ジノ落としまえと加害者の末路
爺さんが死んだ後・俺は長年連れ添った流民仲間から離れ請負人になり獣を狩り・素材を売って身を立てていた。
年も近いジゴロ達と組み魔獣討伐などでさらに力を付け貴族や商人の荒事などの裏仕事もしながら王都に近い都市・ケアリーに拠点を構えるまでのし上がった。
ジゴロは、領民に成りたがったが、俺は流民のまま昼は、ジゴロの下で剣を振り・夜は酒場で飲んで元宿屋の拠点に帰る生活を続けていた。面倒と言えば、ジゴロの妻アイナが、やたらと俺を誘惑し相手にしないとジゴロに有る事無い事を告げ。
俺がジゴロに八つ当たりな嫌味を言われる。あの女は、他にもツマミ食いしていたが、ジゴロも似たようなものだ。
時折仲間が、入れ替わるが、気にもせず他は、何の不満もない日々が、流れていった。
血の臭いに目覚めた朝までは
右手に血塗れのダガー・左手に切り取った女の長い髪の毛・蒸せかえる血の臭い・白いシーツに横たわり喉元を切り裂かれた血を流す女。
ドアを叩き・開ける音に朦朧とする視線を向けた先には、仕事仲間のルミナが、驚くき立ちすくみ悲鳴を上げた。
仲間が、直ぐに入室し俺は、捕らわれた。今思えば俺は、ジゴロにはめられたのだ。
その日は出掛けると言う機嫌の良い商人にチップを貰った俺達は、早めに仕事を終え馴染みの酒場で飲んでいた。ジゴロが注いでくれた珍しいワインを飲んだ辺りから記憶が、途切れおそらくあれに薬が、混ぜられていたのだろう。
仲間の証言は、死んだ見知らぬ女と別れ話のもつれで殺したと罪を着せられ犯罪奴隷に落とされた。
奴隷に落とされてから思い出すのは、爺さんの口癖だった。〈 よいかジノや良い事も悪い事も何時かは自分に反って来る。どんなに困っても悪事には、手を出すな 〉
異世界から来たと言う不思議な店と店員達。俺を救ってくれた異世界の神・那由多からの希望は、貴族などの権力者には、関わらない事・俺も関わりたくない。
頼まれた仕事は、各地を巡る行商をしながらの情報集めで儲けは、期待していない。道中の関わりは、俺に任せてくれる。まずはそこから始めようと言われ慣れないながらも各地を渡り歩き初めていた。
問い扱う商品は、コンビニ店長の花桜が、作っている。腕や髪に巻く色鮮やかなシュシュに袋物・麻に綿生地の袋・下着・虫除けの香などの小間物。
洗濯洗いのロボット桃が、大きな縫いぐるみを進めて来たが、大き過ぎて荷物になるからと断るとしょんぼりするが、 花桜がランドリーに飾っていいよと言えば、いそいそと持って行った。
色柄の綺麗な大きい四角い布は、物を包むのに便利な風呂敷と言い包み方を幾つか教えて貰い私服を一組包んで荷袋の底に詰める。
小間物は、花桜のアドバイスで種類別に麻袋に詰め店出しの時に口を折り返し器にする。 俺にも柔らかい長綿布を首に巻きホコリ避けや汗拭きにどうぞと渡され重宝している。
何度か行商に出掛け慣れてきた頃
その日は、休息日・湯屋のフロアで蛍を髪毛に絡せ人間をダメにすると言う大きなクッションに、もたれナユタン推薦動画のキャンプ編を見ていた。
異世界(俺から視線)は、火起こしするのにもあれこれ道具を使い野営するのにも沢山のものを持って歩き・自動車が、無いと面倒だなと思いながら道具の説明を聞いていた。半分以上意味不明だが、それなりに面白い。
ピンポーン突然画面にナユタンが、映り何事と聞けば、ある男の復讐が、完了したので動画をどうぞとフロアの大画面を指差す。側で縫い物をしていた花桜も寄って来た。
俺の奴隷落ちを聞いていた。ナユタンが、仕返ししたにゃと見せてくれた動画は、懐かしい夕暮れのケアリーから始まった。中央広場を囲う建物の外壁に大きく映る男。見忘れもしないジゴロと俺を息子の身代わりにさせたドイル伯爵。声が広場に流れる。
「お任せください。何時ものように処理いたします」「うむ…請負人ギルドが、ここから送り出した。犯罪者の死亡リストを寄越した。このジノと言う男は、お前の部下だったか」「ジノですか?死亡と言うと」「鉱山送りの途中で、奴隷商が、狼の群れに襲われ全滅したようだ」「次の奴も…」笑う奴等の声が、夕暮れの広場に響く。
ここから生放送でぇす。と突然ナユタンが、マイクを持って現れ見慣れた娼館のドアをくぐり。客室の前でレポートを始める。後ろで…あっここは、事前録画したのを流してるにゃと言われた。
客室の向こうから女の悲鳴と若い男の怒声が、聞こえる。「いまここで連続殺人犯のアルス・ドイルが、罪なき女性を襲っています。アルスの父親は、貴族の特権を使い過去何度も身代わりを立て息子の犯行を隠蔽」
画面は、室内に変わり手足を縛られ悲鳴をあげる女の声と、アルスの笑い声と鞭の音に重なりナユタンの誰か助けて〜場所は、娼館・密の館だよ〜誰か〜が、重なり流れる。
これを見た人々が、娼館に押し寄せる。呼ばれた治安部隊が、現場に乗り込みアルスを捕まえた。
怒りに駆られた人々は、ドイルの館とジゴロの元にも押し寄せる。動画は、ここで終わった。
後日談としてナユタンの説明では、ケアリー領主の指示で捜索の手が、入り貴族とジゴロが、やらかした事件が、ゴロゴロ出て来て息子は、領民による石打の刑で娘を殺された家族達は、アルスが、死ぬまで石を投げ恨みを晴らした。
残酷だと花桜は、言っていたが、自業自得だろう。
ドイルは、取り調べの後で死罪。
親族は、身分を剥奪。流民としてケアリーを追放された。これから辛い人生になるだろう。
共犯のジゴロとアイナは、犯罪奴隷になり即刻鉱山へ送られた。
捜索はジゴロ達の罠にはまり身分を落とした者達にも手が、回ったが人数の多さと遅すぎたなどで 殆んどの者が
命を落としていた。幸いなのか俺も死亡扱いになり 請負人ギルドで身分が、戻されていた。
同名のジノが、ここにいる(笑)
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