闇編・恐怖と激辛カレー
「あ〜ダメ 辛すぎるぅ」
コンビニ数量限定レトルト劇辛カレーに挑戦した茜だが、余りの辛さに身悶えする。
「だから無理だと言ったのに残りは甘口と混ぜるから冷凍しておいて」
「味は好みなんだけど辛すぎる」と言いながらまたひとくち食べ悶える茜。
茜が注文していた海苔弁当を食べているジノは、激辛カレーを指に付けひと舐めでギブアップ。
まだ来客が、いないコンビニの弁当やサンドイッチなどのデイリー食品は、
前日に注文を受け那由多が、発注管理をしている。
茜が激辛カレーを食べたいと言い海苔弁当を押し付けられたジノは、箸を器用に使い海老フライを食べていた。
カウンターキッチンよりレトルトチキンカレーを盛り付けて来た。花桜は、ここのカレー好きなのよ〜と皿を置き食べ始める。
「見た目はあれだけどいい薫りねぇ」
テーブルの下から声が、聞こえ細い指が、茜のカレーを拐って行く。
「ウヒィ〜なにナニぃ」
椅子を蹴り倒しジノにしがみつく茜。
反対側の椅子に黒い霧が、現れた瞬間。激辛カレーを優雅に食べる性別不明の人間擬きが現れた。目鼻口・頭手足・胴体ぱっと見・人に見えるが、何かが違う。全ての毛が、逆立ちゾッとする。異質な者が、そこにいた。
「いらっしゃいませ〜」チキンカレーーを持った花桜が、恐怖の余りつい挨拶をしてしまう。
人擬きはついっと花桜の横に移動しチキンカレーを掬い上げひとくち食べ しばし味わい。「甘口ね。やっぱりあたしは、この激辛が、す・き・」
3人は椅子に座り優雅に激辛カレーを食べる恐怖をただ見つめるだけ。カレーを完食した恐怖は、畏怖に固まる3人をしばし見つめた。
「いやぁ〜だ。そんなに怖がらないで何もしないから」身振り手振りで固まる3人の緊張を解こうとする恐怖の前に花桜の胸元から出て来た蛍が、とすっと恐怖の額に張り付く。
長く細い2本の爪で蛍をつまみ手のひらに乗せた恐怖は、蛍をグリグリ爪で転がす。「お久し振りね。おちびちゃん元気〜」手の平の蛍に挨拶をすると元気とばかりにジャンプする。
「「「蛍の知り合い?」」」
「そうたまに遊びに来るのよ。闇と申します」再び蛍は、闇の額に張り付きふたり?は何かを相談し始めた。「そう…丁度良かった…こちらからもお願いが、あるの」どうやら相談がまとまったらしい。
ピンポーン入店音と共にハッカーなゆが、現れた。ハァイと手を振り挨拶をする闇にとうとう来たのかと呟くなゆ。どうやら3人は、知り合いのようだ。
闇の登場に一瞬惚ける・なゆだが、大変だと店内のモニターに画像を映す。移転ポイント近くの街道脇の草むらにジノのストーカーが、首から血を流し死んでいた。
「契約した貴族が、送った請負人に殺された。ますますジノが、危ない。しばらく行商は、止めてこう」
「この男は、たくさんの人を不幸にしてきてる。美味しい残思」ライブ画面の向こうには、男の側に立ち何かをつまみ呑み込む闇がいた。
「悪魔?」画面をみて茜が、呟く。
「失礼ね。あんな奴らと一緒にしないで、わたしは人の嫉妬、怒り、不安、嫉み、欲望、エゴなど負の感情が、大好きなの。死んだ男は、最後まで人の心を持たないグズだった」「あなたも負の気持ちを持ってるでしょ」
闇は茜の側に立ち茜に頬ずりをする。「いやぁ〜こわ…冷たい」
またジノにすがり付く茜。
「困りますよ。お客さんここは、コンビニでお触りは禁止ですよ。要件は何ですか?」ハッカーなゆが、エプロン姿で対応する。
「あの美味しそうな貴族の記憶を全て食べてあげるから…代りにわたしの世界に居る・光の巫女を元の場所に帰して欲しいの。あの子の光の力で、わたしの世界が、壊れてしまう」
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