国王との会見

呪詛を反したからねぇ。異形の者は…ほらと爪で王の後ろを指差す。か細い声が、あがり。やがてそれは、母を求め強く大きく部屋に響き渡る。妃サーリアが、駆寄りより歓喜の声を上げ。我が子を抱きしめ王を呼ぶ。 


「行かないの?」「あぁ…万謝する…」王は涙で歪む寝台へ歩み寄り見上げるふたりを両の手で抱き締め我が子の回復を喜び安堵する。


広いバルコニーへ続く窓の外。城の後ろに立つ搭と遠く建物の隙間から見える大伝奉所にねっとりとした視線を向け闇は呟く…そこに居るのね。


※※※※※


伝奉所に戻るリドを見送り。従者に案内され各々出された紅茶と菓子を馳走になりリラックスしている娘達を見てバウスは思う。何と図太い者達と…


世界観が、違う身分制度の無いコンビニ組は、本物だよ〜張りぼてじゃ無いスゴイとはしゃいで部屋を見て回り。先程はバウスの正装を様々な角度で眺め裏地刺繍を音の鳴る箱を近付け何やら観察し、終われば、壁に控える従者のベストを脱がせ縫い方が、複雑などと言い従者を困らせていた。


何度かジノが、かしましいふたりを諌めていたが、止まらないおしゃべりに諦め10人は、余裕で座れる長ソファの隅に疲れ爆睡するロゼを抱くルセとちんまり座っていた。


壁に掛かるタペストリーなどを堪能したふたりは、満足して座席に戻り冬の雀の様な男達に、何でそんなにピッタリ隅に座るのと聞いていた。


「よくやった。これで交渉が、進もう」ソファの真ん中に座りメイドに紅茶のお代わりを注いで貰うふたりと隅の男達を誉める。「アタシも協力したの忘れないでね。」バウスが、座るひとり掛け椅子の隣に黒い霧が、渦巻き優雅に腰掛ける闇が現れた。


ジョロキュア…刺激は少ないけど厳選七味唐辛子は香りが、良いのよねと欲しい褒美を並べ催促をする。「自分で買えば、注文するよ〜何にする」花桜が、床ロボが、差し出すタブレットを手にネットストアの画面を呼び出し香辛料を検索する。


「在庫ならまだまだ箱であるから結構…捧げられるから美味しいのよ」

捧げられる?供物 供え物 確かに貰い物は、嬉しい。何が良いかとバウスが、聞き返した所で、扉横に控えていた従者が、王の登場を声高に伝え両扉を内側に大きく開けた入り口より王を先頭に城の重鎮3名が、付き添い入って来た。


立ち上がり頭を下げ迎えるバウスは、視線の横を見てギョッとして声を潜め茜に呼び掛けるが、現れた王と重鎮達を渋いカッコいいなどと〜キラキラと頬を染め見つめる娘達には、届かず。


即座にジノや回りのメイド達が、ふたりを立たせ礼を取らせた。無礼者と腰の剣に手を掛けた年若い王宮騎士団長の怒りを王が諌める。父と兄の急死で世襲により団長の座に着いた若者もアクバの犠牲者だった。


「よいのだ…この者達は、他国の者達。我が国の礼儀も知らぬ」「礼儀も知らない田舎育ちの者達で、ご無礼を」王とバウスが、その場を納めたばかりなのに床ロボの、おなり〜の声と共に〜ナユターシアが、神々しく現れその横に闇が立ちふたりは、王に膝まづく。


「異世界の精霊 ナユターシアと申します。我が愛し子…ロゼと憎きユリア。ふたりの因縁解決にご協力感謝致します」


昨晩の夕飯会議でナユが、王国側への協力要請方針をひとまとめにした。「コンビニの異世界転移や文化風習の違いを王国側全員に説明納得させるのメンドイし時間が無い。何より蛍の存在を説明出来る?」出来ない〜全員一致で、面倒事は、ナユターシアに丸投げに決まりコンビニ会談は終わった。


王国側に再度。白い壁に投影される3本の動画をプレゼンするナユターシア。信じられんと騒ぐ貴族代表を無視して説明と言う同意を得る話し合いが続く。「ロゼとエリナのドーズ封印までの道中を密かに進め偽りの噂を流しドーズを不浄の土地と封印頂ければ、幸いです」


大伝奉所で行われる。大司祭継承の儀。不可侵の王国側は、新しい大司祭による大水晶加護を国王に王都全体には、結界の張り直しに立ち会い。偶然起きた大司祭継承を目論むアクバの悪事とエリナの悪行を国民の前で暴き成敗する。王国側は、不可侵の掟で何も知らなかった。悪より国民を守る為に王国軍は動き 闇に操られ暴走したロゼを土魔導師達が、身を挺して(連れ帰るだけ)ドーズに封印する。


一連の騒動を客観…王国側は、無駄な口を挟まず手も出さずでよろしくと言われ王と宰相は、了承したが、控えていた貴族代表が、爆発した。座っていた椅子より立ち上がり対面に座る闇とナユターシアを指差し叫んだ。


「行きなり訳も判らない異世界の精霊に、魔族のこやつが、好き勝手やらない確証は、有りましょうか。このように危険な者こそ即刻封印すべきです。前魔導師協副会長バウス殿。貴殿は如何お考えですか」


貴族の大声で目覚めぐずつくロゼを抱きかかえた茜が、ワッショイとロゼを揺すり闇の後ろに立ち。「問題ナッシング〜」素早くロゼの指より魔素吸収指輪を外し闇の背にロゼちゃん〜キックと背中に触れれば、足裏が触れた箇所よりチリチリと黒い霧が、上がり楽しくなったロゼが、小さな手でペタペタ触れた肩も黒い霧に変わり欠けて行く。闇は悲鳴を上げ逃げ消える。


「闇は光魔素に弱いから大丈夫です。闇…可哀想だから指輪しょか」花桜が、ロゼの指に指輪をはめ闇を呼ぶと

座る王を盾にロゼの光魔素に触れ小さくなった闇が、高い声で茜を指差し文句を言う。


「茜…行きなりロゼを近付けないで。体を作るの大変なんだから…あっ…またぁ〜もう知らない。冷蔵庫の不知火(大吟醸)全部呑んでやるぅ」指輪をはめたロゼとキャッキャツ笑い。闇の背中や腰をペチペチ攻撃する茜達から逃げ。亜空に逃げ帰る闇。


「アタシの不知火…まだ呑んで無い〜あれ買うの深夜待機で購入予約頑張ったのに〜飲まないでぇ。闇様ぁ〜せめて姫桜か秋の乾杯にしてよ。花桜 蛍コンビニに戻ってロゼ帰るよ。王様またね〜」かしましい娘達を唖然と見送くる王国側と深いため息を付くジノとルセ。取り敢えず場の空気を見てバウスが、謝罪をした。


「あぁ〜台無しにゃ。王城に相応しいシーンを準備してたのに。あの子達 不知火の試飲も始めたにゃ〜呪い専門の闇も帰って来ないし…お願いも終わったから帰りますにゃぁ〜」ナユターシアからナユタンに姿を変えた異世界の精霊は、バイバイと手を振り姿を消した。


ブ〜ンと小さな羽虫の音と共に先程の壁に湯屋のフロアで不知火を呑み。旨ぁ〜と酒盛りをする娘達が映る。置いてきぼりをされたジノが、ムッとした顔で声を掛ける。


「お〜い。国への要請と塔の捜索は、もういいのか?俺達も帰えりたい…蛍を寄越してくれ」中途半端に終わった王国への一方的な要請など不安要素も多いが、異世界側の人間としてまとめて行こうと請負人ジノは、仕事を放棄した者達を睨む。


「すいません〜先に帰ってしまって…ほら闇…呪いの続き「あ〜したぁ、朝食後に北の搭の入り口で集合よろしくぅ」ジノ達は、1度伝奉所に戻ってあちらに迎えに行くから御免ねぇ。王様また明日に」バイバイと手を振る酔っぱらい達に貴族代表が、国王に無礼だ〜万死に値する。戻って来いぃと叫ぶ。横で宰相は異世界の者に我が国の規律は、通用しまいとひとり呟く。そうだなと王も頷きバウスに明日また会おうと告げる。












































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