ロゼが嫌な香りと守り石

順調に茜から離れ始めたロゼ。

次はどう茜を嫌い・ルセひとりに懐くかが、会議される。やはり見た目と香りだろう。とナユタンが、用意した香りのサンプルが、並べられる。


強めの香水や何故か?生ゴミの香りまで有るので、急遽外のテーブルで試香会になった。


「やっぱ…苦手は、親父のポマードの臭いかなぁ〜カットに来る客にハゲを隠すのにコテコテにポマード塗って来て。洗い落とすのに2回洗髪させられ、ミリ単位でカットさせる。仕上げに持参の臭いポマードを塗らされる。スメルハラスメントだよ〜」


ポマードもあるよとナユタンが、指し示す小瓶の匂いを無防備に嗅いだルセが、むせる。興味を示しロゼもこそっと嗅ぎオェとえづく。


「ちょっと〜あたしが、付ける香りだよ。ポマードと生ゴミは、やめてよ」

次はキツメのムスク系を数種類ちょっと強めかなと回し嗅いだらロゼが、嫌な顔して小瓶を遠ざけた。濃厚ムスクで決定と小瓶を集め箱に戻す。


ちょっと試してとナユタンが、別の小瓶を1号に並べさせる。シンプルな筒状のガラスの小瓶には、シールが、貼られ皆の名前が、書いてある。「なにこれ?」茜が自分の名前の小瓶の蓋を開け中の液体の匂いを嗅ぐ。


「別に何の匂いもしない。花桜のは、あっ少し匂うかな?ジノは〜おっ少し加齢?親父の匂い。ルセは何か薬の匂い。ロゼっのは、うっふ…ロゼの匂いだぁ。なにこれ」「皆の体臭サンプルを香水工房で再現したもの。体臭が強い人でも自分の匂いは気にならないと言われてる」


「確かに…茜は、茜の匂いだけどわたしのは、判らない。ロゼのが一番強いかな?」「ロゼのは3倍に強めて調合してる…茜にあげる。ロス対策に使って」コトッとスプレータイプの大瓶が、茜の前に置かれる。そんなぁと云いながら自室に持ち込む茜。


残りのサンプルは、カウンター棚に置いて後でジノにも試香させるが、やはり自分の匂いは、判らず首を傾げロゼの香りには、ロゼだなと笑う。

茜離れは、進んでるかと聞かれ明日からロゼが、苦手な茜に変わるよ。楽しみにしてねと笑う花桜。


翌朝から湯屋には、ムスクの香りに濃いメイク・派手なスリムドレスを着た茜が、フロアに陣取ると、ロゼはルセを盾に茜を避ける様になりネンネも抱っこも嫌がられ3日で茜を卒業した。


夜のイートイン・ロゼが、寝たので、メイクと匂いを洗い落として来た茜。

明日からドーズでの生活に戻るルセのお別れ会を始める。蛍が付き添い個々に転送が、可能な事が、バレ日帰り出来るジノも参加。


なんで神力を使う・コンビニを背負って移動したかったの?かなと胸元で寝ていた蛍に聞くが、寝ぼけたのか転がり落ちてそのまま動かない。神さんも爆睡するんだぁと茜が、笑いながら、蛍をつまみ上げ、花桜の胸元に返す。


先週からドーズの床ロボライブも流しルセと見ているロゼの様子などを聞くと少し覚えているらしく。庭の花が、映るとお花と教えてくれる。10年の時は過ぎているが、ロゼにすれば数ヶ月の日々・直ぐに元の生活に帰れると皆は、安心していた。


ライフラインは、ナユとルセで相談。

封印されるまでは、昔のままの水汲みと薪の生活をするそうだ。何処に人の目が、あるか判らない。


ルセはコンビニの秘密を守れるが、幼いロゼには、無理だろう。「プリンとシーチキンお握りは、たまに床ロボが、配達してくれるそうで…それで満足です」折角会員登録してるから室内配送だけね。とナユタンが笑う。


「全部夢だと思えば、いいさ。俺はもう無理だけど」冷たい缶ビールを飲み・唐揚げを噛るジノ。


「巫女の治癒力って…なに?昼に口 の中を治して貰ったけど?医療?奇跡?」「わたしが、学んだのは人の体内魔素に干渉し治癒力を上げ癒やすです」魔素の無い異世界人だけど治ったね。茜と笑う花桜。


魔素は全てのものに有るが、子供のうちは、安定せず魔素量が、安定するのが、10才過ぎてからと言われている。


平民は10才に伝奉所で魔素の量を測り年祝いを行い事前に選んだ守り石に自分の魔素を込め司祭が、土魔道の祝福で閉じ込め御守りにする行事があるとルセが、教えてくれる。俺でも感じるロゼの魔素量は、成人の魔導師並みだと思うぞ。ジノがお代わりの缶ビールをルセにひとつ渡し自分の缶を開ける。


「それエリナが、原因かもロゼの魔素を奪おうと何度か強奪したらしいの。強奪で逆に魔素量が、増えた?仮定だけど」こそっと闇が現れロゼが、起きたみたいよと教えてくれる。いま行くよ〜ルセより早く茜が、向かう。


「ロゼが光の魔素を持っていたのは、司祭さまからも聞いてましたが、私でも判る魔素量の多さは、やはりエリナが、関係していると思います」


「その元凶のエリナは、今王都に居ると」「はい。ロゼが消えた当時の状況を聞きたく会いに行きましたが、みすぼらしい旅の身なりなのか門前で、追い払われました」


盛大な泣き声と共にロゼを抱いた茜が、戻って来る。ルセと抱き付きぐずぐず・するが、間もなくルセに抱かれ眠った。寂しげな茜の背を花桜が、擦りこれで良かったのと笑う。





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