第6話・ジノと朽ちた神殿
朝方コンビニは、海が見える高台に移動していた。目前に点在する小さな島々は、過去に沈んだ超大陸の峰々が、島となっているが、ほとんどの島は、切り立った断崖で人の姿は無かった。
遠くで時折海底から轟音を轟かせ赤い溶岩が、吹き上がり水しぶきを上げている。ここは火山活動で沈んだ古代大陸の名残り。
コンビニがある場所は、そのなかでも大きな大陸の頂にあった遺跡で、逃げ込んだ人々の骨が点在する。
「地質調査の結果・この下には、沈んだ超大陸が、あるけど海流の強さと火山活動が、激しく近寄れず忘れられた場所になってます。幸いここの地質は、硬い岩盤で大丈夫だけど」
髪を結い上げ秘書に化けた那由多が、巨大なパネルを操作。
上空からの写真を移動・拡大する。
画面には朽ちた神殿とコンビニが、表示され続いて操作。
神殿はみるみる小さくなり海だけの画面の左下端に島々と陸が、少し見えそちらを画面の中心に移動すると北に山脈と深い森・森林の中に細かく空間が、見え拡大すると村や町が、点在していた。
村から町・町から都市へクモの巣の様に道は、続き広がりまた消える。
ここですねと那由多が、指を差し拡大した場所は、奴隷商隊が狼に襲われ壊滅した場所で、横に幾つかの画像が並び。奇襲のその後が見れた。
逃げ延びた護衛が、街から応援を呼んでの後始末だった。
狼の退治・街道に獣避けの魔石を増設・死んだ者達の埋葬・奴隷商人の私財の回収などが映っていた。
那由多の説明では、奴隷商の私財になる逃げた奴隷達は、隷属の腕輪を付けているので直ぐに捕まり。予定通り商人ギルドからの代理人が、鉱山へ送り届け・死んだ奴隷は、登録を抹消される。どうやら俺は死んだ奴隷になり登録を消され自由になった。
花桜が、ご飯ですよ〜と呼び掛ける。
外のテーブルに準備された。朝食は大きなサクリとしたパン(クロワッサン)にハム・野菜・チーズを挟んだサンドイッチとカフェオレと言う温かい飲み物。
お砂糖は、好きに入れて下さいと説明された。俺が知っている茶とは、違い癖になる味だ。花桜を真似て2個砂糖を入れる。甘過ぎ顔をしかめる俺のカップに黒い茶が、注がれ飲みやすくなった。
黒い茶は初めて飲むと言えば、これはコーヒー豆を加工したインスタントコーヒーで今朝は、温かい牛乳で割っているけど、コーヒーだけを好む人もいると説明された。店には有料の本格的コーヒーサーバーもありますよと花桜が言う。どんなものか後で飲んで見よう。
蛍が元気良く飛んで来て頭に当たる。朝の挨拶らしい。
「ここは神力の元になる魔素が、多いからすぐ元気になりますね」豊かな金髪に薄衣を纏った美しい女が、現れ妖艶に微笑む。
「今度はなぁに」と花桜が、那由多に尋ねる。「美と豊穣の女神ナユターシァ」妖艶に微笑む女。暇だねと呆れ顔の花桜に近付き瞬時に老齢な執事に変わった那由多は、額にシワを寄せ苦悩の表情で叫ぶ。
「私は強制的に国家予算の集計やら何万・何兆の演算を繰り返させられストレスが、溜まり息抜きしないとやってらんない〜のよ。今も本体は絶賛〜高速演算作業を頑張ってるよ」
お代わりのコーヒーを飲む俺に依頼が、あると女神に戻ったナユターシァが、テーブルに付き聖典(異世界転生小説)を広げる。
便利なコンビニをこの世界で開店すれば、権力者との無理な繋がりや1部の邪な者達による悪用などの揉め事が、必ず起きる。それは絶対に避けたい。蛍の喜びと成長の為だけに異世界コンビニは、あるべきだと握り拳を握る。
そして俺には、流民の行商人として情報集めとWi-Fiの中継拠点設置を頼みたい。報酬は俺が希望する生活の保証・ 昨日みたいな命の危機には、直ぐにコンビニに逃げ込める安全対策。まずはこれをと1号が、差し出す帽子を花桜が、被り少し離れた海沿いに立つ。
店の大きな画面に海と風の音がする。花桜が、こちらを振り向き手を振ると画面には、痩せたハゲ男と女神が映っていた。
戻って来た花桜から帽子を受け取り俺が、被ると今度は画面に花桜が、映り1号と手を振っている。
「テス・テス・聞こえる?帽子の前後に小型カメラと右側に骨伝道イヤホンが、付いてるにゃ。この声は帽子を被った者にしか聞こえ無いからナユタンの声が、聞こえたら手を振ってにゃんと鳴いてにゃ」
花桜の横で猫耳娘が、頭の右を押さえながら聞こえてるぅと叫んでいる。
俺はにゃんと言ったが、聞こえないぃと叫ばれにゃん〜〜と叫び返した。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます