ジノ帰宅 土産は干しウサギ

昼食も終えたお昼寝タイム。


「暇ぁだぁ〜」

異世界コンビニに住み付き早や7日目・神殿跡で今日も茜は、お茶引き中。花桜のヘヤーアレンジや高校生の頃に、はまっていたコスプレにも手を出したが、毎日では飽きる。


花桜の袋物作りを手伝っていたが、気力切れ。今は外のテーブルセットでお茶を飲む。


蛍が、ふよふよやって来て床ロボ達とそわそわ落ち着かない。


「ジノさん?もうそろそろ着くのかな」


テーブルのタブレットの向こうには、蜂型ドローンが、撮影している。ライブ画像が、4画面見える。街道脇から転送ポイントへ足を向ける男が、映っているが、どうにも動きが怪しい。キロキロ辺りを見回したと思えば、ポイントへ向かう方向とは、真逆へ行ってしまう。


「ジノさん・前回変な人に付きまとわれたからめっちゃ注意してるけど〜動きが怪し過ぎる」


ケラケラ笑う花桜に蛍が、笑うなとポスポス体当たり突撃を繰り返す。蛍はジノさん好きだものねぇ〜とからかうと小さな光は、赤くなり今度は、茜の寂しい胸にポスポス八つ当たり。


程無く店内にチャイムが鳴り。現れた1号の胸元に蛍が、消え店内アナウンスが、移動しますと告げる。


周りの風景が、ゆらりと歪む。

木々に囲まれた森の中・荷袋を背負った汗だくの男が、結界を越えて入って来る。直ぐに景色は、神殿跡に戻る。


「やっぱり付いて来てたね」

上空から撮影されてる転移ポイントのライブ画面には、ジノを見失い雑草の枯れた土地でキョロキョロする小太りの若い男が、何かを探し地面を這いずる。


男には聞こえないが、ナユタンが、男に警告をする。「そこを探っても何にも出ないにゃん。…しばらくここの地点は、使わない方が、よいかも」


「すまんな、うっかりコーヒーを送って貰ったのを見られてからしっこく付きまとわれた」


「ジノさんのせいじゃないよ。少ないけど転移魔法もあると言うし何で粘着するのか。聞いて見たい気もするけど」


茜が、指先に蛍を纏わせ花桜に接客経験からの忠告をする。「あ〜ダメだめ。あんな奴・面倒事の元になって利益なし。トラブルの元・無視が1番」


「しばらく監視を付けとくにゃ。旨い具合に髪の毛と荷物に蜘蛛ロボ潜らせた。これで盗聴出来る。何が掛かるかな」


タブレットの向こうは、2つの画面に変わる。探るのを諦め街道に戻る男を追う蜂ドローンの視線とイヤホンを付け壁に並ぶパソコン器機に囲まれるハッカー少年なゆが、追跡調査を始めた。


「お初です〜よろすくです」軽く挨拶をする茜にぺこりと会釈する男。

「初めてなのに初めてじゃない不思議だぁ」


24時間ジノの帽子に付けてあるカメラから流れる画像は、湯屋に数台あるテレビのひとつで何時もライブ配信流しぱなし。 たまに小型カメラの帽子を脱ぎ荷袋に置いた向こうに映るジノを見ていたせいなのか見慣れた顔になっていた。


商品の定期補充と仕事休みに戻って来たジノに床ロボ達が、集まりジノから荷物を受け取りコンビニに持ち込んで中身をテーブルに全て出し・振り分けている。


「お疲れさまです」氷入りのレモンスカッシュが、入ったグラスをテーブルに置き花桜が労う。


今回は運悪く定期馬車が、無く宿泊した村を朝から歩き通しの上にストーカーの付きまといと、神経をすり減らしたジノは、椅子に座りさすがに疲れたと呟きレモン水を飲みほっと顔を緩ます。蛍が早速ジノの髪の毛に潜り込んでいる。


肩から下げていたサコッシュから小銭袋を出し床ロボが、荷袋から出したつり銭袋と手に下げて持ち込んだ包みを花桜の方に押し出しす。


「売上げとつり銭に頼まれたウサギの干肉」「ありがとうございます」

ジノ視線の市場の様子を見ていると食べたいものが、沢山あり花桜と茜は、ウサギの干し肉を頼んでいた。


歩き通しで疲れた体と汚れを風呂場

で、洗い落としたジノは、少し休むと言い湯屋の奥へ消える。


荷物から汚れ物を集めた桃が、ランドリーへ向かう。「仕事出来て楽しそう。髪切りたい。髭を剃りたい〜ストレス溜まるぅ」しばらくハサミを握ってない茜は、海に叫ぶ。


休憩に行った。ジノに暑いから夕食は、軽くつけ麺でいいかなと花桜が、確認に行くが、既に軽いイビキが、聞こえる。

頭皮再生に頑張る蛍によろしくと言いそっと側を離れる。


テーブルに戻ったらウサギ肉が、皿に置かれ端切れをモグモグ味わいながら、塩気が足りないなと小皿の塩を付ける茜がいた。「あ〜ズルい」

「筋ぽいけど食べた事の無い味だよ」


ジノが起きた時には、ウサギの干し肉は、ビールで赤い顔をした女子ふたりの腹に消えていた。少し楽しみにしていたジノは、次は多めにと思った。

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