ルセ…ロゼを探す旅の途中で
ドーズを離れてからは、伝奉所には、在籍せず流れの司祭見習いとして過ごし出会う流民の中にロゼを探す旅を続ける。
身分の証になる。手持ちのドーズ記録石は、先に離れた司祭が、残して行き村を離れる時に持って出て来た。
手の平に乗る平たい石は、魔素を注ぐと司祭が行う。季節の祭り事・農作物の知識・埋葬などの記録と薬の製法など人々の生活に関わる事が、表示され上書きも出来る。石の大きさと所持する者の魔素量で、容量が変わると後でナユタンが、分析をしている。
王都に在る大聖伝奉所には、過去から現在まで全てを記憶する。大水晶が、あり大司祭と数人の聖光の巫女が、仕え管理している。
ロゼを探す旅先で、土魔素持ちの司祭として農地の手入れなどに呼ばれ糧を得る。薬草を集めて薬茶を作り。河原では、守り石の元になる石を探し魔素を注ぎ研磨を繰り返し。出来上がった守り石は、立ち寄った伝奉所に納め銀貨に変えた。
途中滞在した伝奉所から定住を勧められたが、ロゼを探したいと断り旅に出る。年に一度ドーズの伝奉所跡にも足を向け数週間留まりまた旅に出る。
7年目王都でエリナが、巫女に奉られたと聞き付け面会に向かったが、叶わなかった。
常に心の中でロゼに呼び掛ける。時折か細い声が、風や雑踏に紛れ聞こえ消えて行く。ロゼは、生きている。その思いだけが、ルセの生きていく目標になっていた。
王都を出てまだ行っていない海沿に向かう。海に向かう乗り合い馬車に乗り身なりの良い壮年の男の隣に座る。
退屈し始めた男に声を掛けられ旅の行き先を訪ねられるが、妹を探す旅の最中だと告げるとわしは、娘を見に行く旅の途中だと笑った。
2泊3日の乗り合い馬車は、最初の宿泊地へと着き明日は、いちの鐘(6時)の後に出立すると御者助手が、客に何処に泊まるか確認をしている。
ルセと男に近付き訊ねるので、持ち合わせも少ないルセは、屋根のある待合所に泊まると言うと男が、わしと一緒に泊まれと高級宿を指し示し連れ込まれる。
久しぶりに湯に浸かり今は。
ふたりでは、多過ぎるご馳走を前に戸惑うルセに、心配するな金は、あると豪快に笑う。男は近くに座る請負人風のふたり連れに声を掛ける。
「わしは、何処へも逃げん。こっちで一緒に食ってくれ。ちっと料理を頼み過ぎた」
笑う男にふたりは、恐縮しながら席に座る。独り旅の父親を心配した息子が、護衛に付けた請負人だった。ワインを飲んでご機嫌な男は、自己紹介と身の上話を始める。
貴族の3男に生まれ魔素が、多いので魔導師の学園に進み赤毛の平民の娘と恋をして結ばれた。公爵家を継ぐ兄が居れば、良いと言われ平民生活を始めた頃に跡を継ぐ兄ふたりが、流行り病で亡くなった。
おまえが、公爵家を継げと呼び戻され直ぐに戻るからと置いて来た恋人は、行方知れずになり失意の中・貴族社会に戻り父の跡を継いだ。
この度3人目の孫も授かり引退宣言をし怒る父親にひ孫♂ふたりを抱かせ跡継ぎです。と笑って逃げて来たと話す男。
「あの時の父上の顔…ぷっ…わしは貴族としての義務は、果たした。これからは好きに生きて行こうと思うのだよ」ワインの酔いが、回り赤い顔をした。男は心底楽しそうに笑う。バウス・クレリッチ元公爵 & 元・魔導師協会副会頭…全てを投げ捨て逃げ出した男。「今日からは、ただのバウスだ」
この出会いからルセは、バウスと幾度と無く旅を続ける事となる。トラブルに巻き込まれ・引き摺られる旅は、ルセの人生を大きく変えて行った。
そしてまた協会のもめ事を片付けて来ると王都に向かう。バウスと別れ久しぶりにドーズへ帰ろうと隣村までの荷馬車兼乗り合い馬車に乗り込む。
「あのぅ〜司祭さま…突然ですが、ドーズ村の司祭見習いのルセを存じませんか?」隣に座った人の良さげな商人風の男が、ルセにたずねてくる。
「わた…いや…ドーズ村は、廃村に成り。いまは、誰もおりません。司祭見習いの行方も知りませんが」
バウスからの教え・こちらの手の内は、成るべく見せずに相手からの情報を引き出せ。ルセは柔らかな微笑みを浮かべ。男に問い返した。「その司祭見習いが、どうかしましたか?」
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