第4話 ・ジノと異世界の店コンビニ
軽く柔らかい布団に包まれ・心地の良い音…に微かに花の香りがする。ぼんやり白い天井を見つめていると再び瞼が、落ちてくる。
昨日は奴隷商隊が、狼に襲われ今朝は、日の出前から必死に草原を逃げた。そして逃げる俺達の前に突然店が、現れ・勧められるままに会員登録をして久しぶりの風呂に柔らかい布団で眠むれる幸せ。
コッン…額に何かが、当たる。
羽虫を追い払い布団を深く被り眠る。
怒鳴り付ける警護の男も暇潰しに俺達を鞭で叩く肥えた奴隷商人の息子も恫喝する俺の主だった奴隷商人も死んだ。俺を縛り痛め付ける者達は、もういない。いま俺の眠りを妨げるものは何も無い。再び心地い世界に身も心も沈んで行く…。
もしもし〜大丈夫ですか?女の声が、聞こえ布団の上から肩辺りを軽く叩かれる。…羽虫がまた当たる。
何とか目を開けて見た先には、こちらを伺う店の女と子供の指先も無い。丸く光る薄桜色の玉が、ふよふよと浮いていた。
驚き声を上げると光る玉は、女の胸元に飛び込み女は、大丈夫だよと胸元を軽く叩き笑い掛け俺にも眠れましたかと笑顔を向けてくれた。そろそろ水分補給と軽く夕食を一緒にどうかと聞かれる。
店側に移動。外は既に暗くでも明るい店の光が、軒先を照らす。 あれから夕刻まで寝ていた。女が、何度か様子を見に来てくれていた。
テーブル席を勧められ食べたいものを聞かれるが、干し肉と硬いパンしか思い出せずそれを望めば、無いと言われた。
女が食べる物を一緒にどうかな?と聞かれそれでと返事を返すと女は、頷き店のカウンター奥に向かう。
よく眠れましたかと深緑色のアキンドが、近寄り冷たい水のグラスをテーブルに置く透明なグラスなど初めて見たので驚いていると女が、色々乗せたトレーを俺の前に置く。
深い皿から香ばしい肉の匂いがする。同じ料理が、乗ったトレーを向かい側に置き俺より若いだろう女は、座り改めて自己紹介と挨拶をしてくれた。
「コンビニスズキ・店長の鈴木花桜です。花桜と呼んでください。この子は、蛍…この店のオーナーで店内に居るロボット?自動人形は、全て蛍の分身で…あっ詳しい事は後で先ずは、お酒は飲めますか?」
頷くと銀色の小さい樽からグラスに琥珀色の冷えた酒が、注がれる。
「お客様~1番様に乾杯〜」久しぶりの酒は、喉を伝い胃の府に向かって心地よい熱さが流れて行く。冷たい酒は、初めてだが、喉越しが良く旨く飲みやすい。
花桜が食べながら料理を説明してくれる。「焼き鳥丼・赤味噌とワカメの味噌汁・きゅうりの浅漬け・サラダです。焼き鳥丼は、下のご飯と混ぜて食べてください」花桜は、棒を2本使い器用に食べている。
旨いものを腹1杯に食べ・久しぶりに飲んだ酒に酔う。食事が終わる頃には、酔いも回り・この国の事情を知らぬと言う花桜からの質問に受け答え俺も初めて見た。コンビニの事を聞いたが、殆んど判ら無かった。
自然と犯罪奴隷に落ちた話へと話題が、流れていった。そう俺は奴らにはめられたのだ。
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