面が結構あって、最近のSDガンダムはスゲーなと心底思ったもんだよ。あ、でもよく考えてみたら昔からそんな感じのテーマが根本にあったかもしれんな。ナイトガンダムとサタンガンダムの関係性とか、聖機兵物語のGP02とか。いかんな。ちょっと関連商品欲しくなってきたぞ? ちょっとさらってみるか……お、剣士Zが買えるな……買っちまうか。こうなると他のも……うーん。いっぱいある! いっそ全部揃えて、その上でSDガンダム外伝シリーズでもやってみようか。実はあんまり詳しくないからこれを機に履修するのも手だな。しかしなぁ。今更レトロゲーをプレイするのもちょっとなぁ。それならサブスクでアニメシリーズを……



 コンコン。



 ノック。嫌な予感がする。無視しよう。

 さて、なんだったか。そうだそうだSDガンダムだ。SDガンダムだよSDガンダム。そういえばどれだけシリーズあるのかも把握してないな。どれどれウィキペディアウィキペディアと……


 SDガンダム外伝四作。

 

 新SDガンダム外伝四作。


 新約SDガンダム外伝四作。


 SDガンダム聖伝。

 SDガンダム列伝。

 SDガンダム英雄伝。




 ……素直に新シリーズだけ追うことにしよう。あ、でも剣士Zはポチっとこう……



 コンコン。


 ……


 コンコン。コンコン。


 ……


 コンコンコン。コンコンコン。コンコンコンコンココンコン。


 ……




「ノックして!」


 コンコン。


「連打して」


 コココン


「リズムを刻んで!」


 コンコンココンココンコン。


「もう一回」


 コンコンココンココンコン。


 ……


「激しく!」


 ココココココココココンコンコココンコンココココココ……




「うっさいぞムー子! いい加減にしろ馬鹿! リズム天国じゃないんだぞ!」


「なんだぁ。いるんじゃないですかぁピカたさぁん。もぉ居留守なんて使っちゃ、メ! ですよぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉ……」



 一人でくっちゃべってる間に背後に回ってフジワラ・アームバー。ムー子を倒して再び休日の一時を……



「待って! 話しを! 話しを聞いてください!」



 うわ! 足掴んできやがった! 



「嫌だよ! 俺は今日こそ自由な休日を過ごすんだよ! 馬鹿に構ってる時間はないんだよ!」


「そんな事言わず! 聞いて! 聞いてください! 先っぽだけ! 先っぽだけでいいから!」


「気色の悪い言い方をするな! あっちへ行け! 部屋でプレイステーションをしてろ!」


「いぃぃぃぃぃぃぃぃぃやぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁだぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ! 絶対にぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃ! 離さないぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃ! お願いだからぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ! 私の話しをぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉ! 聞いてぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇ! くだされぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇ!」



 離れねぇ! なんて力だ! なんでこいつこんな時だけ異様な粘りを見せるんだよ! 火事場のクソ力でも持ってんのか!? 



「あぁもうらちもない! 分かったよ! 聞くだけ聞いてやるよ!」


「ありがたき幸せぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇ!」


「分かったから! いい加減離せ!」


「はいぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃ話しますぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅ!実はぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ」


「話せつったんじゃねぇ! てぇ離せって言ってんだ!」


「手話って事ですかぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!?」


ちげぇよ! お前分かってて言ってんだろ!」


「すみません。そろそろ飽きたんで普通に話しますね」


「うわ! 急に冷静になるな!」


「え? もうちょっと続けたかったですか?」


「いやいいよもう。で、なんだ話しって」


「はい。実はこの度、オフ会をする事になりまして」


「へぇ。面倒臭そうだな。ファンとか?」


「いえ。同じV同士の女の子となんですが……」


「ふぅん。いいんじゃねーの? どういう業界でも横の繋がりってのはあった方がいいし、上手くすればコラボとかして相乗効果が狙えるんじゃないか?」


「いや、あの、そういう仕事関係のおもむきではなく、プライベートな感じで……」


「なんだ? イベントにでも行くのか?」


「というか、お悩み相談といいますか、解決のご協力といいますか……」


「えぇ……そんな安請け合いしたのお前? 無責任だなぁ……」


「はい……そこは自覚しておりまして……」



 なんだ。珍しく殊勝な態度を取るじゃないか。こいつも成長したか? こう素直だと馬鹿にできんな。しゃあない。一応フォローしたやるか。死ぬ程嫌だけど。



「でもまぁ、悪魔ってそういうものかもしれんな」


「まぁそうですね。心の隙間に入り込んで人を誑かすような最低な種族です」



 自分で言うなそういう事を。



「しかし、彼女の切実な悩みについ、損得関係なくOKを出してしまいまして……」


「ふぅん」



 意外と良心はあるんだな。ま、その悩みとやらは聞かないけど。



「その子が言うには"私男の人が苦手だからユーバスちゃんみたいに掌でコロッコロ男の人を転がせる人が羨ましいいい加減私もいい歳だしせめて普通に男の人とお話しくらいできるようになりたいなぁねぇユーバスちゃんどうしたら私ユーバスちゃんみたいになれるかなぁ"なんていうものですから"分かった私に任せておきなさい"と言っちゃったんですよそしたらとんとん拍子で予定が決まってしまって」



「お前、俺が事情を聞かないって知っててわざと早口でまくし立てたな?」


「えへへ?」


「悪魔将軍直伝。地獄の……」


「嘘です嘘ですごめんなさい! そうですわざとです許してください!」



 スゲー必死だな。まんまスグルみたいだ。まぁいい。今回は許してやろう。



「それで、それに関して俺になんの相談があるってんだ」


「……実はその後、更に無責任な事を言ってしまいまして……」


「……なんだ?」


「"よーし。じゃ、男を一人紹介してやらぁ! あー大丈夫大丈夫! そいつ性欲とかない完全なインポ野郎だから! 人畜無害のクソ童貞だからご安全に!" と……」


「お前、それ俺に言っていいやつ? 覚悟はできてる? 勿論死ぬ覚悟だけど」


「すみません……一回殺してもいいんで、どうにかそのと会っていただけませんか……」



 ……なんだ珍しいな。こいつが自分から損を被ろうとするなんて。うーんこういう風に頼まれると弱いが、しかし……いや、断ろう。そもそもこういった問題はカウンセラーやら専門家がどうにかするものであって俺がでしゃばるような話じゃない。首を突っ込むだけ無益だな。うん。そうだそうだ。よし。「俺は力になれない」そう伝えよう。



「ムー子。悪いが俺は……」


「RG Hi-νガンダム」


「なに?」


「RG Hi-νガンダムでどうでしょうか。買えなかったでしょうピカ太さん」


「お前、また転売品で釣ろうと……」


「ワイの答えはこれや!」



 バーン!



「こ、これは!」



 RG Hi-ν! RG Hi-νだ! ちゃんと箱裏に刻印があるRG Hi-νガンダムだ! 



「これを手に入れるために朝一で並び、整理券を貰ってからちゃんとクイズにも答えました……転売品じゃありません。正規ルートで手に入れてます。勿論サキュバスの力も使っていませんよ。マジのガチで、ピカ太さんのために、完全なる正攻法で手に入れました」


「お前、そこまでして……」


「どうかお願いしますピカ太さん。そのと一度、会ってください」



 そして土下座か……ここまでされちゃあ……



「……しょうがない。分かったよ。会ってやるよ」


「本当ですか!」


「ここまで誠意を見せられちゃな……」


「あ、ありがとうございます! ありがとうございます!」


「いいよそんなに感謝しなくて。Hi-νもらったし……それより、着替えるから出ていってくれ」


「はい! 分かりました! それでは、居間にいますので準備ができたらお声がけください! では!」


 

 ……結局今日も休日を潰す羽目になったか。

 しかし、うーん……いい事んだんだが……ムー子があんな風だと調子狂うな……

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