酒と制約
「なんで〜じじぃが、居るの〜」のぉ〜と胡座をかく茜にスッポリ抱かれるロゼも同調しルセの後ろにピッタリ付いて来たバウスを威嚇する。
花桜の手元にはバウスが、身に付けていた刺繍と宝石を縫い付けた上着が、ちゃっかり握られていた。
伝奉所に戻ったとジノから連絡が、入りクレメンテスの様子とシズ達に差し入れのインスタントスープ各種に何時でもお湯が、沸かせる電気ケルトと電源になる充電バッテリーを貸し出し。ミニクロワッサンなども置いて来た。クレメンテスの回復は、進み語り掛けると少しずつ反応もあり目覚めるのは、近いとシズと老司祭達の意見だった。「無理はしないでください」花桜は、そう伝えジノとルセを呼び寄せ。蛍にコンビニへの転移を頼む。
淡い桜色が、広がり3人は、コンビニ前の芝地に倒れる込む。またバウスが、転移直前ルセに飛び付き反動で、3人は、芝地に転がされた。「バウス〜」珍しくルセが、語気を荒げバウスを叱り付けた。
床ロボが、排除…戻すなど機械音を立てバウスを追うが、3人を盾に逃げながらバウスは、公式用の上着を脱ぎ花桜に手渡す。「口外はせん。秘密は絶対に守る。わしにも…異世界の…さけ…のま…上着は、好きに…してくれ。ぜぃ…縫い付けてる。宝石は、高値で売れる。足りなければ、ぜぃは〜金も…だす」逃げ続け息が、上がり芝地に座り込んだところを1台の床ロボに捕まってしまう。カクホと残り2台が、細いアームを伸ばした。「ちょっと待って上着忘れてます」「よい異世界へ来たのだ。貰ってくれ」床ロボの動きが、止まりナユが、現れる。
「あのここ異世界じゃ無いから違うから王国から海を隔て遠くずうっと遠く離れた海に沈んだ超大陸の上の方。今ここね…そこから〜ずうっと北北西に向かい進むと細かい島々の先にキルナ大陸。そして東に小さい海岸線を持つバドレス王国は、ここ」ナユは、ご丁寧にスクリーンを出しジノに説明したマップ機能で、現在地から縮小表示し海を渡りキルナ大陸を表示。拡大でバドレス王国全体と王都バドレスを見せた。
ぽかんと画面を見つめるバウスだが、王都から南東に向かう街道を見つけ更に特徴的な海岸線を持つ海沿いにある町を指差しルセと一緒に何度も行っている所だとバウスは言う。初めて空中撮影されたマップ写真を見たルセも途切れ途切れに続く道をたどりドーズを探すが、森の中に埋もれ場所が、判らなかった。
「だからここは、残念ですが、異世界では、ありません。ではお帰り下さい」床ロボが、バウスを捕らえるアームを伸ばすと花桜が、床ロボ1号の電源を落とした。
「こんなに熱心に頼んでるから…ちょっとだけ湯屋で、休憩させてもいいかなぁ〜と」貴族の服で買収されても店長は、花桜だ。ナユはスクリーンを回収。「花桜が、良いならいいけど、茜が五月蝿いよ。いまは、酔っ払って更に五月蝿いかも。バウス卿…ここの事は、決して口外しない様に。したら」
したらと生唾を飲みナユの次の言葉を待つバウスの前に現れた闇が、薄いグラスに注がれた不知火の薫りをバウスの鼻先で燻らせ。「2度とこの薫りは、味わえない。口外したら大丈夫…卿の記憶は、あたしが消すから」
再度生唾を飲んだバウスは、花桜から上着を奪い取り裏地に人差し指を噛み血で制約を書き魔素を流し込むと制約の血文字は、見えなくなった。「これでそなた達とこの地と店?の秘密は守ろう。約束を違えれば、わしの心臓は、止まる」好奇心に自分の命を差し出す。元貴族と付き合いの長いルセは、バウスの悪い癖が、出たと呆れ顔になった。
※※※※※※
「あたしは、人の負の心が、好物だけど ヤツは、人を操り狂気に落として…食べるのよねぇ。食べる?吸収する? まぁ体ごと取り込んでしまうの。残るのは、骨と干からびた皮だけ…いまは副大司祭アクバに取り憑いて大水晶の力で人を操りこの王国を影から支配しょうとしてるみたい。北の搭の第1王子もシャドウに取り憑かれ狂ったのかも」グラスを回し酒の薫りを楽しむ闇。
スルメを咥えた茜が、小学時代を思い出す。「人間は 欲と煩悩の塊。くそ坊主の口癖だったなぁ」「あ〜言ってたぁ。煩悩あるから愚僧は、酒を飲みにキャバへ行く。本当〜くそ坊主だったね」地区の子供を集め 寺で体力作りに柔術を教えていた師匠。今は茜が、ルセに教え身を守る術にロゼにも急所狙いの攻撃を教え始めている。
「おっさん指どうしたの?」不知火を堪能中のバウスの右指…少し血の滲むカットバンとガーゼの2重巻きに気付いた茜。花桜が、経緯を話しお酒に命を掛ける人は、寺の師匠以来と笑う。「ったく…いい大人が、何してんだよ」
強い清酒に酔い。酔い醒まし中のルセと遊んでいるロゼを呼び寄せ。バウスの指に回復魔導を掛けさせる。とばっちりを受けた闇は、今日2度目の悲鳴を上げ縮み。酔っ払い達は、酒気が抜け皆正気に戻った。が…酒飲み達は、酒飲み。茜が次の酒を持ち出し試飲会と言う。宴は続いた。
死屍累々のフロアで、酔っ払い達に毛布を掛け回るアキンド。〈目覚めたら2日酔いで、辛いのに何故。皆さんは、酒を呑むのでしょう〉
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